ざっぽんによるライトノベル『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』の公式略称。
作品の正式名称が全角30文字オーバーでpixivではタグとして使用できない制約が存在するため、作品登録用のpixivタグとしては略称を用いる必要性があるが、この略称には本作とは異なる別の意味で使われるケースがあるため曖昧さ回避を行う必要上、作者名を用いてこのような形になっている。
作品概要
2017年10月、オンライン小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載開始。公式が呈した略称は『真の仲間』。作者はざっぽん氏。
後に角川スニーカー文庫から書籍化。2021年2月現在既刊8巻(本編7巻+外伝1巻)。イラストはやすも氏が担当。
『月刊少年エース』で漫画版が連載中。ComicWalker及びニコニコ漫画にて、本連載からおおよそ1~2回程度の遅れ連載が行われている。2021年2月現在既刊5巻。池野雅博氏が作画を担当。
仲間に戦力外を理由に勇者パーティーを追放された勇者の兄が、辺境の地に移り住みそこでかつての仲間と一緒に第二の人生を謳歌するスローライフファンタジー。
なろうで多くなったと言われる追放系作品の1つ。
あらすじ
「君は真の仲間じゃない――」
勇者の加護を持つ少女と魔王が戦うその世界で、初期レベルだけが高い『導き手』の加護を持つ英雄・ギデオン・ラグナソンは、妹である勇者・ルーティ・ラグナソンの初期パーティーメンバーとして戦ってきた。しかし、魔王軍との戦いの中盤以降最前線での戦いについていけなくなってしまったギデオンは、以前から自身を疎ましく思っていた仲間の賢者・アレス・スロアに戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。ギデオンはレッドと名を変え、辺境の地に移り住み薬草店を開業しようとしていたら、突如かつての仲間であるお姫様で冒険者の英雄・リットが訪れる。
追い出された英雄は第2の人生で報われる――。お姫様との幸せいっぱいな辺境スローライフ開幕!!
登場人物
主人公レッドと周辺の真の仲間達
ギデオン・ラグナソン/レッド(CV:鈴木崚汰)
主人公。大国アヴァロニア王国において世界最強の騎士団と誉れ高き「バハムート騎士団」にて副団長まで登り詰めた男。勇者ルーティ・ラグナソンの実兄で、勇者の加護を持つルーティを除けば、紛れもない人類最強の単騎騎士。現役(勇者パーティ)時代は偉大なる騎士の大剣サンダーウェイカーを愛剣としていたが、隠棲後(冒険者レッドになってから)は、最も威力の無い初心者用の銅の剣を愛用している。
勇者パーティの一員で兵站の確保(パーティメンバーの食事調理を含む)や外渉・調整役を担当していたが同じくメンバーであった賢者アレスから戦闘での実力不足を指摘され戦力外を言い渡されたため、魔王軍偵察の果てに先走り命を落とした事にしてパーティから離脱し、以降は辺境で陰棲する事を誓う。
現在は辺境の町ゾルタンのDランク冒険者。薬草の採取と販売で生計を立てながら、自ら薬屋を営んで穏やかに暮らすことを目指している。
実は、まごうことなきシスコン(と言うには多少語弊もあるが、それに近い)気質であり、とにもかくにも妹には甘い。勇者の旅立ちを守り導く「導き手」の加護を持っており「初期レベル+30」という要はどんな技術も初見で玄人はだしの腕前を持てるが、極めようと思っても決して達人にはなれない器用貧乏な能力を持つ。また加護由来のスキルが、この能力しか無いために、これをカバーするために多くのコモンスキル(専門の加護が無くても誰でも極められる能力。ただ専門の加護の下位互換であるため、上級となる加護を持つ者には敵わないとされる)を持っている。(レッドが行っている薬の調合も病の見立ても、このコモンスキルのマスタリークラスによるもの)こうした事情から加護としては最弱の部類にあたり、衝動も「迷っている人や困っている人が『いれば、導く』こと(手助けをするのであって助けたり救ったりすらのではないし、自らわざわざ困っている人を探すような事もしない)」と、そう強いものではない。(導きを受けた者が、その導きを活かすか否かは、受けた側次第)
