堂島宗兵
どうじまそうへい
CV:水木竜司(『2』)、江川央生(『0』『極2』)
概要
東城会直系「堂島組」組長で、主人公・桐生一馬やその幼馴染の錦山彰の渡世の親であり、堂島組若頭・風間新太郎や嶋野組組長・嶋野太の兄貴分でもある。また、近江連合の幹部・郷田龍司の実父の仇でもある(龍司本人は気にしていないが)。
背の低い団子鼻の男性で、サングラスとパンチパーマ、髭で見るからにその筋の人間に見える。また、欲しいモノはどんな手を使ってでも手に入れる強欲な性格で女癖も悪い。
来歴
龍が如く0 誓いの場所
東城会3代目会長の最有力候補とされていた組の全盛期が描かれており、この頃は神室町から離れた場所に大きな屋敷の様な拠点を構えていた。土曜8時のテレビ番組を見るのが趣味らしい。
「神室町再開発計画」を成功させて東城会に莫大な利益をもたらすことで会長の座を確実にするため、100億円以上をつぎ込んで地上げを行っていた。しかし地上げした区画の中心にある空き地「カラの一坪」の所有者が分からず計画の行き詰まりに悩んでいた。
当時の組は司令塔の風間、武力行使の久瀬大作、情報収集と渉外の阿波野大樹、裏方の渋澤啓司という優秀な4人体制で盤石な勢力を築いていた。
しかし、組としては全盛期だが、自身の組内での立場は揺らぎ始めていたようで、組の運営を実質取り仕切っていた風間を恐れ、秘密裏に雇っていた殺し屋・老鬼を操り「カラの一坪」で殺人事件を引き起こして濡れ衣を桐生に被せ、その責任を問う形で風間を失脚させようと目論む。
そして、風間に累が及ばないよう桐生が破門を願い出た際は、勝手に桐生抹殺を目論んだ上に失敗した久瀬に指詰めをさせ、桐生の破門を彼が五体満足の状態のまま承諾する。しかし風間潰しを止める気はさらさら無く、全て忘れて真っ当な暮らしでもするよう桐生に勧めて放り出した。
ところが、自分達と同じく「カラの一坪」を狙う商売敵である立華不動産の社長・立華鉄に桐生が与し、泰平一家のシノギを潰したことにより、ただの元構成員から倒すべき敵へと認識が一変。久瀬に代わり台頭した泰平一家組長・阿波野を指揮官に据え、組を挙げて桐生抹殺を試みる事となる。
神室町では東城会に劣らぬ影響力を持つ立華をして「不可侵地帯である亜細亜街しか逃げ場がない」と言わしめる程の包囲網を敷いて桐生を追い詰め、更に亜細亜街にも掟を破って組員を送り込む、本家二代目会長代行・二井原隆が追跡中止を指示しても無視するなど手段を選ばなくなっていく。
これだけ書くと組織の掟すら守れないただの外道だが、風間が(宗兵自身が蒔いた種とはいえ)堂島組の失脚を目論んでいたのは事実であり、立華と桐生が風間の手先である以上、不可侵を盾に東城会内部抗争の当事者を匿ったという意味で亜細亜街にも問題があったと言えるし、本家に対しては「飽くまで宗兵と直属の部下との問題であって本家の介入は筋違い」という主張が成り立つため、それなりに筋は通っている。
その後、渋澤の工作で捕らえた立華が死ぬとその妹にして「カラの一坪」の持ち主であるマキムラマコトが兄の仇討ちをすべく現れ、「カラの一坪」の対価として若頭補佐3人の処刑を要求するが、宗兵は老鬼に躊躇なくマコトを始末させる。マコトを探していた真意は「カラの一坪」の買い取りではなく、相続権のある人間を残らず始末して私有地である事実を闇に葬ることだった。
マコト発見に最も貢献した渋澤を若頭に据えて野望は達成されたかに思われたが、阿波野の死や渋澤と久瀬の逮捕がきっかけとなって組員の大半と若頭補佐を三人も失い、更には風間派である日狭連総裁・世良勝が実は生きていたマコトから「カラの一坪」を譲り受けたのに加え堂島組の悪事の証拠として老鬼の身柄を確保したため「神室町再開発計画」の主導権を失ってしまう。
事件後は世良の傀儡として東城会若頭就任の後見人を引き受けさせられ、風間に組の実権をほとんど奪われてしまった。
トップは陣頭指揮をしないのが普通であるからほぼ部下任せなのは仕方なく、自ら土地について調べを付けたり外国人の老鬼を見つけ出して招聘したりといった点から無能とも言い難いのだが、それらを差し引いても今一つリーダーシップを感じさせる描写が無く、老鬼が真島に倒された時に至っては完全に臆してしまい、折角一方的に銃で撃てる状況で外すなど小心ぶりが露呈。『0』発売以前の「昔は大物」説はほぼ否定されることとなった。
(しかし、『0』以前の過去については未だ不明なため、そちらに焦点が当たれば話は別かもしれないが、主人公の座が桐生から春日一番に移った今、それは絶望的だろう。前述のそれなりに出来る一面や、風間・嶋野に加えて若頭補佐の3人も人材発掘していたのが描写されたことから「大物ではないが無能でもない」「人材を見る目だけはあった。東城会の頂点に立つ器だと驕り過ぎたのが良くなかった」とフォローするプレイヤーも現れたのがせめてもの救いか)
