概要
サザンオールスターズの54作目のシングル「ピースとハイライト」のカップリング曲。2013年8月7日発売。
2015年のオリジナル・アルバム『葡萄』、2018年のベスト・アルバム『海のOh, Yeah!!』にも収録された。
作詞・作曲:桑田佳祐
編曲:桑田佳祐 & 片山敦夫 管・弦編曲:島健
映画版『永遠の0』の主題歌として書き下ろされ話題となった曲。桑田は2013年3月に映画製作サイドから熱心なオファーを受け、事前に『永遠の0』のラッシュ(仮制作のフィルム)を見た上でこの曲を書き下ろしており、その際に製作途中段階のものであるにもかかわらず涙を流し、周囲に「今年No.1の映画になるのではないか」と述べていた。
映画主題歌の枠にとどまらず、普遍的な平和への祈りが込められている楽曲となっており、身近な愛する人に先立たれた人への思い、メンバー全員が胸に刻み込んでいる東日本大震災への思い、大切な人との別れ、食道がんとの闘病を経験した桑田自身の思いも詰め込まれている。この曲を制作した頃の桑田は「人の為に生きることが出来るか」「自分の子供のために死ねるか」といった事をよく考えていたという。また、桑田は後年にこの曲とほぼ同様のテーマの楽曲「鬼灯」をソロ活動の中で制作している。
『永遠の0』の原作者の百田尚樹は、自身のTwitterで「蛍」を「胸に染みいるような素晴らしい歌」と評価している。また、発売年のスタジアムツアーにも足を運んでおり、ライブ全体には「どの曲も良かった」、この曲には「泣けた」とコメントした。百田は後年にも桑田の才能を中島みゆきや松任谷由実と並べて評価する発言をしている。
サザンのファンであり、カラオケで歌う事も公言している弁護士の北村晴男は「僕らが生まれる前に太平洋戦争が終わっているがたかだか11年前(※1)、親や先輩の年代は本当につらい思いをしていてそれを見事に描いている」とこの曲を高く評価している。また、好きであるがゆえに自身の葬儀ではサザンの楽曲をメドレー形式でかけることを希望しており、「蛍」以外にも「涙のキッス」「真夏の果実」「TSUNAMI」も必ずかけるよう要望し、他の曲の選曲については「家族や友人に任せます」と語っている。
- ※1:1945年8月15日の終戦から11年後の1956年に桑田や北村、原作者の百田は誕生している。なお、この発言は『かたらふ〜ぼくたちのスタア〜』(フジテレビ、2016年7月23日放送)でのものであり、話し相手だったメインMCの小堺一機も同い年で且つ全員早生まれである。
政治家の山田宏は「蛍」及び映画版『永遠の0』を「サザンのテーマ曲通りの『愛と平和』の映画で、靖国神社で頭を垂れ『感謝と平和』を祈るのと同じ思いになる」と高く評価した。
元実業家の井川意高はカラオケで歌う曲として「蛍」を挙げている。
桑田と親交がある3代目桂春蝶はこの曲及び『永遠の0』と自身の新作落語『明日ある君へ ~知覧特攻物語~』との不思議な巡り合わせをブログで綴っている(参照)。
CD音源と映画に使われたバージョンでは、間奏のアレンジに違いがある。CD音源ではオーボエが吹かれているが、映画版では零戦のエンジンの音に変わっている。このアレンジは歌詞がついていないデモテープの段階から桑田らの意向で取り入れられたものであった。
メディアでの使用
- 映画『永遠の0』主題歌。
関連動画
ミュージック・ビデオ
蛍や夏を想起させるアニメーションと奇跡の一本松・原爆ドーム・五山送り火などの写真が特徴。
ライブ映像
2013年のスタジアムツアーでは客に配布された「胸熱リストバンド」が発光する演出が行われた。観客がリストバンドをつけた手を振るなど会場が一体になっている状態を見た桑田は泣きそうになってしまったというが、「自分は歌うロボットだ」などと無理矢理心の中で言い聞かせて我慢したという。