加害者家族
かがいしゃかぞく
概要
加害者の親や兄弟等の総称。
罪を犯した加害者は当然ながら裁かれるべき対象であるが、加害者の罪が公になる事で世間の人々に「加害者の家族も同罪」といった図式や固定概念が植えつけられ、結果として「加害者の家族」という理由だけで善良な人達までもが冷遇、酷ければ迫害されるようになってしまう。
更には秋葉原通り魔事件のように世間からのバッシングや私刑に絶望して自ら命を絶つ加害者家族も存在している等、過激化した正義感や差別感情で新たな被害者を生み出すという最悪の負の連鎖が成り立つ事となる。
また、現実でもフィクションでも加害者の中には冤罪で裁かれた者も存在しており、それも加害者家族叩きの醜さに拍車をかけている。
裁かれるべきは加害者本人であり、「加害者の家族」という理由だけで罪の無い人間に危害を加える行為は立派な犯罪行為であるが、加害者家族叩きの行動原理は「自分には加害者とその家族を糾弾する権利がある」という優越感が根底にある。
つまり「自分は普通の立場である」「相手が加害者側なら何をしても許される」「自分は正しい」ことが最低条件にして絶対条件であるため、加害者家族が理不尽な目に遭っても罪悪感が薄れて「自分が加害者になってしまう」という自覚すら無い等、ある種の思考停止状態に陥ってしまう。
それらの行動が後々大変なことに・・・・
しかし、その一方では大津いじめ自殺事件のように加害者を擁護して逆に被害者側を苦しめる加害者家族も少なからず存在しているのも事実である。
また、加害者の家族には大かれ小かれ「悪を生み出した」、「悪に育ててしまった」と言う点において決して無関係とは言えないのも事実である。特に日頃から問題行為や過ちを犯しているにも関わらずその身内が矯正を怠っていた場合、事件は未然に防ぐ術がなかったのかと言うもしもを考えたときに行き着く理屈の先が、加害者に強い影響を与えた家族に目が向いてしまうからだ。しかも悪い事に、上述の秋葉原通り魔事件を含め、加害者本人がその家族(特に親)から何かしらの虐待を受けていた例も散見されており(その主な例に2007年に愛知県名古屋市で発生した闇サイト殺人事件(※犯人グループの内の一人が該当)、1991年の佐賀同窓会殺人事件未遂事件、殺人並びに未遂事件以外では2013年の黒子のバスケ脅迫事件があり、どの事件も犯人本人が周囲からの助けを得られなかった等、真面な救済がされていない模様)、決して幼少時に周囲から受けた仕打ちの影響が無いわけではないと言うのもまた事実である。
この点に加害者家族が糾弾される非や落ち度なのかは、第三者に糾弾されるかは別問題ではあるが、責任とは時に犯した当人だけの問題ではないのも事実である。
安易に加害者家族を傷付けることはあってはならないが、逆に誰しもが自分も身内もが過ちを犯さぬよう、加害者家族にならぬよう、身内の過ちを他人事だと思わず律する心掛けは誰しもが必要である。
ちなみに加害者の家族に対する迫害は個人主義である欧米ではあまりみられないが、アジア、とりわけ日本を含めた東アジア諸国ではかなりの割合でみられる傾向にある。
これは儒教の影響があるとみられ、特に影響が強い国では罪を犯したが最後、本人だけでなくその一族の子孫や先祖まで罪人扱いとなってしまうのだ。
日本に関しては儒教の影響はそれほどないが一方で島国という環境故だともいわれる。
古来より日本は災害大国として知られ、しかも島国なので大陸と違って移動できる場所がかなり限られており、厳しい自然に対して助け合わなければ生きていけなかった事情が存在する。
そんな日本の環境で育まれた団結力はプラスに働けば助け合いの精神として優れた連携を見せることとなるがこれがマイナスに働けば加害者の家族に対する村八分や同調圧力という悪い形で発揮されてしまうのである。