また、特に料理(家庭料理・冒険者メシ)と交渉事に関しては加護を持たずとも一級の冴え。実は戦場においても、戦いを俯瞰し人を適切に動かす力(いわゆる軍師的な力)に長けている。
さらには妹を「勇者」の加護の運命から解放してやりたい一心で、一部では禁忌ともされる加護の研究(解明)にも取り組んでいた事がある。そのため加護のレベルを下げて衝動を和らげる薬(加護に対しては毒であるため毒耐性を持つ加護には効かない)を調合でき、また観察力によって相手の加護の正体や属性・特徴を看破および把握する事ができる。
実は神の画いた「正しい運命」のシナリオ(本来の歴史。いわゆる作中で記されるところの嘘の歴史)では辺境の英雄「冒険者ギデオン」として住んでいる村を守り王国の信頼を得て勇者に王国の後ろ楯を与えたのち、彼女の旅立ちの時における魔王軍の襲撃に遭い尊い犠牲として死ぬ運命にあった。(騎士にもなっていないし、当然の事ながらリットに出会う事なく死んでいる)しかし、本作における実際の歴史においては持ち前のシスコンパワーで無自覚にこれを覆している。
リーズリット・オブ・ロガーヴィア/リット(CV:高尾奏音)
辺境の町ゾルタンのBランク冒険者。ギデオン(レッド)とは旧知の仲。「スピリットスカウト」(自然の案内人)の加護を持っており、森や山奥など自然環境において様々な気配を関知して最適化された行動を取れる。衝動は仲間と認めた者を見捨てられない事と自然の守り手である事。固有武器はショーテル(湾曲刀)。
本来はロガーヴィア公国の姫であり幼い頃より自国の騎士たちや冒険者たちの筆頭に立って彼らを率いてきたロガーヴィアの英雄のひとり。しかし自身の支持が高まりすぎた事で公国の継承権争いに担ぎ出される事を危惧して国を出奔し、いち冒険者としてゾルタンに流れ着いた。ギデオンとは姫時代に故国を守りたい思いから「勇者と仲間たちに頼りたくない」と険悪な関係だった。しかしギデオンと魔王軍相手に様々な悲しみと困難を乗り越えて支え合いロガーヴィアを守りきった事から彼を頼りにするようになる。いわゆる「ツンが終わってデレだけが残った元ツンデレ姫」。
冒険者ギルドで聞いたレッドがギデオンその人ではないかと考え、開店したばかりの薬屋を訪れる。レッドがギデオンと確認したのち、冒険者引退を宣言してレッドの店の仕事を手伝いながら共同経営者として同居生活を送ることになる。ちなみに王族の教育の一環として高度な経営論を(小規模店舗から国家運営まで一通り)学んでいた事から経営感覚や試算力、マーケティング力はレッド(ギデオン)よりも的確。
のちに冒険者引退を聞きつけた町の実力者たちから「考え直してカムバックしてほしい」と集団で泣きつかれ破格の条件を提示されまくったが、さすがにキレて「私はレッドのところに終身雇用契約したの!」と絶叫した。
実はギデオンが「レッド」の偽名を考え付いたのは、リットからの連想。
ルーティ・ラグナソン(CV:大空直美)
ギデオンの妹。「勇者」の加護によって、魔王討伐にのみ向かうことを宿命づけられている。ケタ外れの強さを備えている反面、喜怒哀楽をはじめとした感情表現も含めた人間らしさは、勇者に必要のないものとして加護の力で強力に制限されている。しかし兄ギデオン(レッド)の存在が辛うじて、その制限をギリギリのラインで留め人間性を失わずに保てている。
「勇者」の加護のために本人の意志に反して「弱い者、困っている者を助けよう」という強烈な衝動を生ずるが、その衝動は自身の力量や周囲の人間の考えを度外視するため、幼い頃は周囲から浮き、両親も密かにルーティが理解できず扱いに困っていた。唯一、家族として無二の愛情を注いでくれていた(同時にルーティよりも先に動く事で加護の衝動からも守ってくれていた)のが兄ギデオンであったため、実は、まごうことなき正真正銘のブラコンに育っており、その深度は兄よりも深刻である。
兄が死ぬ本来の歴史である「嘘の歴史」では、加護が「理想的で前向きな勇者を演じさせる」ため傍目には人間らしく見えるが、実は人間としては破綻した「正義の味方を演じる神のロボット」として生きる羽目に陥っており、兄が騎士となって生き残った歴史ではあれほど大事に思っていた兄の死に対して「当然の事」と受け止めて涙ひとつ流すことがなかった。
