概要
1915年、第一次世界大戦時にドイツの詩人ハンス・ライプが、ロシアへの出征を前にベルリンのある兵営の営門に歩哨に立った時に創作した詩集に収録されていた戦場の兵士が故郷の恋人への思いを歌った詩を原典として、第二次世界大戦直前の1938年に、作曲家ノルベルト・シュルツェが曲をつけた。1939年に歌手のララ・アンデルセンの歌声を録音したレコードが有名になった。
発売当初は、あまり売れなかったが、販売店の店員がドイツ軍の前線慰問用レコードの中に2枚ほど紛れ込ませた。それが1941年の秋に初めて流され、それ以後も放送で繰り返しかけられて人気を得た。第二次世界大戦下の一時期、21時57分にベオグラードのドイツ軍放送局から流れたこの歌に、多くのドイツ兵が戦場で耳を傾けて故郷を懐かしみ、涙を流したといわれている。また、ドイツ兵のみならずイギリス兵の間にも流行したため、北アフリカ戦線のイギリス軍司令部は同放送を聞くことを禁じるほどだった。
同時に歌手のアンデルセンも慰問で人気者になったが、自身と親しかった作曲家がユダヤ人(当時ナチス・ドイツの迫害対象)だったことが判明すると、歌手活動を禁止されてしまう。
一方、同じドイツ人の女優であったマレーネ・ディートリッヒがカバーし、アメリカでもヒットしている。しかし、彼女はナチス支配下のドイツから逃れてアメリカに渡り、連合国軍の慰問に従事していたため、母国ドイツの人々からは「反逆者」「売国奴」「裏切者」などと思われて嫌われていた。
日本におけるこの曲の事
梓みちよが1975年3月にリリースしたシングルレコード「あかいサルビア」B面に収録した、片桐和子翻訳による日本語版が有名。梓は第26回NHK紅白歌合戦でこの曲を披露している。
他にも加藤登紀子が作詞し加藤自身が歌ったものや、久世光彦作詞で淡谷のり子が歌ったもの、安井かずみが作詞し木の実ナナが歌ったもの、さらには鈴木貴昭の作詞で田中理恵が歌ったものも存在する。
ちなみに田中理恵(鈴木貴昭)バージョンは『ストライクウィッチーズ』第8話でミーナ・ディートリンデ・ヴィルケが披露したもの、と言う設定がある。
余談
機動戦士ガンダム0083に同じ名前の巡洋艦が登場している。
また、超時空要塞マクロスの登場人物の1人であるリン・ミンメイの設定にも影響を与えている。
関連動画
※アンデルセンバージョン
※マレーネバージョン
※梓みちよバージョン
※ミーナ(田中理恵)バージョン