初代
後に桂春団治 (2代目)を名乗る。1894年8月5日生まれ。1953年2月25日没。後の代と異なり「はるちょう」と読んでいた。本名・河合浅次郎。
二代目
2代目 桂 春蝶(かつら しゅんちょう、1941年〈昭和16年〉10月5日 - 1993年〈平成5年〉1月4日)。大阪府大阪市出身。本名・濱田憲彦(はまだ のりひこ)。出囃子は『月の巻』。
自作では『ピカソ』、『河童の皿』という演目を残している。新作落語では仁侠映画を題材にした『昭和任侠伝』も得意ネタとした。『昭和任侠伝』は、ヤクザ映画全盛期にヤクザに憧れたとぼけた男の物語で、現在は3人の弟子と実子の3代目春蝶、3代目春蝶門下の紋四郎が受け継いで演じている。2代目春蝶の作とされることの多い『昭和任侠伝』であるが、実際は桂音也の作品である。古典落語では『立ち切れ線香』『猫の忠信』『がまの油』『鉄砲勇助』『ぜんざい公社』などを得意としていた。
酒と博打、そして阪神タイガースを愛好していた。息子は落語家の3代目桂春蝶。他に娘が一人いる。
生前ほとんど面識がなかったが、小説家の司馬遼太郎が大の落語好きかつ春蝶ファンということで、死後、直筆の書が春蝶宅に届いた。後に墓石に刻まれ、実子・春菜(現:3代目春蝶)の襲名時には、扇子のデザインにも起用されている。
弟子
弟子は下記の通り4人であるが、蝶太が春蝶より先に故人となったこともあり、「3人の弟子が居る」と言われることが多い。
桂昇蝶
桂蝶太(落語作家兼任)
桂一蝶
3代目桂花團治
三代目
3代目 桂 春蝶(かつら しゅんちょう、1975年1月14日 - )。前名は桂 春菜(かつら はるな)。本名は濱田 大助(はまだ だいすけ)。
大阪府吹田市出身。2人兄妹で、妹がいる。元々は落語家志望ではなく、『めぞん一刻』のヒロインである音無響子に憧れ、主人公である五代裕作が就職した、同じ保育士の資格を取得するため専門学校に通う予定だったが、1993年1月、実父である2代目桂春蝶の死をきっかけに、その通夜の席で、父の偉大さを知り同じ道を志すこととなる。北陽高等学校卒業後の1994年4月に父の師匠にあたる3代目桂春団治に入門し春菜を名乗る。父・2代目春蝶は兄弟子ということになる。
19歳で入門後、10年程芽が出ず、貧乏生活が続いた。19歳から28歳迄家賃29000円のアパートに居住しており、それすら払えず、2世でとしての功罪で初めてお金のない苦しみを味わい心も荒み、その後、生活に困ったので、特技であったスキーの技術を生かし、長野県白馬村で昼はスキーの指導員の仕事を行い、夜は生徒を相手に落語を一席設けて、酔っ払ったお客さんがおひねりを投げてくれて、惨めさの半面、飢えが凌げるという安堵感に満たされたことを明かしている。
1997年、浪花座にて初出演。2001年、 観世流シテ方、和泉流狂言師、文楽三味線奏者とともに、伝統芸能継承者のユニット「弁天座」を結成した。その後、2003年、「弁天座」から「伝統芸能推進集団『風流』」へ改名。
2005年10月、同じ2世落語家である林家いっ平(現:2代目林家三平)、月亭八光、林家きくお(現:2代目林家木久蔵)、三遊亭王楽とともに『坊ちゃん5』を結成、11月に「東西二世五人会」を開催。2006年5月10日に結婚。同年12月に披露宴を挙げた。主賓には師匠である、桂春団治夫妻、乾杯は桂ざこば、来賓代表は桂福団治、司会は浜村淳であった。
2006年9月、「3代目桂春蝶」を襲名することが決定する。2007年、B1角座の新たな劇場として開設の杮落としとして春蝶襲名披露興行を予定されていたが頓挫する。2009年8月30日に「3代目桂春蝶」を襲名。同日より11月まで襲名披露興行を大阪・松竹座、京都・南座など全国12か所で開催した。
2009年12月の「繁昌亭大賞」爆笑賞を受賞。2010年7月には芝居の劇団「桂春蝶劇団」を旗揚げした。
2011年に前述の件の不満もあり所属していた松竹芸能を退社。同年12月には笑福亭鶴瓶に誘われ、関西圏でのレギュラーの仕事を整理して活動の拠点を大阪市西区堀江から東京都目黒区自由が丘に移した。この頃から様々な著名人から評価され関東でも一部から注目を浴びるようになった。
2013年12月「咲くやこの花賞」受賞。2016年9月、夫人の出身地である千葉県安房郡鋸南町の花の里きょなん観光大使に就任した。
生まれ育った日本への愛と感謝の念を持っており、後述の通り自らの政治信条を語ることも多く、2017年秋から2024年春まで夕刊フジにて『桂春蝶の蝶々発止』という連載を担当した。この頃からは政治的主張や過激な言動、女性関係などで話題を集めるようになった。
エピソード
- 桂ざこばの娘である関口まいとは幼なじみ。
- 桂雀喜が大学生のときに、3代目春蝶の家庭教師に来てもらっていた。
- 月亭八光は高校の後輩である。
