コミック版と実写映画版『アイアンマン3』では設定が異なるため、ここではそれぞれ分割して解説する。
原作におけるアイアンパトリオット
正体:ノーマン・オズボーン
スパイダーマンの宿敵の1人、グリーンゴブリンその人。幾度と無くヒーロー達と対戦し、近年になって正体が世間に知られてしまったが、改心した振りをしたヴィラン達のチーム・サンダーボルツのリーダーになっていた。そして地球侵略を企むスクラル人との戦いである「シークレット・インベージョン」事件の最終決戦に参戦し、こともあろうか英雄となってしまった(全面戦闘を仕掛けて来たスクラル人の女王にトドメを刺した為)。
一方、スクラル人との戦いにより失脚したトニー・スターク(アイアンマン)から、アイアンマンの装備を奪い取り、大統領令によって解体された「S.H.I.E.L.D.」を再編させた「H.A.M.M.E.R.」の長官に就く。
その後有力ヴィランに呼びかけ、秘密結社を結成。更に他の悪人を集め実際のヒーロー達になり替わり「ダーク・アベンジャーズ」を結成し、自らはトニーから奪ったアーマーに塗装を施しアイアンパトリオットとなって活動。表向きはヒーローを装いながらアメリカを手中に収めるべく様々な陰謀を巡らしている。
しかし、その後…
アイアンマンとパキスタンで直接対決し、トニーのマーク0アーマーに手こずるも、ボコボコにしてトドメを刺そうとするが、その光景は世界に生中継されていた。結果、己の凶暴性を世間に露呈してしまう。
おまけに、アイアンマンが安楽死の権利をドナルド・ブレイク(ソーの地上での姿)医師に委ねたために現在の自身の立場上、合法的に殺す事が出来なくなってしまった。
「シージ」の展開でオクラホマに出現したアズガルドをダーク・アベンジャーズ及び「H.A.M.M.E.R.」を率いて進撃するも、大統領の命令に背いた暴走行為だったため後ろ盾を失い、また復活したキャップ率いるヒーロー達の反撃に遭い敗北。逮捕・収監された。
アーマーはアイアンマンアーマーのマーク25(マーク26「エクストリミスアーマー」の一つ前)がベースとなっている。
但し、純粋なリパルサー技術はトニーにしか扱えないという理由で、リパルサーレイではなく普通のプラズマ・ブラスターを武器とする。
当時のアイアンマンアーマーの中では特殊用途モデルを除いてもやや旧式のマーク25をベースとしたのも、高度なテクノロジーを扱えないという判断からだろうか(マーク26がエクストリミスアーマーであるように、以降のアーマーは他所で見付けた技術を載せたものが多い)。
所謂「にせアイアンマン」だが、星条旗をモチーフとしたカラーリングからわかる通り、かつてキャプテン・アメリカが担っていた国家の象徴としての役割も負っている。事実、ダークアベンジャーズに「にせキャプテン・アメリカ」は存在していない。
アベンジャーズを騙るに当たって星条旗を背負う存在は欲しいが、キャップそのものを模倣することで起こる世論の反発を回避するための妙案であり…その役を自分が演じるという辺りにノーマンの人間性が現れている。
二代目アイアンパトリオット
本名:トニー・ホー
トニー・スタークと共に獄中でアイアンマンMk.Iを作り、犠牲となったインセン・ホー教授の娘(母親が中国人)。
中国系アメリカ人の天才少女。アジア人ということで差別されたが、その反動で勉学に励み、カリフォルニア工科大学で学位を3つも取る天才となった。
サンスポットに買収されたA.I.M.が悪事をやめた際に加入し、同組織の技術部長まで昇進する。当初はアイアンマンアーマーの派生品であるレスキューアーマーを着用した。
その後、タイムマシンと巨大ロボットを作る片手間に二代目アイアンパトリオットアーマーを制作、自ら着用してUSアベンジャーズに加わった。
ちなみに同性愛者。チームメンバーのエニグマと付き合っていた。
