「自分の息子だから止めを刺すのを躊躇っただとぉ!? 駄目だそんなのはっ! カァーッ!」(第8話)
「弟子の罪は師匠の罪だ、こうなったらワシ自らの手で、ダイレンジャーめを葬ってくれるわ!
ホーホッホッホ!ホーッホホホホホ・・・!」(同上)
CV/演:大月ウルフ
登場話数: 第7話「裏切り者ォッ!」、第8話「おやじィィッ!」
概要
大僧正リジュの怪人態。ノコギリを模した頭部に縦に並んだ三つ目と、身にまとう真紅の道着が特徴で、戦闘においては一対のノコギリを得物として振るう。
作中での動向
5体の気伝獣全ての復活という事態にシャダム達が焦りを見せる中、ゴーマ十五世の命によって3人を「助ける」べく現れたリジュは、ダイレンジャー潰しのためまずは道士・嘉挧の打倒を画策。愛弟子である鉄面臂張遼をその刺客として差し向ける。
しかし嘉挧を後一歩のところまで追い詰めながらも、乱入してきた亮が実の息子であると知って張遼が止めを刺さずに去ったと知ったリジュは、前述の通り自らが始末をつけるべくダイレンジャーを「地獄の一丁目」へとおびき出し、気力ボンバーをも片手で難なく跳ね返して圧倒してみせた。
「お前か!張遼を惑わしたのは? まずお前から血祭りにしてやらぁ」
上記の台詞からも窺えるように亮に対する怒りは特に凄まじく、「見学」させていた張遼の眼前で変身が解除された亮を、手や口から放つ妖力波で執拗なまでに痛めつけるが、土壇場で助けを呼ぶ息子の絶叫に心を動かされた張遼の刃を不意打ち同然に喰らい、それでも妖力波による反撃で深手を負わせるも、張遼の渾身の気力を受けて吹き飛ばされてしまった。
その後、張遼が天に昇っていった直後にノコギリ大僧正の姿で巨大化し、再びダイレンジャーの前に立ちはだかる。
対するダイレンジャーは、張遼達過去の戦士達から託された大いなる力で大連王を誕生させ、両者ともしばしの間睨み合いにおよぶが、しびれを切らして挑みかかったノコギリ大僧正は逆に大連王の鮮やかな剣撃を喰らって得物を取り落とし、そのまま大王剣・疾風怒濤で両断された末、
「ワシが負けるなんて・・・ないぞよ・・・!!」
という断末魔を残して夕陽の中に散っていったのであった。
備考
演者の大月は、ハスラー教授役として出演した『大鉄人17』(1977年)などに代表されるように独特の一挙手一投足に定評のある俳優の一人であり、『高速戦隊ターボレンジャー』(1989年-1990年、流れ暴魔カシム役)以来のスーパー戦隊シリーズへの出演となる本作においても、そうした怪演ぶりを遺憾なく発揮。その出自に由来した西欧風の容貌と相まって、ゴーマという組織の根底に流れる無国籍なテイストをより強く体現してみせた。
デザインは篠原保が担当。あらかじめまとめてデザインを上げていた初期の4体に対し、各回のエピソードに応じてデザイン作業に当たるようになってからの最初の1体でもあり、そうした事情からモチーフのみのシンプルなラインを志向していた前者とは異なり、ノコギリの要素だけでなく和服っぽさも「おかずをちょっと一品加えるいらん気遣い」で盛り込まれるなど、デザイン的にはちょっと胃もたれする感じと後年のインタビューにて言及している。
またデザイン画稿で白とされていた二の腕と腿の布地部分は、造形の段階で赤へと変更された。
人間態である大僧正リジュの名は、『三国志』に登場する董卓の軍師・李儒に由来する。李儒もまた主君と共に数々の悪行を行ったことで知られており、その点においてはピッタリのネーミングである。
人間態のデザイン、それに闇堕ちした主人公の実父の師匠という設定は、登場エピソードのストーリー展開と併せて、『STARWARS』シリーズのダース・シディアスを意識したものではないか、と指摘する声も根強く残されている。
関連タグ
田豊将軍:リジュと同様に「元老院」の重鎮であるが、登場時期の違いもあってか作中で描かれている範囲では面識はない
ヂェンゾス、ノコギリバンキ→チェーンソーバンキ、妖怪カマイタチ:いずれもノコギリ(チェーンソー)をモチーフとした、戦隊怪人の後輩達。