概要
JR九州長崎本線系統の特急「かもめ」(博多駅〜長崎駅間)の速度向上を目的として開発・新製された振り子式電車である。水戸岡鋭治氏によるデザインで、2000年3月11日から営業運転を開始した。白をベースとした塗色から「白いかもめ」と称される。
2001年に鉄道友の会のブルーリボン賞、日本産業デザイン振興会のグッドデザイン賞、さらにヨーロッパの「ワトフォードグループ」が選ぶブルネル賞大賞を787系、883系に続いて受賞し、その優秀さを不動のものとした。
全車両が日立製作所で製造。車体はA-Trainの技術を用いたアルミニウム製。内装としてはグリーン車・普通車とも本皮革張り座席(※革が劣化した座席については、後に通常のモケットへ交換)を採用、床張りをフローリングとしたことが特徴である。
仕様変更など
- 2001年3月3日からは、日豊本線の特急「ソニック」(博多駅〜大分駅間)の増発用に2次車が増備(こちらは「白いソニック」)。帯色も1次車の黄色から青色へ変更、また細かい点では前照灯の大きさ(2次車のほうが大きい)やワイパーの本数が異なっている(3本→2本)。当初は「SONIC」のロゴをつけていた。
- 「ソニック」運用自体は、2000〜2001年の間1次車が2往復で運用入りしていた。
- 2次車は当初5両編成だったが、2003年2月20日より中間車1両を追加し6両化。
- 2次車が6両化されてからは、走行距離の調整や車両の運用効率を上げるために1次車7編成と2次車4編成で共通運用となったが、1次車と2次車の塗装の区別は当分の間残された。
- 2010年末から1次車の塗装を2次車と同じ青帯へ変更、また全車両のロゴの変更(787系と同じ「AROUND THE KYUSHU」)が2012年度までに行われた。
- 2003年7月18日、1次車のSM3編成が長崎本線の肥前長田駅〜小江駅間を特急「かもめ46号」として走行中に脱線転覆事故に遭遇。大破した博多寄りの3両が同年9月1日付で廃車となり、代替として2004年3月23日に400番台の3両が(1次車と同じ車体で)新製されて復帰した。
使用列車
列車名 | 運行系統 | 主な走行区間 | 運行期間 |
---|---|---|---|
かもめ | 長崎本線 | 門司港・博多〜長崎間 | 2000〜2022年 |
リレーかもめ | 長崎本線・佐世保線 | 門司港・博多〜武雄温泉間 | 2022年〜 |
みどり | 長崎本線・佐世保線 | 博多〜佐世保間 | 2002〜2003年、2022年〜 |
かささぎ | 長崎本線 | 門司港・博多〜佐賀・肥前鹿島間 | 2022年〜 |
ソニック | 日豊本線 | 博多〜大分間 | 2000年〜 |
きらめき | 鹿児島本線 | 門司港・小倉〜博多間 | 2000〜2005年、2008〜2009年 |
2022年9月23日の西九州新幹線(武雄温泉駅〜長崎駅間)開業に伴うダイヤ改正では、従来の在来線特急「かもめ」が廃止され、本系列は新幹線と接続する特急「リレーかもめ」(博多駅〜武雄温泉駅間)へ転用された。この他、佐世保線の特急「みどり」(博多駅〜佐世保駅間)の一部に導入され、同日新設された特急「かささぎ」(博多駅〜佐賀駅・肥前鹿島駅間)にも使用される。
ちなみに
- なお、熊本県・鹿児島県での営業運転の運用実績はない(ただし、熊本県は試運転での入線はあるので、鹿児島県のみ一度も入線した事がない)。
- 台湾とイギリスへは885系をベースにした日立製作所製の車輌が輸出されている。
- 台湾では外装の整理とシートピッチの拡大・交流電圧25000V対応の改設計を受け、TEMU1000系「太魯閣号」として活躍。原型の885系より受け継いだ振り子機能を持ち、主に東部幹線地区の主力特急として活躍している(主に台北~花蓮の電化区間)。