曖昧さ回避
概要
尾田栄一郎先生の作品『ONEPIECE』58巻の第573話「この時代の名を”白ひげ”と呼ぶ」での赤犬(サカズキ)とポートガス・D・エースのやり取りから発展したネタ。
主要キャラの重大なネタバレに繋がるため、使用の際は注意。
赤犬「エースを解放して即退散とは とんだ腰抜けの集まりじゃのう 白ひげ海賊団 船長が船長…それも仕方ねェか………!!“白ひげ”は所詮…先の時代の“敗北者”じゃけェ…!!!」
エース「(ザッ!!)」
ルフィ「!? エース!!」
赤犬「!」
エース「ハァ…ハァ… 敗北者……?」
赤犬「?」
エース「取り消せよ……!!! ハァ… 今の言葉……!!!」
ビザール「おい よせエース!!! 立ち止まるな!!!」
モブ海賊「エース!!?」
赤犬「………」
エース「あいつオヤジをバカにしやがった……」
ルフィ「エース!!!」
赤犬「お前の本当の父親 ロジャーに阻まれ 「王」になれず終いの永遠の敗北者が“白ひげ”じゃァ どこに間違いがある…!!
オヤジ オヤジとゴロツキ共に慕われて… 家族まがいの茶番劇で海にのさばり」
エース「………やめろ……!!」
赤犬「……何十年もの間 海に君臨するも 「王」にはなれず…何も得ず……!!
終いにゃあ口車に乗った息子という名のバカに刺され…!! それらを守る為に死ぬ!!!」
スクアード「……!!」
赤犬「実に空虚な人生じゃあありゃあせんか?」
エース「やめろ……!!」
イゾウ「のるなエース!!! 戻れ!!!」
エース「オヤジはおれ達に生き場所をくれたんだ!!!
お前にオヤジの偉大さの何がわかる!!!」
赤犬「人間は正しくなけりゃあ 生きる価値なし!!!
お前ら海賊に生き場所はいらん!!!
“白ひげ”は敗北者として死ぬ!!! ゴミ山の大将にゃあ 誂え向きじゃろうが」
エース「“白ひげ”はこの時代を作った大海賊だ!!!
(おれを救ってくれた人をバカにすんじゃねェ!!!)
この時代の名が!!! “白ひげ”だァ!!!」
モブ海賊「やめろエース~~!!!」
アニメ版
482話に収録されている。
赤犬「火拳のエースを解放して即退散とは、とんだ腰抜けの集まりじゃのう白ひげ海賊団」
モブ海賊「何ィ?」
キングデュー「見え見えの挑発に乗るんじゃねぇ!!立ち止まったらそれこそ奴の思う壺だ!!」
赤犬「まぁ船長が船長…それも仕方ねェか……!!
白ひげは所詮……先の時代の……"敗北者"じゃけェ……!!」
ルフィ「!? エース!!」
エース「ハァ…ハァ… 敗北者……?」
エース「取り消せよ……!!! 今の言葉……!!!」
ビザール「おい よせエース!!! 立ち止まるな!!!」
モブ海賊「勝手に言わせとけばいいんだ!!」
エース「あいつオヤジをバカにしやがった……」
ルフィ「エース!!!」
赤犬「『取り消せ』だと?断じて取り消すつもりはない。そりゃァそうじゃろうが。
お前の父親ゴールド・ロジャーは偉大なる航路を制し、さらに自らの死と引き換えに大海賊時代という新たな時代の扉を開いた!海軍のわしが言うのもなんじゃが、まさしく海賊王の名に恥じぬ男だった。
それに比べて白ひげはどうじゃ?果たしてそのロジャーとまともに戦う気があったのかどうか……
大方安全な場所で大所帯を持ち、お山の大将で満足してたんじゃありゃせんのか?
世間では白ひげの名で今もいろんな島の平和を守っちょるとかいう馬鹿どももいるようじゃが、わしに言わせりゃたかが雑魚の海賊ども相手に睨みを利かせたぐらいで英雄気取りとは笑わせる!!
ロジャーが生きている間もその後塵を拝し続け、死んでも名実ともに王になれずじまい!
つまりは、永遠にロジャーには勝てん永遠の"敗北者"!それが白ひげじゃァどこに間違いがある。」
……思えば悲しい男じゃのう。オヤジ オヤジとゴロツキ共に慕われて… 家族まがいの茶番劇で海にのさばり……
エース「………やめろ……!!」
赤犬「何十年もの間 海に君臨するも 「王」にはなれず…何も得ず……!!
終いにゃあ口車に乗った息子という名のバカに刺され…!! それらを守る為に死ぬ!!!
実に空虚な人生じゃあありゃあせんか?」
エース「やめろ……!!」
イゾウ「のるなエース!!! 戻れ!!!」
モブ海賊「「「エース!!!」」」
エース「オヤジはおれ達に生き場所をくれたんだ!!!
お前にオヤジの偉大さの何がわかる!!!」
赤犬「人間は正しく生きなけりゃァ生きる価値なし!!!
お前らゴロツキ共の海賊なんぞに 生きる場所はいらん!!!」
エース「やめろォォ!!!!」
赤犬「“白ひげ”は敗北者として死ぬ!!!