ギデオンが勇者パーティーから抜けた穴埋めかつ一時しのぎ要員として暗殺者ギルドを介してアレスが契約し、勇者パーティーに参加する。「アサシン」の加護を持つ。蜘蛛の相棒「うげうげさん」と行動する。アサシンである事から周囲に溶け込むために運転や農業など様々な経験や技能を持っている便利娘。おでん(特に練り物系)が好物。ちなみに、お風呂好きでありギルド仲間の間では浴場レビュアーとして知られている。
当初はルーティの勇者としての圧から彼女に対して怯えていたが、のちにルーティが勇者であるが故に背負ってしまう宿命と悲しみを知り(アサシンであるため加護のせいで表情が読み辛いルーティの感情を的確に読むことができる)ルーティが「勇者ではない、その役割を無理に背負わされただけの、一人の少女」である事を理解する。そしてアレスの契約とは無関係にルーティの親友として彼女の隣に立つ事を望み、やがて微表情コンビとしてルーティのよき相方(というかフォロー役)となっていく。
うげうげさん
ティセの相棒となる蜘蛛。「闘士」の加護を持つ。「うげうげさん」がフルネーム。なので「うげうげ」さん、は間違い。(まぁまず描写はされないが、さん付けをする場合には「うげうげさん」さん、となる)誰もが誤解するルーティの本質を真っ先に読み取り理解した、心のイケ蜘蛛。友と認め肩を並べた者のために力及ばぬを解りながらも立ち上がり全力を尽くさんと努める本作屈指の漢。
ギデオンの従騎士時代からの師にして戦友であり親友でもあるハイエルフのお姉さん。生まれたのは、キラミン王国。「木の歌い手」の加護により、植物と会話して力を貸してもらうことができる。勇者の旅の中盤(ロガーヴィア攻防戦の佳境)よりギデオンの要請で勇者パーティに入っていたのだがギデオンの離脱と、それに伴うゴタゴタからアレスと対立・衝突してギデオンを探すために勇者パーティから離脱した。
ロガーヴィア攻防戦時、ギデオンの強さを「加護やスキルを超えたところにある」と評価するも、それゆえに「(ギデオンの)苦労は私では肩代わりできない」として、リットに「ギデオンは強いけど無敵じゃない。ひどい事を言われれば傷つくし、悲しい事があれば涙も流す」と教え、彼女(リット)にギデオン(レッド)の手を取って支え合える者になってほしいとお願いしている。
のちギデオンを探すためロガーヴィアにいるはずのリットに手がかりをもとめたが、リットの国からの出奔により空振り。そしてリット出奔の経緯(継承権争いを嫌って出奔したが誰もそれを引き留めず、家族である王族たちもリットを守ろうともしなかった)を知り大きなショックを受けて、ギデオンのパーティ離脱のいきさつもあいまって深刻な人間不信を抱くに至っている。
ちなみにWeb版と商用版ではギデオン(レッド)たちとの合流点が異なっている。Web版では「対ヴェロニア編」終了後に合流しているが、商用版では「真の仲間(対アレス)編」終了後に合流しており直後編の「対ヴェロニア編」でもレッドたちの仲間として行動している。
ゴドウィン
ゾルタンの新興住宅地(という名の貧民街)サウスマーシュに本拠を置く盗賊ギルドに所属していた錬金術師の加護の持ち主。「悪魔の加護編」において盗賊ギルドのナンバー2であるビッグホークのもと麻酔薬という触れ込みの麻薬である「悪魔の加護」を自身の錬金術で量産していた。自ら三下の悪党として自嘲する部分もあるが、それでも自身なりに「悪党としての美学」を持っている部分が見られる。
レッドとリットと仲間たちによってビッグホークの企みが潰えたのちは悪党の矜持として潔く刑務所に収監されるが、のちに「悪魔の加護」を欲したルーティによって強引かつムリヤリに脱獄させられ「真の仲間(対アレス)編」において最終決戦に巻き込まれる。
ルーティとティセによって軟禁されている間、うげうげさんと共に過ごすようになる。自らの身を嘆きつつ、うげうげさんに励まされ、そして「自分は蜘蛛に励まされるほどに堕ちたのか」とさらに嘆く事に。
