X-MEN
えっくすめん
概要
原作スタン・リーによる作品。様々なメディアミックスがされ、X-MENのコミックは2009年現在、アメコミ史上第1位のベストセラーとなっている。
X-MENの語源は「EXTRA-MEN」で、生まれながらの超能力者を意味している。
突然変異によって超人的能力を持って生まれたミュータントたちが中心の物語で、ミュータントはその特異な能力から様々な社会軋轢が発生し、マグニートーをはじめとするミュータント・テロリストが現れだした。これに対抗するために結成されたのがX-MENで、そのメンバーはもちろんミュータントである。結成創始者は、プロフェッサーXことチャールズ・エグゼビア教授である。
「X-MENとは、悪の脅威から人類を守り、人類とミュータントの平和的共存を実現するために組織された、ミュータントヒーローチームである」
(テレ東アニメ版X-MEN、オープニングナレーション)
X-MENの敵
彼らの戦う相手は、社会を乱すミュータントたちではあるが、X-MEN最大の敵は、一般市民たちの「差別と偏見」である。
MARVELユニバースにおける、一般人が有するミュータントへのイメージは「超能力を持つ危険な人間もどき」「遺伝子異常の病気持ち」「得体のしれない気味の悪い奴ら」であり、人種差別のそれと同様に、様々な問題が起こっている。何の落ち度がなくとも、ミュータントであるだけで差別され、排斥され、時には私刑を受け殺される事は日常茶飯事。どんな人格者でも、女子供でもそれは変わらない。
能力が露呈しなかったので、今まで人間と思われていたら、実はミュータントだった。そのため、いきなり周囲が手のひらを変えて差別してくるようになった、などという事件も多い。本人でなくとも、近親者や友人知人にミュータントがいるだけで差別の対象になることも。
(加えて、ミュータントを嫌う人間の中には、ミュータント根絶のためなら同じ人間をも平気で犠牲にする過激派も存在している)。
マグニートーがテロ活動に身を投じた理由は、「ミュータントである」という理由だけで、この差別がまかり通る世の中を力づくで変えたいと願ったためである。事実、ミュータントの中にはただ平和に暮らしたいだけなのに、周囲の差別的な一般市民たちの排他的活動のせいで、追い詰められ、望まずとも悪事に加担してしまう、という者も多い。
そして、ミュータントも全てが善人ではない。力をあえて悪用し、己の悪しき欲望を満たす事しか興味がない悪漢や悪党、チンピラも存在する。そして、そのようなミュータントたちの行いが、更なる差別と偏見をもたらす悪循環を生んでいる。
もちろん、非ミュータント側にも、このような差別や偏見を良しとせず、差別に反対する人物や団体も存在する。
しかし、その全ても良心的な理由から反対しているわけではなく、自分たちが地位や名声を得たり、政治的思想や目的を通すため、反対のスタンスを取っている者も少なくない。
中には、「世間の差別と偏見から守るため、ミュータントの子供たちを誘拐し、自分の手元で育てる」という、歪んだ愛情を持つ者すらいる。
X-MENがどんなに世界を救ったところで、ミュータントに偏見を有する一般市民は変わらず差別を繰り返し、時には攻撃すらしてくる。それは一般人のみならず、影響力を持つ著名人や権力者でも変わらない。事実、一部の政治家は合法的にミュータントを強制収容所に収容するような法案を通した事もある。また、劇中に登場した国家「ジェノーシャ」のように、ミュータントを合法的な奴隷にして労働力にしている国も存在する。
命がけで助けても、差別を持つ一般人たちは自分たちを嫌い、殺そうとまでしてくる。
この事実の前に、平和的共存などできないと見切りを付け、去って行った元X-MENも少なくない。
しかしそれでも、彼または彼女が持つ差別と偏見を正すために、称賛無き戦いを続けねばならない。ある意味、差別的感情を持つ全ての人間が、X-MENの敵になる可能性を有しているのだ。
このミュータントを取り巻く社会的差別は、現実のアメリカ社会の人種差別問題を下敷きにしており、差別が社会的断絶と犯罪を生み出すというリアルな負の連鎖を描いているのである。
故に、X-MENという物語も、苦々しい内容のものが多い。