それは仇討ちや連座制が廃止された現代でも度々起きており、問題視されている。
そして、こうした加害者の家族に対する偏見が原因で、その人物と関わった一人の若者が凶行に走り、結果一人の人間が殺されてしまった事件も存在する(参照)。現在でもSNSの発展などにより、この様な事件が発生する可能性は十分に有り得るため、こうした惨劇が二度と起こらないようにするためにも、我々は一人ひとりが自制し、その境遇に立つ者の苦しみを理解し、手を差し伸べる必要がある…。
フィクションにおける加害者家族
※劇中で加害者側の家族の問題が明確に描かれたもののみ。
- ジーニー・キャクストン(マックスアナーキー)
- 父親が死なせてしまった少女の父親である人探し専門の探偵に「あれ(娘を死なせた事)は事故だから父親を助けてくれ」と依頼をしている。ちなみにその父親に母親を殺されている被害者家族でもある。
- 真嶋護とその母親(イフリート〜断罪の炎人〜)
- 桜小路桜(CODE:BREAKER)
- 水田マリ(亭主元気で犬がいい)
- 猟奇殺人犯の兄を持ち、様々な迫害を受けた挙句に素性を承知で結婚してくれた夫を被害者遺族に殺害されている。自身も殺されようとされたが、返り討ちにして相手を警察に突き出している。
- 如月大吉郎議員(特救指令ソルブレイン)
- 第20話で登場した政治家。馬鹿息子とその友人2人が留学生を殺した事件を隠蔽しようとした。留学生の父親であり、息子を殺そうとした犯人を前に被害者の女性を「馬の骨」と侮辱している。
- バウマイスター家(八男って、それはないでしょう!)
- 長男が起こした不祥事が元で父親は失脚、妻子は被害者遺族から報復を受け、他の兄弟達も不幸に見舞われた。
- 黒炭家(ONEPIECE)
- 鶴巻裕(善悪の屑)
- 自分を虐待していた父親が起こした幼女誘拐事件で居場所を失い、やがて自暴自棄になるも、誘拐事件の被害者と再会し、贖罪の意識と、終わりかけていた己の人生を変えたい強い意志で過酷な英才教育を耐え抜き、渡米し米国陸軍のレンジャー訓練校へと入隊する。帰国後、彼女の依頼で父親を捕縛し制裁を見届けた後、父親とも決別し、朝食会へと入会した。
- 湖村花夜とその家族(魔法少女サイト)
- 3人組の不良少年に妹を殺された被害者家族だったが、逮捕された3人が証拠不十分の無罪放免として釈放された後、当時刑事であった父親が妹を殺した犯人達に残虐な復讐制裁を下して逮捕され、母親はその事件のショックから病床に臥せてしまう。花夜はクラスメイトから「犯罪者(殺人犯)の娘」と罵られ、酷いいじめに耐えつつも、「もし「力」があったら自分をいじめるクラスメイトを殺してやりたい」という殺意をうち秘めていた。
- サラ(ViVid_Strike!)
- かつてクラスメイトだったリンネ・ベルリネッタに対して酷いいじめを行っていた3人組の一人。しかし、いじめのせいで養祖父の最期を看取ることのできなかったリンネから激しい鉄拳制裁を受けて病院送りとなる。その事件が「いじめの被害者による暴力事件」として世間で公となり、リンネの両親の奔走で示談とリンネの転校で済むこととなるが、3人はこの事件が遭ってもなお全く反省していなかったらしく、いじめの事実を否認しようとするサラは「自分も他の2人も何も悪いことはしていない、友達同士の軽口にリンネが切れた」と兄に吹き込む。その結果、サラの兄が多勢の不良仲間を率いて拉致事件を起こし、皮肉にも身内を犯罪者にしたサラは「犯罪者(誘拐犯)の妹」となってしまった。
- 不亞幽(デュエル・マスターズ)
- 兄のザキラが南米奥地にある村を焼き払い村人を殺害した。その村の生き残りである少年ぺぺから家族を殺した悪魔の妹という理由で襲われる。
- キメラ(メルヘヴン)