最終的にアレスがティセやうげうげさんを薙ぎ払いレッドへと迫る光景に、アレスが自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪だと看破。「悪党として、自分が悪だと気付いていない奴は許せない」と喝破し立ち向かうも一蹴される。しかし実はその一蹴される一瞬こそ、ゴドウィンが「盟友」に対して託した時間であり、その時間は希望となって託された盟友うげうげさんからティセへと繋がりレッドへと至る逆転の一手、その端緒となった。
アレスとの騒動が終結したのちは新天地を求めてゾルタンを離れるが、ギデオンとリットの手掛かりを求めていたヤランドララに拉致されてゾルタンへと舞い戻る羽目になり、またまた騒動に巻き込まれ、結局、騒動の果てにゾルタンの前市長であるミストーム師の口利きを得て、商人へとジョブチェンジする事となった。
騒動の後、うげうげさんとは確かな「漢の友情」を交わしたダチとなっている。
ゾルタンの人々
アルベール(CV:天﨑滉平)
ゾルタンでリットに並ぶBランクとして遇されている冒険者。リットの引退宣言後は唯一のBランクとなったため、周囲から町の守護神として期待されている(が、その実力や人格をよく知る町の実力者たちからは不安がられている)。
偉業達成を目指さんと志向する「ザ・チャンピオン」の加護を持つ。この加護には「世の中の誰もが認める英雄として振舞わないといけない」という衝動がつきまとっており、それゆえにか「自分は英雄なのだから何をしても許されるのだ」と傲慢にふるまうとともに、自らが辺境のゾルタンで燻ぶっている現状に不満を持っている。しかし、実際の実力は「ゾルタンだからこそBランクとして遇してもらえる」という程度であり、とても「英雄」に至れるような力は有していない。
そのコンプレックスもあり「力を持つ者は、その力を使い上を目指す義務がある」と考えるタチであり、密かにレッドに対して「Dランクよりも腕が上ではないのか」と疑っており、それを確かめるために(そして、もしもそうならば絶対に許せない事なので、無理やりにでも表の場に引きずり出してやると考えて)幾度となくレッドに対して挑発を仕掛ける。
ゴンズ(CV:山中真尋)
ゾルタンの下町で働いているハーフエルフの大工。レッドの友人。
仕事はキッチリやり遂げるが、オフでは際限なくダラけていき、時にオンオフの切り替えも漫ろな、ゾルタン人の気質を最も体現しちゃってる、ある意味ミスターダメ人間。
確かな技術を誇る、豪快な親方。隣家に住む妹一家の事を大事に思っており、特に甥っ子の事は彼に何かがあったならば狼狽するほどに溺愛している。その事もありレッド(ギデオン)とは「兄仲間」でもあり非常に話が合っている。
のちに甥っ子を救われた事から、レッドに対して涙を流すほどの恩義を感じ、レッドが独立して薬屋をやることを決心した時には、店舗兼家屋の建築を開業祝いを含め材料費のみ(つまり実質タダ働き)で引き受けた。
タンタ(CV:芹澤優)
ゴンズの甥っ子。ゴンズの妹であるナオ(CV:徳井青空)と、ゴンズの同僚にして元冒険者の大工であるミド(CV:三品健)の子。まだ加護には触れていない天真爛漫な少年。
ある日、白眼病という失明の危険がある急性の病を患うが、危険を顧みずに必要な薬草を回収してみせたレッドの活躍により事なきを得た。
のちにゴンズと父の背中を追い、大工になる事を目指す。
アル
貧民街サウスマーシュに住むハーフエルフの子で、タンタの友人。父親は船着き場で荷下ろし人足をしている。
大人しく優しい少年。タンタよりも早く自らの加護に触れており「ウェポンマスター」の加護を有する。「ウェポンマスター」は人生でたったひとつだけ自らが「これ」と選んだ武器を極める事ができる加護。一方で自分が選んだ武器が世界で最上のものであると思い込み、その武器を否定されたりデメリットを突かれたりすると逆上しやすい衝動がつく。
喧嘩相手のアデミが加護に触れた途端に乱暴者になったため、加護が与える衝動に対して怯えていた。しかしレッドより「加護は加護、自分は自分。加護は否定せず、かといって加護の衝動に呑まれるのではなく頑張ってコントロールするもの」だと導かれて持ち直す。