しかし同時に、X-MENの活躍を目の当たりにする事で反省し、自分の差別的感情を改める者も、わずかではあるが出てきてはいる。
X-MENの戦いとは「一般人の差別との戦い」であり、それは終わる事の無い永遠の戦いである。
派生チーム
X-MENはメンバーが多く、チームもまた多い。
離脱した元メンバーが、新たなチームを作ったり、そのメンバーが元のチームに復帰して、新たなメンバーが入って定着したり、チームそのものが発展解消したりと、発生と変化とが激しい。
ほとんどが、頭文字に「X」が付く。
Xファクター
離脱した、X-MENの最初の五名のメンバー(サイクロップス、ジーン・グレイ、アイスマン、ビースト、エンジェル)が、再び集まって結成したチーム。
当時マグニートーがX-MENに在籍しリーダーになっていた事から、悪のチームになったものと勘違いした五人が、新たに結成した。
アドバイザーとして、エンジェルの友人であるキャメロン・ホッジを招いている。
民間のミュータント関係のトラブル解決業者を装い、ミュータントを自分たちなりに保護していた。
ただし、この活動を優先させたために、サイクロップスは当時結婚していたマデリーンおよび子供との家庭生活を破綻させてしまい、「インフェルノ」事件を起こす事に。また、ホッジは実はミュータント差別主義者であったため、後にヴィラン化している。
助けた若きミュータントたちは、「Xターミネーターズ」を結成。彼らは後にニューミュータンツに合併吸収される。
後になって誤解が解け、五人がX-MENに戻ったことにより消滅。
そして、ミューア島でヴィラン「シャドウキング」との戦いを終えた後、政府関係者ヴァレリー・クーパーの元で、解散した政府公認ヒーローチーム「フリーダム・フォース」の後釜として再結成される。
その際に、ハボックをリーダーとして、新たなXチームとして定着した。
後にフォージがリーダーを務め、セイバートゥースやミスティークも参加していたこともある。
後に解散するも、元メンバーのミュータント、「マルチプルマン」ことジェイミー・マドロックスが所長となり、『Xファクター探偵社』を開設。
NY近郊の「ミュータントタウン」に探偵事務所を構え、旧XファクターやX-MEN、および他のXメンバーたちを数多く社員として在籍させている。
サイク校長時代のX-MENとは揉めた事もあり、他のXチームからはやや距離を置き、独自に活動している。
ニューミュータンツ
X-MENの皆が全滅(行方不明になっただけで、後に帰還)した後、プロフェッサーXが若輩および未成年のミュータントたちを集めて作った新チーム。
元々は、ヘルファイアークラブが集めていた若者や子供のミュータントたちの受け皿として結成されたチーム。
後になって、マグニートーも一時期率いている。
X-MENの後輩チームのような存在だったが、実戦に参加したメンバーが死亡、後々に影を落とす事になる。マグニートーが離れた後に、ケーブルがリーダーに就任。Xフォースに発展解消した。
また、ずっと後になり、サイクロップスがエグゼビア高等学院の校長を務めていた頃にも、当時の生徒たちの活躍を描くタイトルとして発刊されていた。
旧メンバーのイリアナ・ラスプーチン(X-MENのコロッサスの妹)が帰還した際、旧メンバーたちが集まった事もある。
Xフォース
上記ニューミュータンツに、ケーブルがリーダーとして参加したチーム。ケーブルの元で鍛えられ、戦闘集団として実力を付けた。更に「シャッタースター」「フェラル」「ドミノ」といった、戦闘能力の高いメンバーも加わったため、かなり攻撃的なチームとなっている。
ケーブルがリーダーのためか、ミリタリーチームのような趣を有し、必要ならば敵も殺す。
また、赤ん坊を連れて逃走したケーブルを討つために、サイクロップスがウルヴァリンをリーダーにして再結成した事もあった。
後に全Xチームが解散する事態になっても、サイクロップスはこのXフォースを手元に置き、対反ミュータント勢力に対抗する暗殺チームとして運用していた。
更にこの後に、サイロックとストームが中心となって、再結成されている。