上記の桐生からの「クソみてぇな親」という発言に若頭の座を約束された渋澤も反論しない辺り、三幹部からも大して慕われておらず、単に損得で従ってただけな可能性も高い。
龍が如く / 龍が如く極
『0』での騒動から約7年に渡り部下である風間の傀儡状態のまま、お飾りの組長として鬱屈とした惨めな日々を送り、そして物語冒頭、桐生や錦山の幼馴染である澤村由美を拉致して自分のものにしようとしたため、激昂した錦山に銃殺される。
しかし、結果的に自分の野望を潰した人間の一人である桐生の極道としての栄達を妨害する事に成功して彼から錦山と由美を奪った(その最期をファンから『0』の時の仕返しと揶揄されている)。
事実、由美を攫ったのは桐生の組立ち上げを目前に控えた時期であり、桐生組発足を妨害する意図もあって由美を襲った可能性は否定出来ない。
この頃宗兵自身はすっかり落ちぶれたものの、「堂島の龍」こと桐生一馬個人の働きが大きいとはいえ組としての名声はある程度保たれていた。
ところが宗兵の死後、組を継ぐべき若頭の風間が何故か風間組として東城会直系に昇格し、大半の組員を取られてしまった。このような組への裏切り行為を風間自ら行ったとは考えにくく、誰による人事かは不明だが、当時の宗兵の人望の無さを窺い知ることは出来るだろう。
ちなみにこの時点で桐生は舎弟頭補佐、つまり宗兵と兄弟盃を交わしていたことになるが、いつ交わしたのかは不明。
また、『ONLINE』にて、『1』の過去回想である1993年に桐生が蛇華との偽造パスポートを巡るトラブルで拉致された事件の黒幕であった事が判明した。
龍が如く2 / 龍が如く極2
1980年頃の過去回想にて登場し、風間と当時堂島組に所属していた嶋野に対し、韓国マフィア「真拳(ジングォン)派」の始末を命じて壊滅に成功する。これにより真拳派のみならず神室町の海外マフィアコミュニティは大打撃を受け後退、東城会は一気に勢力を伸ばし、その立役者である堂島組や最前線で活躍した嶋野組は組織内での地位を高めた。
劇中で描かれた宗兵唯一にして最大の成功した事業であり、策略家の評価は機を逃さずに始末の決断を下した事に尽きると言える。
この回想シーンでは大物然とした雰囲気を放っており、嶋野も彼の命令には嬉々として従っており、また真拳派襲撃に消極的だった風間を「お前の言うことが分からんでもない」と擁護しつつ、「このままだと堂島組が壊滅しかねない」「叩くなら今しかない」「下手な情を挟めばそれが禍根を残す」と説得するなどの一面もあり、この頃が宗兵個人としての「全盛期」だったことが覗える。また、風間が見逃した真拳派の2人が、本編にて東城会に与えた影響を考えると、彼の言い分が正しかったことが分かる。
評価
堂島組を一時は東城会最大勢力に押し上げた策略家とは言われるものの、そもそも全盛期の『0』ですら嶋野や風間、そして敵対していた立華には東城会のトップになる程の器も頭もないと評されており、特に嶋野からは「頭の足りん小物」と馬鹿にされ、渡世の子である桐生にも「クソみてえな親」と言われ、『1』の時点で錦山にも「昔の自慢とメンツの話しかできやしねえ」と見下されていたあたり、既に過去の人扱いだった様である。
このようにとんでもないダメ男だが、妻である堂島弥生は夫の死後も変わらず一途であり、女傑である彼女を惹きつける魅力があったらしい。敵討ちに動く元組員もそれなりにいる(ただし、彼を慕う元組員は無法者ばかりである)。
また、『1』の序盤におけるモブとの会話でも、「昔は本当に凄かったよ 今じゃすっかり醜くなっちまったがな」と評されており、少なくとも『0』よりも以前の若い頃は大物と見られていた可能性もある。
周囲からは散々な評価を下されている上、『0』ではその評価が妥当だと証明されてしまったが、組を運営する能力は持ち合わせており、「二次団体の組長辺りの地位が分相応」と評した立華の言葉も、裏を返せば東城会の幹部としての能力は持っているとも取れる。
そもそも、彼の部下は風間、嶋野、久瀬、阿波野、渋澤と出来る男揃いであり、彼らの人材としての真価を見抜いて取り立てていた辺り、どっかの四代目と違い、人を見る目はしっかり持っていたのは確かだ。
そうしたこともあってか、『7』のデリバリーヘルプでは、堂島大吾と東城会を背負って立っていた極道界のエリートたちと共に一斉掃射を放つ「極道たちの挽歌」という技の演出において、しっかり宗兵も混じっている。
しかし、15周年記念ファンブック『龍大全2』においては「部下に恵まれすぎた小物」「桐生、錦山、風間、嶋野、久瀬、阿波野、渋澤らが堂島組の出身なのは堂島宗兵に求心力があったわけではなくただの偶然」などと、作中に負けず劣らない身も蓋もない評価をされている。
ただ、偶然とはいえ、自分の下に付いた有能な部下を重用している辺り、部下の能力を見る観察眼は間違い無かったとも言える。