のちに、とある事件に巻き込まれて家族もろともに怪我をした事をきっかけに、レッドとリットのもとに保護され、加護に目覚めたのに家族を守れなかった自らの無力を痛感した事とリットに憧れた事からショーテル使い(ショーテルマスター)の冒険者になる道を選ぶ。
アデミ
ゾルタンの治安の一端を預かる衛兵隊長モーエンの息子。
タンタやアルとは時に喧嘩をする程度の間柄で互いに良い関係とは言えない。2人よりも先に自らの加護に触れ「喧嘩屋(バープローラー)」の加護の持ち主であることを知り、以降、加護の衝動のせいで周囲の子どもに理由なく喧嘩を吹っ掛けるようになった。
一方で衛兵隊長の子であるため、正義感そのものは強い。喧嘩を吹っ掛けるようになったのは加護の衝動もあるが、さらにその加護が父を尊敬する自身が望んでいた加護とはかけ離れたものであった事への苛立ちもあったため。
しかし、とあるきっかけで加護の衝動を抑える術を身に着けた、として「これで父を助けられるようになる」と喜び周囲の喧嘩していた子どもたちと和解。ところが和解して間もなく斧を持ち出してアルとその家族を襲ったとされた。ただ衛兵隊の面々はこれを認めず、アル一家を始めとする貧民街や貧民街以外にもいる一家の支援者たちと深く対立する事となる。
ニューマン・ヴィンターズ
ゾルタンの下町で開業している医者。
タンタの白眼病の治療を担当した際にレッドと知り合い、以降、レッドの薬屋のお得意様となり友人ともなっていく。
ストームサンダー
ゾルタンの下町に店舗を構える家具屋であり家具職人。レッドの友人のハーフオークで、リットも以前から上得意様として店を利用している。通称・ストサン。
イロイロと計算高い商売人だが、一方で漢気も天下一品であり、下町の多くの人から慕われている。
オパララ
ゾルタンの町で屋台を引いているハイエルフのおでん屋。ゾルタン生まれの気風の良い姐さん。
元々、おでん屋の客であったが、その味に惚れ込んで弟子入りし、師匠の屋台を引き継いで運営している。レッドとティセもお得意さま。
ヤランドララが来た時には思わず平伏してしまい(ハイエルフにとってみれば高位の貴族が来ちゃったようなもの)逆にヤランドララに気を使わせてしまう。
ビッグホーク
サウスマーシュを根城にし、盗賊ギルド・ナンバー2の座についているハーフオーク。
荒くれ者が大多数を占める盗賊ギルドでナンバー2にのし上がれる、というだけはあり、残虐で容赦がなく目的のためには手段を選ばぬ男。
リットの冒険者引退によって彼女が街中に常駐する事を快く思わず暗躍するも失敗。また、悪魔の加護と呼ばれる加護の衝動を和らげる中毒性のある麻薬を密かに街にバラ撒いていた。この事により、やがてレッドたちと敵対し激突する事となった。
勇者ルーティのパーティ
勇者パーティの一員で、「賢者」の加護を持つ。術師としての能力や頭脳は優れているが、没落貴族の末裔で家門の復興を刷り込まれて育てられたことから、プライドがひたすら高く功名心が強い。賢者の加護のスキルとして人の加護を的確に見る「鑑定」の能力を持っており、この事から「その人の人格や生きてきた成果は度外視して、加護のみでランク付けして人を見る 」という『加護優先主義』の(つまり「勇者」のルーティは世界に必要とされる素晴らしい加護の持ち主でレアスキルもたくさん持っているために尊敬でき下には決して置けないが、その兄としてルーティにとって大事な家族でもある「導き手」のギデオンの事は変な加護でつまらないスキルしか持ってないから奴隷扱いにして見下してもいいと考える)価値観を持っている。(この世界では一般的とは言わないが、上級層や知識層には普及して支持を得ている価値観でもある。もっともアレスのそれは度を過ぎており、越えてはいけない一線を越えてしまった。)
リーダーシップをとりたかった賢者にとっては忌々しい頭脳をもったギデオンをパーティーから追放し、ルーティ達には、自らの意志で出ていったのだと嘘をつく。当初はギデオンの希望通りに「魔王軍の先行偵察に行ったまま帰ってこず、死んだ可能性が高い」と説明していたが、ギデオンを心配するヤランドララや魔王軍討伐を優先するダナンに詰められた結果、ボロボロとボロを出して上述の嘘に落ち着いた経緯がある。