※なお、後に、セレブ・タレントのミュータントたちが「Xフォース(後にX-Statixに改名)」と名乗る集団を作り、メディアの前に現れる……という作品が2000年代に登場するが、これはX-MEN関連とは無関係である。こちらはほとんど全員が死亡している。
エクスカリバー
イギリスをホームタウンとしているチーム。キャプテン・ブリテンがリーダーに。ナイトクローラーやシャドウキャットなども在籍していた。
元は、「ミュータント・マサカー」事件で重傷を負ったシャドーキャットと、ナイトクロウラーが、イギリスにあるミューア島のモイラ・マクタガート博士のところで回復を図っていた時に、X-MEN全滅(後に帰還するが)の報を聞き、イギリスのヒーロー「キャプテン・ブリテン」、およびその恋人・メガンとともに、X-MENの志を継ぐために結成した。
最初の事件では、異世界モジョ・バースから逃げてきた地球人、レイチェル・サマーズ(未来におけるジーン・グレイ=フェニックスの娘)を保護している。
ハウス・オブ・M事件の後のニュー・エクスカリバーには、正義側に転向したジャガーノートも在籍していた。
ジェネレーションX
90年代に発足した、新世代のニューミュータンツとも言えるチーム。X-MENを離れたジュビリーを中心に、新たな若きミュータントたちがメンバーになった。バンシーとエマ・フロストが率いていた。
後に色々あって解散。2017年から、吸血鬼化したジュビリーを中心に、再び結成される。
X-コーポレーション
プロフェッサーXが世間に自身の事を公表した後、世界規模でミュータントの保護を行うために設立した組織。
ダークX-MEN
ノーマン・オズボーンが、エマ・フロストをリーダーにして手元に置いていたミュータントチーム。いわばダークアベンジャーズのX-MEN版であるが、ダークアベンジャーズとは仲が悪い。
アベンジャーズ(いわゆるダーク・アベンジャーズ)の実権を握ったオズボーンが、自身がミュータントにも影響力があることを示すために編成した。
しかしサイクロップスの機転により計画は失敗。ミュータントを支配するどころか、ユートピアでのミュータント独立国家建設という事態を招いた。ただし、一般人には記者会見などで権威を示し、政府公認のミュータントチームであるかのように振る舞っている。
ミュータントとしての知名度が低い者をメンバーにしているが、サブマリナーやクローク、ダガーなど、半数近くのメンバーが非ミュータント。ミュータントのメンバーは、ウルヴァリンの息子ダケンや、並行世界から来た邪悪な性格のハンク・マッコイ=ビーストこと、ダークビーストなど。また、プロフェッサーXがリーダーに入っているが、これはミスティークの変身による偽物(本物はオズボーンに囚われていた)。
後にメンバーのほとんどが、サイクロップスの元へ離脱してしまった。
メディア展開
アニメ
『X-MEN(パイロット版)』
1989年にアメリカで放映された90年版のパイロット版キャラクターのデザインが異なり作画がいい
日本未放映。
『X-MEN』
1994年から1995年までテレビ東京系でテレビアニメが放映された。いわゆる「テレ東版X-MEN」。
音響監督は岩浪美和が担当。後期は、放送時間が移動している。
オープニングとエンディングは日本オリジナル。オープニングは前期後期の2バージョンあり。
また、タレント・岡本夏生をMCおよび画面内に合成させた特番「岡本夏生のX-MEN大好き!スペシャル」も放送されている。
2005年12月より、トゥーンディズニー(現:ディズニーXD)でキャストを変更して全話放送された。
主題歌
原語版OP『X-Men Main Theme』
作曲 - ロン・ワッサーマン
日本語版前記OP『RISING』
作詞 - 北川浩/ 作曲 - 篠根晃彦、遠藤修平 /編曲・歌 - AMBIENCE
日本語版後期OP『抱きしめたい誰よりも…』
作詞 - 北川浩、遠藤修平/ 作曲 - 篠根晃彦 /編曲・歌 - AMBIENCE
日本語版ED『BACK TO YOU』
作詞・作曲 - 遠藤修平 /編曲・歌 - AMBIENCE
映画シリーズ
「X−MENユニバース」を参照。
ゲーム
コナミ
- 『X-MEN』 - ベルトスクロールアクションでリリース。筐体によっては6人同時プレイが可能。