概要
発祥は江戸時代とされる。
五人組・十人組という村落内の相互扶助的な面を兼ねた行政下部組織が存在していた。
これを基として戦時中には現在の町内会のような機能を備えた扶助組織が存在した。
制度としての隣組
1940年(昭和15年)9月11日に内務省の訓令である「部落会町内会等整備要領(内務省訓令第17号)」(隣組強化法)により制度化された。
概ね10軒前後の世帯を一組として、住民同士の連携強化を促し、戦時下の住民動員や物資の供出、回覧板等による相互連絡、統制物の配給、空襲での防火防空活動などを行ったが同調圧力を通じた思想統制や住民同士の監視の一面も併せ持っていた。
基本的に世帯全員を隣組組織に組み入れたため、1941年(昭和16年)3月時点の隣組の数は120万にも達した。
戦後の1947年(昭和22年)4月1日、GHQの命令により行政組織としての隣組は廃止されたが、現在でも隣組や町内会は多くが残存し、回覧板などの活動形式を色濃く残している。
歌謡曲「隣組」
1940年(昭和15年)6月17日からNHKラジオ『國民歌謡』で放送され、同年にはビクターより徳山璉の歌唱でレコードが発売された。
歌詞内では「格子を開ければ顔馴染み…」「教えられたり教えたり」と、隣組制度の利点が歌われている。
- A面「隣組」
- B面「天から煙草が」
作詞 | 北原白秋 |
作曲 | 飯田信夫 |
歌唱 | 徳山璉 |
替え歌
戦後隣組制度が廃止されてからも、歌謡曲「隣組」は陽気なメロディーから戦後も歌われ、NHK総合で放送されたバラエティ番組『お笑い三人組』のテーマ曲として使用されていたとされる。
1971年には武田薬品の殺虫剤「メルトン」のCMにも使用された。
この曲の替え歌として特に有名なのは1974年から放送されたメガネドラッグのCM、そしてバラエティ番組『ドリフ大爆笑』のテーマ曲「ドリフ大爆笑のテーマ」であろう。「♪ド・ド・ドリフの大爆笑 チャンネル回せば顔なじみ…」で始まるテーマ曲として1978年から使われ、一気に認知された。
ちなみに『ドリフ大爆笑』は1977年の放送初年のみ「月月火水木金金」の替え歌が歌われていたが、歌詞中に放送時間について言及があったため1978年1月末の放送時間変更に合わせて変更されたという経緯がある。
2010年には吉高由里子が出演するサントリー「トリスウイスキー」のCM、2017年にはドミノピザのCM「ド・ド・ドミノの感謝祭」篇、2022年5月より安田顕が出演する東京ガスのCM、さらに2024年8月より草彅剛が出演するエン・ジャパンのCM「エンゲージのうた」篇などで使用されているが、いずれも『ドリフ大爆笑のテーマ』とほぼ同様のアレンジが採用されており、ある種替え歌の替え歌が使用されているといえる。
映画『この世界の片隅に』ではオリジナル版をコトリンゴがカバー、アレンジしたものが挿入歌として使われた。