概要
鹿児島県の大隅半島より南南西60kmの沖合、太平洋と東シナ海の中間地点に立地。
全島が鹿児島県熊毛郡屋久島町に所属する。
島内人口は約1万2,000人。
農業や林業の他、観光や島の環境保全関連の従事者が多くを占めている。
島の周囲は約132km、面積は約503平方km。
地形としては、九州地方の最高峰で日本百名山の一つでもある標高1,936mの宮之浦岳をはじめ1000mから1,900m級の険しい深山が多く連なる。
大海原からの光景が雄大な事から洋上アルプスの異名を持つ。
また本土から大きく離れた孤島で全体的に開発の手がほとんど入らなかった事から杉を中心とした古代の原生林を今に残しており、数多くの固有種を抱える豊かな生態系から東洋のガラパゴスとも呼ばれる。
年間降水量が平地で約4,500mm、山岳部で約10,000mmにも達するほど多い。
亜熱帯気候として気温も高くなりやすいが、冬になると標高の高い山岳部での積雪も多い。
近世・現代史
安土桃山時代に、豊臣秀吉が大坂城を築いた際に島内の屋久杉の大木を献上した記録が文献に残る。
江戸時代は薩摩藩の領地として、材木の採集目的である程度の伐採が確認されている。
大正期までは島の数か所にトロッコ路線があり、それを使って建材の採集なども行われていた。
1924年に屋久杉の原生林が天然記念物に指定されるが、昭和前期まではチェーンソーを導入しての大規模伐採が問題となったされる。
1975年「原生自然環境保全地域」に指定、1993年世界遺産(自然遺産)に登録、2005年永田浜がラムサール条約での自然保護区に登録。
これらの動きを受けて、島の中心部については研究や一定の条件下の観光・登山以外での入山が規制される事になった。
観光・森林
島へのアクセスとして、現在はフェリーや小型旅客機などが開通。
集落はほとんどが海岸部に集中し、温泉旅館などの宿泊施設や車道も整備されている。
世界遺産に登録された保護区へ訪れる場合は通常環境ツアーを利用する事になる。
険しい地形上夏季でもある程度の軽登山装備が必要となり、道中でのトイレは施設の少なさと環境保全の目的からも携帯式の準備も必要である。
近年はさらに徹底してゴミや汚染に配慮した管理体制が敷かれている。
屋久島に自生する杉の呼び名で、狭義としては樹齢1,000歳以上の樹木を指す。
屋久島の過酷な環境に適用して抗菌性の高い樹液を体内で精製することから長寿となりやすい。
縄文杉はその中でも特に巨大な1本の木として名付けられたもので、現生する樹木の中でも最大級とされる(樹高30m、幹周16.1m)。
名前の由来は「縄文時代には生きていた」という一説によるものであるが、現在は正確な放射性炭素年代測定法によって"樹齢2000年以上"は確実であるとされる。
もののけ姫の森
標高1,000m以上の山岳地帯に広がる屋久杉の原生林は一年を通して霧や雲に覆われやすく、花崗岩でできた栄養価が少なく固い。
多分な湿気により樹皮が苔生してることが多く、場所によっては非常に幻想的な雰囲気を醸し出している。
スタジオジブリのアニメ映画作品『もののけ姫』に登場した「シシ神の森」のモデルになったことでも有名である。
関連項目
:ストーリー中盤にて登場する
:第1、2話の舞台で、屋久島のツチグモとの戦闘が発生。
種子島とリンクしている怪談。
:屋久島でも伝承に残る妖怪。
山に入り込んだ人を殺すともされるなど基本的に非常に危険な存在とされるが、容姿や攻撃手段、撃退方法の違いや、命を取らずそのまま人里に帰した逸話もあるなど、集落によっては大きく異なっている。