「態々カーテンで目隠ししてまで営業して協力金請求しようと思ってませんよね?
これで請求したら詐欺罪か偽証罪になりますよ。」
(4月23日、高円寺のビストロ店へ自粛警察によって貼られた貼り紙の文言の一部)
概要
2020年新型コロナウイルスであるCOVID-19が世界中に蔓延する中、国から国民へ感染拡大を防ぐ意味合いで不要不急の外出を自粛するように呼びかけられている。
その自粛を呼びかける人の中でも個人の名誉を侵害したり、器物損壊行為を行う過激派を指した「自粛警察」の行為が全国的に大問題となっている。
国民1人1人互いにストレスが積み重なる中、「自分は我慢しているのに」という思いが迸った結果が不要な相互監視を招いてしまうことになった。
コロナウイルス発生以降、東京では24件(2月)の警察への通報数が約42倍の1000件(4月)に増えるなどその在り方が如実に表れている。
ちなみに自粛警察に該当する罪が暴行罪・器物損壊・名誉毀損・侮辱罪・傷害罪・強要罪などであり、もし被害者側が法的手段に出てしまえば、自粛警察は高確率で立場が不利になって犯罪者として裁かれるのは火を見るより明らかである。
主な行為
飲食店
- 「休業要請」に応じない店舗への脅しを兼ねた張り紙や窓ガラスを割るなどの器物損壊
休業要請は強制ではなく、営業するかどうかの判断は経営者の判断に委ねられている。要請はあくまで要請であり、「禁止」ではない。
また、テイクアウト専門であれば自粛対象には当たらない。
- 時短営業しているにも拘らず脅しの張り紙を貼る。
- ある駄菓子屋に3月下旬から休業しているにも拘らず「コドモアツメルナ。オミセシメロ。マスクノムダ」という張り紙を貼る。
- 注文した覚えの無いピザが配達される。
- ラーメン店に「あなたの店が繁盛=公害であることを忘れるな」という手紙が届けられる。
他県ナンバー狩り
- 自分の住んでいる県以外の車やバイクなどに対して、ナンバープレートを撮影し、ネットに晒し上げる
- ナンバープレート・サイドミラー・後部窓ガラスの落書きや破壊行為
別の県から納品に来たトラックや出張などでその県に来た会社員が旅行者・パチンコ遠征と勘違いされたなど全く関係の無い人たちが被害を受けている。それを回避するために「私は〇〇県に住んでいます」「〇〇ナンバーではありませんが△△県・市在住です」というステッカーが販売される、行政が「県内在住証明書」を発行する事態まで生じたが却ってこれが差別を生んでしまうのではないかという指摘がある。
パチンコ屋への過度な自粛要請
- 3密を生み出しやすいとして休業要請を出されたパチンコ屋に対して、上記の張り紙行為や行列に対しての通報。
もちろん、きちんと要請に従っている店もあるが倒産・閉店の危機に遭い、開けざるを得ない店というのもあるにはある。
これに伴い行政側が要請を守らない店舗名を公表することに踏み切った。
結果、客と自粛警察と呼ばれる人物がもみ合いの喧嘩に発展するなど悪循環が発生してしまっているほか、4月28日の5ちゃんねるでは店舗に対して「ガソリンを持ち込み爆破する」という爆破予告を書き込む事件が起きた。
このほかにも、5月上旬には兵庫県神戸市のパチンコ店の前で、自粛警察気取りの炎上系YouTuber「へずまりゅう」が店側や来店客を執拗に挑発して対立を煽り、最終的に本物の警察のお世話になる様子が全国放送されるなど、自粛警察を大義名分にして故意に対立や騒乱を引き起こそうとする者まで現れた(この件との関連は不明だが、後にへずまりゅう自身も7月に感染している)。
子供への行為
子供が外に出ようとしたので止めたらトラブルになった、子供が外で遊んでいる、公園でサッカーをしているなど子供に対する通報なども多くみられるようになった。
これに関連してか5月4日の横浜市金沢区の公園の砂場にてカッターナイフの替え刃20本以上が散乱しているのが見つかった。下手すると大怪我に繋がる可能性もあったが幸い怪我人はいなかった。
その他
- 旅行鞄を持っていた為に、旅行者と勘違いされ口撃された看護師
- 外でいちゃついているカップルへの過度な通報
- 無観客で営業しておらず、有料の配信を行っていたライブバーへ警察を呼ぶという脅迫行為
- バスで咳をしただけの客を通報
など些細なことに対しても魔女狩りを髣髴とさせる行為が日々行われている。