トニーの制作したアーマーは初代アイアンパトリオットとは関連を持たない完全オリジナルで、彼女自身の信条から非殺傷兵器を搭載し、リパルサーのような殺傷兵器は持つたないのが特徴。
女性的だったレスキューアーマーに比べて男性的なシルエットを持つが、初代よりアーマー然としており、デザインやカラーリングも初代とは異なる…というか、見た目は映画版とほぼ同じである。
更に着用者であるトニーの体格に比してアーマーの方がかなり大柄なため、着るというより乗るような感じになっている模様。
MCUに登場するアイアンパトリオット
映画『アイアンマン3』で初登場。
マンダリンによる犯行予告後に誕生した政府公認のヒーロー。
その正体はトニーの親友である軍人:ジェームズ・ローズ。
前作にて泥棒……もといいただいたスーツを改造して「ウォーマシン・マーク1」と襲名したものはアイアンマン・マーク2へと戻され、トニーに返還されているため、新規製造された「ウォーマシン・マーク2」が原型となっている。
ウォーマシン・マーク2はマーク22ホットロッドこと試作型ウォーマシン・マーク2が原型となっており、同性能でありながら軽量化されている。合衆国政府がウォーマシン・マーク2を星条旗カラーにチェンジしたものだが、塗装と武装が異なる以外に内部のプログラムにも改良が加えられている。
劇中ではA.I.M.によって奪われ、大統領暗殺に利用されそうになるが、最終的にはトニーとジェームズの手によって奪還され、大統領も無事救出された。
※『アベンジャーズ/エンドゲーム』のネタバレを含みます。閲覧注意。
エンドゲームでは、サノス軍の襲撃によって破壊されたウォーマシンのスーツに代わって新型アイアンパトリオットがローディの装着スーツとして再登場。アイアンマン3から実に6年ぶりの再登場を果たす。この状態の立体物はウォーマシン名義ではなくアイアンパトリオット名義になっていることからも、明確にウォーマシンとは別のスーツだと公式で区分けされているのがわかる。
設定的にはウォーマシンスーツとほぼ変わらないと思いきや(おそらく観客の大部分が気付かなかったかもしれないが)、カラーリングが例の星条旗の三色となっている他、武装が増え、さらに大きくマッシブなフォルムとなっている。そのゴツさはコレやアレにも匹敵する。
スリングリングのワープホールを通ってきた増援の方々が出揃う中、アベンジャーズ基地の瓦礫を突き破ってジャイアントマンに救助されてロケットと共に登場。
キャップのアッセンブルコールによって他のアベンジャーズ連合の一員として突撃。目立った活躍こそなかったもののサノス軍を相手に奮闘し生還。
そして、ピーターやペッパーと共に、親友の最期を見届けるのであった。
アニメ『アルティメット・スパイダーマン』に登場するアイアンパトリオット
シーズン4『vsシニスターシックス』で登場。
着用者は原作通りノーマン・オズボーン。
シーズン2~3ではグリーン・ゴブリンとして暴れていたノーマンだったが、結果的にグリーン・ゴブリンとしての力を失い、普通の人間に戻っていた。
過去の罪滅ぼしのためにアイアンマンによく似たアーマーを独自に開発して「アイアンパトリオット」と名乗ってヒーロー活動をしていたが、シニスターシックスとの戦いでドクター・オクトパスに再び薬物を投与され、グリーンゴブリンに戻ってしまうがシーズン4にて自作のワクチン服用することで薬物を投与されてもグリーンゴブリンに変身することはなくなり、再びアイアンパトリオットとしてヒーロー活動を再開した。
余談だが息子のハリー・オズボーンもアイアン・パトリオットのアーマーを元に開発されたアーマーを装着して「パトリオティア」と名乗り、ヒーロー活動を開始した。
原作ではヴィランだったアイアンパトリオットが、着用者はそのままにヒーローとして登場した訳で、原作を知る視聴者にとっては胸熱な展開と言えるだろう。
関連タグ
MARVEL ダークアベンジャーズ アイアンマン アイアン・パトリオット(表記揺れ)