概要
本名はクエンティン・ベック。
ニセスパイダーマンを装って、スパイダーマンを逮捕する大義名分を立てた。作品によっては、彼の名声をそのまま横取りしようとしたことが動機となっていたりするが、その悪事はことごとくスパイダーマン本人によって暴かれてしまっており、逆恨みに燃えた末にスパイダーマンに復讐を誓っている。
様々な機械装置を使い、時には用意周到なセットを組んで闘い、スパイダーマンを幻覚で攻撃し、精神病を発症したと勘違いさせて追い詰めたこともあった。
また、特殊効果を駆使してヴィランの死を偽装したことも。
ヴィランチームのシニスター・シックスの1人。
池上遼一版
本家と同様、ニセスパイダーマンに化けて悪事を働き、スパイダーマンこと小森ユウに濡れ衣を着せていた。
その正体はユウの先輩であるスタントマンの北川であり、表面上は「自分はスターを支える影武者で良い」と語っていたが、内心では日の当たらない立場に強いコンプレックスを抱いており、正体を暴かれて敗北した際には「俺はあんたみたいなヒーローになりたかったんだ」と涙ながらに本心を口にしていた。
スパイダーマン/偽りの赤
コスチュームの上にトレンチコートを羽織っており、ヘルメットがどことなくハカイダーに似たデザインにアレンジされている。
MCU(映画版)
マーベル・スタジオ版の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』でクエンティン・ベックとして登場。
演じるのはジェイク・ギレンホール。日本語吹き替えは高橋広樹。
ちなみに、ジェイクは、サム・ライミ版時代にトビー・マグワイアが「シービスケット」の撮影で負傷した際に主演の代役として候補になっていた。
『アース833』と呼ばれる異世界(マルチバース)より、自らの世界を滅ぼした謎の脅威『エレメンタルズ』を追ってやってきた魔術師のヒーロー。
手から緑色の光線やバリアを出して戦う他、空中飛行などが可能。
原作の緑のタイツと赤いマントの他、青白い光を隙間から放つ金色の鎧を纏った出で立ちをし、戦闘時には原作版のような透明ドームを展開する。
アベンジャーズとサノスとの戦いでアース間の移動ができるようになっているのだが、その結果、エレメンタルズ達がピーター達の暮らす世界「アース616」の侵略を開始する事になり、故郷と家族を奪われた彼は、その脅威をアース616の人々に伝え、共にエレメンタルズと戦ってくれるヒーローを捜し求めていた。
ニック・フューリーの前に現れ、スパイダーマンことピーター・パーカーと共に火のエレメンタルを倒す事に成功するのだが、自分の事しか考えられずにいた事で失敗を繰り返しヒーローとしての不甲斐無さを痛感してしまったピーターは深く落ち込んでしまう。
そんなピーターを優しく励ました事で、自身にトニー・スタークの面影を見出した彼から、トニーの遺品として残されていたサングラスと、それに搭載されていた人工知能「イーディス」を託される事になる。
関連項目
シニスター・シックス スパイダーマン MARVEL E.D.I.T.H.
イリュージョン機能、停止
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ここから先は、映画「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」のネタバレの為、注意
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隠された真実
だが、彼の真の目的はピーターが持っていた「イーディス」であり、上記のピーターに対して友好的な態度は全て「イーディス」を手に入れるための芝居であったことが明かされる。アイアンマン(スターク)がスパイダーマン(ピーター)に託した装置「イーディス(E.D.I.T.H.=Even Dead I'm The Hero)」は、スターク・インダストリーズの全データベースや衛星兵器にアクセスできる人工知能を内蔵した強大な力であった。
実はベックは異世界の人間などではなく、スパイダーマンと共に戦った脅威であるエレメンタルズもまた、ドローンに高レベルのホログラム映像を被せた虚構の存在…
つまりピーターは、イーディスを狙っていたベックが仕組んだ壮大なペテンによって翻弄され、まんまと嵌められてしまったのである。
「スパイダーバース」などマルチバースの世界観が近年のマーベル映画で取り入られてくるようになった中で、この設定はまさにそれを逆手に取ったものと言えるだろう。
ちなみに「アース616」は原作コミックで描かれるメインの世界の番号であり、メタ的にはMCU世界の本来の番号は「アース199999」と設定されている。
ベックの真の正体は、スターク・インダストリーの元社員で、映画『シビル・ウォー』の際に、空中に過去も再現できるほどリアルなホログラムを映し出すシステムを開発する程の天才的な技師であった。
しかし、そんな彼が開発したホログラム・システムを、社長のトニーの鶴の一声で勝手にセラピー用として利用する方針に転換され、おまけにシステム名も「B.A.R.F」…英語で『嘔吐』を意味する下品な名称にされる屈辱を受ける。
当然、自身の事を馬鹿にされたと思ったベックは、トニーにその不満を訴えたのだが、自身の異論を疎ましいとしか思わなかった彼にはあっさり解雇通告をされた挙句、会社からも爪弾きにされてしまい、自らの研究データも会社に没収された彼は、あっけなく全てを失う事になってしまった。
そんな仕打ちを自身に行ったトニー本人は、今や世界中の誰からも愛されるヒーローとなっているという世の中に理不尽さと激しい怒りを感じたベックは、自身の技術を駆使して「トニーの亡き世界のヒーロー」になるという歪んだ野望を抱くようになり、自身と同じくトニーに自らの技術を認められずぞんざいに扱われた人間達を集めて、今回の騒動を画策したのだった。ちなみに同志の1人がMCU版『アイアンマン』の1作目で登場したオバディア・ステインの元部下。
しかし、ヒーローになろうとしているものの、人命については完全に軽視している。
うまくピーターを騙してイーディスを奪う事に成功したベックであったが、ある出来事を機に自らの演じたミステリオの真実をピーターやMJ、ネッドが気付き始めた結果、口封じをするべく彼等の抹殺を考え、一度はピーターの扮するスパイダーマンを撃退する。
しかし、最後はロンドンでの決戦で、ホログラム映像を被せた機銃を内蔵したドローンの攻撃を誤って受けた事で致命傷を負ってしまい、駆けつけたピーターに「人は信じたいものだけを信じる」と、自分が人生で思い知った現実を指す言葉を告げてその生涯を終えた。
目的の為に手段や犠牲を選ばない事に変わりはないが、元は普通の社会人で、努力の末に完成させた発明品を奪われた上でクビにされた点を考えると、前作で登場したエイドリアン・トゥームスと同じく「自己中心的な傾向の強いトニー・スタークの犠牲者」であったという側面もあった人物と言える。
そして、ピーター達がニューヨークに戻った後、死に際のベックの告げたこの不吉な言葉が、最も最悪な形で現実になってしまう事件が巻き起こる。
スパイダーマンを誰よりも憎み、そして誰よりも糾弾し社会的に抹殺する事に固執するあの男の手で…。
その後、物語は完結作の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』へと続いていく事となる…。
関連タグ
スクリューボール…同じく自己顕示欲が強いヴィランであり、『偽りの赤』ではミステリオと共演している。
トゥーフェイス(ダークナイト三部作)…MCU版ミステリオと同じく死後に世間からは英雄として称えられたヴィランであるが、のちに別のヴィランの手で真実を暴露されて評判が地に落ちてしまった。