など挙げればキリが無いがこのような行為が平然と行われている。
マスク警察
マスクを着用していない人に対して攻撃をする自粛警察の派生タイプ。
単に付けていない人もいるのだが、付けたくても付けられない人や転売ヤーなどによるマスクの買い占めにより普通に手に入れることが出来ない人も多いのが実情。
現在、マスクの供給は安定したが、『マスク=気軽に使えるもの』という認識は薄い。
ちなみに長時間のマスク着用は菌の繁殖や酸欠、熱中症のリスクがあるが、ポリコレの影響でマスクに対する批判は大手メディアからシャットアウトされている。
また、子供もマスク着用をするようになったが、子供の場合は大人以上に長期間のマスク着用のリスクが高いという説があるも、言及すら許されないような状況になっている。
YouTubeでは、老人が抵抗できないノーマスクの女性に対して、大声で罵倒(その勢いで飛沫を飛ばすものも)・暴力を振るう動画が多数あげられている。
飛沫警察
飛沫の拡散を過度に恐れた結果、他者の会話に規制を掛けようとする徒党。
マスク未着用かつ、TPOを無視した大声ならばある程度の理解は出来るものの、飛沫警察は会話そのものの規制に走っている為、基本的人権の侵害をしているに等しい。
勿論、それに規制を掛けようとして、飛沫警察が大声で注意する=自らが飛沫を拡散していると言う愚行を犯している。
なぜこのような行為が行われるのか
日本では個々の意識に任せた「お願い」をする形で成り立っている。ただし、その「お願い」が成り立っているのも国民同士の「同調圧力」による相互監視が強制力として働いているのではないかとみる意見がある。よって、このような同調圧力や相互監視が起きやすいとも考えられる。
「政府が要請をしているから」という後ろ盾を得ることで正義側に立ち、見知らぬ他人に対しても強い言葉で圧力をかけることが出来てしまう。
更に「他罰感情」を煽ることになるパチンコ店の店名公表などの行為も自粛警察を過激化させる一因となっている。
諸外国では罰金や実刑を伴う強い措置が取られていることが多いが、市民運動が激しいこともあり、規制賛成派と反対派は街頭での衝突、デモ、暴動、ストリートファイト等の目立った行動に至るケースが多い。
正体?
多くの場合、「正義中毒によるクレーマー」として自粛警察と一括りにされているも、実際は対象に対して日頃(新型コロナウイルスの流行以前)からの不満を募らせていたり、逆恨みも含んだ個人的な恨みを持つ人間とも推測が出来る。
- 近隣の競合店の店主、又はその関係者(「客や売り上げを取られて気に食わない」、「うちの店は臨時休業にしたのに何であいつの店は営業を続けるんだ」等)
- もともとクレーマー気質の人がここぞとばかりに警察化
休校により退屈になった子供が騒音源になったり私道で遊ぶ道路族になったりするケースが後を絶たず、近隣住民とのトラブルになるケースが増えつつある。
あくまで憶測であるが、自粛警察は人間関係にありがちなトラブルから生まれたものとも言えよう。
関連タグ
転売ヤー - こちらも新型コロナウイルスに関連した社会問題。
コロナ脳 - 自粛警察の別名。
不謹慎厨 - ほぼ同類の過激派。
合成の誤謬 - 元は経済学用語。自粛警察のような本末転倒を防ぐための思考法。
バッタヤミー - 仮面ライダーオーズに登場する、行き過ぎた正義感の具現化とも言える存在。自粛警察が問題になった際にもこれを連想するという声が上がっていた。
仮面ライダーアバドン - 劇場版仮面ライダーゼロワン・REAL×TIMEに登場する量産型ライダー。自粛警察を象徴するかのようなライダーの登場に、ファンからは「すごく考えられたモチーフだ」と高評価を得ている。
隣組 - 戦時中に存在した約10軒を1グループとした町内会の下部組織。主に物資の配給や防空活動などを行っていたが、それぞれの組の隣人同士の相互監視や思想統制なども行っており、これらの活動が今の自粛警察に似ていると言われている。また、そのルーツは古く江戸時代の五人組にまで遡る。
悪魔特捜隊 - デビルマン後半に結成された、文字通り悪魔と疑わしい人間を片っ端から殺戮して回る狂気の集団。デーモンに取り憑かれた人間は外見で判断できないことから互いの疑心が疑心を呼び、やがて人間同士が見境なく殺し合うようになってしまう。