賢者を信用できないヤランドララが抜けた後は同じ失敗を繰り返し足止めを喰らう賢者に失望したダナンがギデオン捜索という形で勇者パーティを抜けていき賢者の組織運営にボロが出始めた(名家の組織運営に失敗した没落貴族の末裔だもの仕方ないよね)。
魔王軍のシサンダンは賢者の魔力の高さは上級デーモンですら太刀打ち出来ないほどで流石は世界最高峰の賢者というべきだと感心すると共に「加護は知識や判断力を与えてくれない。それがこの男の悲劇だろうな。」とアレスの悲劇的結末の要因となる性格を分析した。
勇者パーティーの一員で「武闘家」の加護を持つ。いわゆる俺より強い奴に会いに行く系のThe脳筋だが、義理や友情にはとても篤い男。困難にぶつかる(時に死にかける)毎に以前よりも強くなるというどっかの戦闘民族みたいなお人。
魔王軍に滅ぼされた村の出身で、打倒魔王の最短ルートと考え勇者パーティーに参加する。ギデオンの実力を認めており、崩壊したパーティーを立て直すにはギデオンの力が必要と考え、ギデオンを連れ戻す為に単独行動を行う。
勇者パーティーの一員で「クルセイダー」の加護を持つ、デミス教の女性聖堂騎士。聖堂騎士であるため、いわゆる神官(修道女)でもある。聖堂騎士流槍術師範代の肩書を持ち、打倒魔王を必達任務として勇者パーティーに参加する。
ギデオン離脱後、パーティ崩壊の危機に直面した時には、ふとしたきっかけでルーティの抱える苦悩を知りながらも「それでも魔王軍に蹂躙される多くの人の苦悩を思えば、勇者はどうしても必要で、神はそのために一人の少女に勇者の加護を与えたのだ」という結論を出しつつも、その世界の法則の非情さに悩みつつ「たった一人の少女(ルーティ)の犠牲で世界が救われるなら、その犠牲を生み出す罪は自分が背負う」という覚悟の元で行動する。
魔王軍
シサンダン
魔王軍を補佐するアスラデーモンの魔王軍直属工作兵。腕などの体の一部を食べるだけでもその食べた生物になりすます事が可能。しかし、その生物を完全に完食しないとその生物の記憶を完全継承出来ない。
彼を復活させる魔王タラクスンの様子からして強いだけで後釜も多い四天王よりも重宝されており、またその魔王からは「勇者」と呼ばれている。魔王がいる限り何度でも復活できるが、レベルは1からになるので復活の度に鍛え直している。
憤怒の魔王タラクスン
アヴァロン大陸を侵攻する魔王軍の王。アスラデーモンの大戦士。タラクスンは本来の憤怒の魔王であるラスデーモン族を滅ぼし、その魔王の地位を奪い取った簒奪者。
魔王軍の頂点で蘇生魔法が使える。復活の手印により倒されたシサンダンを復活させる。
土の四天王デズモンド
本編が始まった時に既に亡くなっていたが、賢者アレスがギデオンを追放する理由の動機の一つに使われた。
風の四天王
ギデオンが追放されてから勇者ルーティ一行が砂漠攻略に苦戦するまでにいつの間にか倒されていた存在。風の四天王ガンドールが倒された後は後任の風の四天王ウィドースラがワイヴァーン騎兵を再編している。
用語
加護
この物語で最も重要な要素をもっている設定。唯一神デミスによってモンスターや魔物を含む、あらゆる種族に与えられる能力にして意志。
メリットは加護が与える有用な能力が使える事だが、デメリットは加護が求める行動に振り回される事。
加護に対抗しようとすると「加護の衝動」と言われる精神的かつ肉体的な苦痛を受ける。また加護を授かったからと言って、その加護が自身の種族や社会また自分自身の人生に貢献できるものとは限らない。
また、加護は加護を持つ者との戦いによって「成長」する。すなわち加護とこれに付随するスキルを鍛えようと考えた時には、加護を持つ者と戦い相手を必ず殺す(経験値獲得)必要性があり(そのためデミス教では「モンスターや魔物は人間が加護を成長させるために神か与えて下さった存在」と教える。が、この考えが先鋭化すると「犯罪を誘発しやすい加護を持つ個人も、それを殺すために神が高い加護を持つ者に与えて下さった人間」となるため、この世界では殺人に対する人々の心理ハードルが比較的弱い傾向にある)また自分より強い加護を持つ者を殺せば、加護とそれに不随するスキルは一足飛びで成長しやすい。だが一番の問題は加護とスキルは自らの経験や努力では成長しない事である。つまり、この世界は(物質的かつ直接的な意味で)戦わなければ生き残れない世界なのである。