- 桑田佳祐・原由子夫妻は落語会に訪れたりDVDを見たことがきっかけで春蝶を評価している。特に桑田は春蝶とメールでの交流を持ち、大阪フェスティバルホールで独演会を行うことが報じられた春蝶に対してエールを送り、春蝶のことを「大きな華がある」と称えたり、「月光の聖者達」を知覧特攻隊をテーマにした新作落語「明日ある君へ ~知覧特攻物語~」のエンディングテーマとして使用することを許可するなどといった逸話がある。一方の春蝶も桑田のことを「日本の誇り」「国の宝」「一番死んでほしくないひと」と言うほど尊敬しており、実際の思想(※1)と異なるデマが流れた際には流した者を「無責任な人間」と形容し、桑田や「本当のファン」の心情を慮る趣旨の発言を自身のブログでしている。また、原の曲では「涙の天使に微笑みを」が好きなことを語っている。桑田・原夫妻と食事をした経験もあるほか、桑田の誘いを受ける形で2013年8月にはサザンオールスターズのライブの打ち上げに招かれ、メンバー・スタッフ・演者・大里洋吉(アミューズの会長)の前で落語を披露した。
- さだまさしのファンでもあり、春蝶が言うにはさだの楽曲は後述する自身の新作落語「命の落語シリーズ」の制作にも影響を与えており「僕の新作のロジックは、かなり、さださん音楽の影響を受けていると思うのです」と語り、さだのことを「僕の感性の産みの親」と称えている。さだ本人とは「らくごカフェ」の代表の青木伸広の紹介がきっかけで交流を持っている。また、さだは父の先代春蝶のファンであった。
- 吉岡里帆に落語の稽古をつけたことがある。
- 後に「日本保守党」の代表になる百田尚樹とは2012年に大阪城ホールで行われた桑田佳祐のコンサートを観覧した際に隣同士になったこと、同党の事務総長である有本香とはラジオ番組での共演をきっかけにいずれも面識がある。
※1:桑田は生粋の純日本人である事を公言しており、日本の文化及び皇室・栄典や日の丸・国歌「君が代」を肯定する考えがあり「この国に生まれて良かったなと思います」といった発言もしている。つまり春蝶の基準で言えば他国に引っ越ししなくて良いという事にもなる。
趣味・嗜好
思想・哲学
- 日本の好きなところとして「日本人の奥ゆかしい協調性」と答えている。
- 日の丸の掲揚や国歌「君が代」の歌唱に対して肯定的であり、存在に否定的な者に対して「日の丸や君が代が憎いなら、他国に引っ越しすればいいのに」とも述べている。
- 国の自衛・防衛をはじめとした安全保障のことを「金品や命を守るためにホームセキュリティー会社と契約するようなもの」と例えている。
- 憲法9条の改正に賛成しており、護憲の立場をとる者のことを「末期の徳川幕府みたいなもんです」と評している。
- 韓国のことを政治レベルでは「ルールを無視する無法国家」「あの国の『恨みで意思を統一しよう』とする政治家のたくらみがとっても嫌いです」と評している。ただし、韓国で落語会を行った経験もあり、ドラマなどを始めとした文化や料理などには肯定的であり、「とても好きな国」とも語っている。
- 中国が行っている尖閣諸島への度重なる領海侵入および建国した毛沢東がとった凄惨な政策や虐殺といった行動を批判している。
- 北朝鮮による日本人拉致問題の解決を求めている。
- 皇室に対して畏敬の念を持っており、皇室を揶揄する行為に対し批判的な立場をとる。
- 普天間基地移設問題については「『賛成』『反対』の答えなんて簡単に出せない」という見解を示している。
- 白井聡が松任谷由実を誹謗する発言をした問題に対して「日本的リベラルの限界」「敵視する人間の友人にまで『死ね』と考えるのは、言葉は悪いですが、オウム真理教の麻原彰晃や、ナチス・ドイツのヒトラーと同じではありませんか?」とコメントした。
- 「芸能界はA班とB班に分けるべき」という考えを持っている。本人によるとA班は「好感度だけで売る既成メディア専属」であり、B班は「社会のことは無視…ひたすら個性むき出しで、アートで顧客からのみ愛される集団」とのこと。
- 自由民主党所属の衆議院議員の高市早苗を支持しており、靖国神社への参拝に対して「どの国でも、国策に殉じられた方に敬意を表し、感謝の気持ちを捧げている。これを外交問題にしてはならない」と語ったことについても、「ここを強く主張できるのは素晴らしいことです」と高く評価している。
- 2023年6月に成立・施行されたLGBT理解増進法に対しては「女性という『弱者』と、性的マイノリティーという『弱者』の対立につながりかねないか心配です」という見解を示し、成立過程を疑問視する発言をしている。
- 百田尚樹と有本香が立ち上げた政治団体「日本保守党」に期待する発言をしている。
命の落語シリーズ
- 父でもある先代の死をきっかけに命の大切さを見直して、創作落語として、落語で伝えたい想い「命の落語シリーズ」を演じており、お題として「エルトゥールル号遭難事件」、「明日ある君へ ~知覧特攻物語~」、「手紙~親愛なる子供たちへ~」、「ニライカナイで逢いましょう~ひめゆり学徒隊秘抄録~」、「茶粥屋綺譚」、「行と業~わたしは千日回峰行を生きました」、「石と夕陽の間のペロリ」を演じている。
- このシリーズでは「平和への思いを込めて」という冒頭の一言だけで始まっており、枕は存在しない。
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