(もっとも、そういう世界であるため個人武装もかなり発展しており、ある意味で多々買わなければ生き残れない世界でもあったりする。一方、大量殺戮・大規模破壊系の武器は「武器が勝手に殺している」判定になりやすいため加護の成長には全く影響せず、あまり発展していないし使うことも「神の御心に反すること」として忌避されやすい)
また、加護は成長すれば成長するほど、伴う衝動も大きくなる。つまり加護を成長させればさせるほど、自身の意志は加護の衝動によって塗りつぶされる事となっていく。また強力なスキルを与える特別な加護ほど、加護の衝動は強くなる。
本作の世界観では、加護をコントロールする事が人生をよりよいものにする方法である、とされる。レッド(ギデオン)は若き従騎士時代に自らの師匠から「加護は生き方を教えてはくれない」と教わり、自らも妹の事例からこれを納得しているが、まさにこの言葉こそは加護の抱える矛盾をよく現している。
人生と加護が一致する人物は幸運といえるが、人生と加護と一致しない者は人生の足を引っ張る加護(と、それに伴う衝動)を発動させずに人生を過ごす事が重要になる。
また、加護には「殺人鬼」や「盗賊」など犯罪を促しやすいモノもある。(アデミの「喧嘩屋」、ティセの「暗殺者」も、そのひとつ)しかし、そうした犯罪を促しやすい加護の持ち主でも、加護が求める生き方を上手に転用するなどして社会生活を送れている者もいる。
一方、加護によって盗賊になった者を処刑する際には、加護を優先する人生を送った「大英雄」として人々に称えられながら処刑される事例があった。この事例では嘆く被害者が多数いたにも関わらず、その被害者に対して「相手の加護の全うに貢献したのだから、盗まれたことも殺されたことも喜ぶべきだ」とする、その心情を逆撫でする心無い台詞を吐いた者も続出した。
このように本作の世界観・価値観では加護を優先する生き方をする者が称えられる傾向にあり、加護の衝動に逆らう主人公レッド達との生き方とは対象的とも言える。
固有スキル
特定の加護持ちだけが取得できるスキル。
加護優先主義者の多い王族・貴族などに称えられる傾向がある。
コモンスキル
加護のスキルと比べると弱いが、努力次第で誰でも取得できるスキル。
主人公レッドは色々なコモンスキルを取得する努力を行っていた。
マスタリースキル
コモンスキルや固有スキルのレベルをカンストさせると得られる、スキルの究極形態。この形態に至るまでスキルを鍛えると、スキルを本来の在り方とは異なる方向に「応用」させる事が可能となる。
レッドも当然、自らの持つコモンスキルの多くをマスタリースキルに昇華させている。
カンストさせると得られる、という特性上、マスタリーの存在を知らない人も、またその存在を懐疑的に見る人も多い。
魔法
この物語では手印によって魔法を発動できる。手印を間違うと賢者であっても魔法を発動できない。その為魔法使いは両腕を失うと二度と魔法を使う事が出来ない。
唯一神デミス
この物語に存在する神。この世界を創り上げた創造神とされる。生まれてきた生物に様々な役割を果たさせる為に加護を与える存在。
アスラデーモン
この世界で唯一、加護を持たない種族。名前の通り阿修羅のごとき姿を持つ。神が休息をとっている間に「自然発生」したために、驚き怒った神によって暗黒大陸に追いやられた、とする。加護を持つ他の生き物と異なり、あらゆる体験と経験によって自らを高く成長させる。
神・降魔の聖剣
初代勇者が所持していた、という合計6本存在する『勇者の加護』を強化する聖剣。
アニメ
2021年10月から、TOKYOMX、サンテレビ、KBS京都、AT-Xに加えてBS日テレで放送される予定。また、dアニメストアによる配信も実施される。
元々は2021年7月から放送するつもりであったが、コロナ禍アニメ延期問題などにより延期となった。
スタッフ
関連動画
関連タグ
外部リンク
真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました - 小説家になろう