ゴミ山の大将にゃあ 誂え向きじゃろうが!!!」
エース「“白ひげ”はこの時代を作った大海賊だ!!! おれを救ってくれた人をバカにすんじゃねェ!!!」
モブ海賊「「「やめろエース!!!」」」
エース「この時代の名が!!! “白ひげ”だァ!!!」
赤犬「白ひげも! それを親父と慕うお前らも! 結局同じ敗北者じゃけぇ!!!!」
白ひげは本当に敗北者なのか?
赤犬は「白ひげは空虚な人生を送った敗北者であった」などと喝破するがこれらは全く的を射たものではない。
- 赤犬「白ひげはロジャーに阻まれ王にはなれなかった」
確かに白ひげとロジャーは何度も戦いを繰り返す間柄であったが、同時に二人だけで酒を飲み交わすほどの絆も持っていた(すなわち、強敵と書いて「とも」と呼ぶような関係だったと言える)。最期の酒宴でロジャーは白ひげにラフテルへの行き方、つまり海賊王への道をチラつかせるが、これに対して白ひげは興味ないと一蹴する。白ひげはロジャーに阻まれ王になれなかったわけではない。
- 赤犬「何十年もの海に君臨するも王にはなれず何も得ず」
白ひげは、新世界にある「スフィンクス」という、貧しい島の孤児としてこの世に生を受けた経緯があった。その為、とある海賊団の船員として活動していた若いころから、エドワード・ニューゲートが最も欲しかったのは「海賊王の称号」や「財宝」ではなく「家族」であった。何も得られなかったどころか、海賊白ひげは一番欲しかったものを亡くなった時点で既に十二分に得ており、この指摘は赤犬の一方的な価値観にすぎない。事実として、頂上戦争に参戦したドフラミンゴも後に「白ひげは王座につかず、イスの前に君臨した」と言っており、王座に「つけなかった」のではない(エースは白ひげを海賊王にしていたがっていたようだが……)。
- 赤犬「口車に乗った息子という名のバカに刺されて死ぬ。所詮白ひげ海賊団は家族まがいの茶番劇」
かつてエースは白ひげの命を100度以上狙ったことがあり、しかしそれでも白ひげはエースを息子と呼んで憚らなかった。白ひげにとって自分を殺そうとする者もまた息子でありそれを受け入れる実力と度量を持っていた。スクアードに刺されたのは病と高齢によるもので、これをもって白ひげの信念が揺らぐものではない。
- 赤犬「白ひげは敗北者として死ぬ」
エースとのやりとりがあった時点では白ひげはエースを解放し、逃げるエースはそれぞれが七武海クラスの実力者である隊長たちに囲まれもはや赤犬が手をだせるものではなかった。白ひげは「エースの救出」という戦略目標をすでに達成しているのである。一方で海軍側といえば逆に「処刑寸前で囚人を奪還される」という大失態を晒し、そのうえこの後に正義の象徴である海軍本部は粉々に破壊され、また白ひげを討伐して海軍の威信を高めるつもりが白ひげの首はかつての船員であった海賊黒ひげに奪われるという惨憺たる有様である。エースが生きてさえいれば白ひげは勝者として死に、赤犬はこの戦争の敗北者となるはずだったのだ。
- アニメ版赤犬「白ひげはその名でナワバリの平和を守ってると言ってる者もいるが雑魚相手に睨みを利かせているだけ」
サカズキ個人としての思想はともかく、やってることは世界政府公認の七武海とほぼ同じである。と言うかそもそもそれは本来海軍がやるべき仕事である。
- 赤犬「エースを解放して即、退散とはとんだ腰抜けの集まりじゃのお白ひげ海賊団」
これは白ひげ個人でなくクルーに向けての言葉だが、白ひげ海賊団はエースを救出しにきているのだからエースを解放して即、退散するのは当たり前すぎるほどに当たり前のことである。むしろグズグズ居残っているのは愚の骨頂である。
ではエースが悪いのか?
上記の通り、白ひげは“敗北者”と言うには及ばない。
ではこの件のもう一人の重要人物、エースはどうだろうか。ここに至るまで順を追って説明すると
・白ひげおよび他の仲間から『黒ひげは追うな』と言われたが無視してしまう
ここまでの事態を引き起こしてしまった始まり。
ここでエースが素直に聞いて留まれば本人の命も落とさなかったかもしれない。
だが、事の発端はその黒ひげが白ひげ海賊団で禁じている“仲間殺し”を起こしたためであり、しかも殺められたのは親友にして4番隊隊長のサッチ。
元々責任感が強いエースにとってこの事件は『自分も隊長なのにみすみす仲間を殺されてしまった』『しかも大切な親友だったのに守れなかった』『しかもその犯人は仲間だった筈の男で逃げられてしまった』と後悔と憤怒に塗れているのは想像に難くない。
その中での白ひげの『黒ひげは追うな』という発言はエースを混乱・暴走させるには十分であったと考えられる。(ちなみにこれ以前にもエースは仲間のピンチを救おうと飛び出そうとするも白ひげに簡単に伸されている。今回も同様に抑えれば………)
・黒ひげと交戦した結果敗北し、インペルダウンに投獄される
そうして白ひげの忠告を無視して単身海へ出たエースはバナロ島にて黒ひげに挑み、そのまま敗北してインペルダウンに投獄されてしまった。
如何にロギア系能力者で白ひげ海賊団の隊長格とは言え、悪魔の実の能力者にとっては天敵ともいえる黒ひげは相手が悪過ぎたと言わざるを得ず、単独で海へ出てしまった結果一時撤退して体勢を立て直すことも出来ずにインペルダウンへ投獄され、頂上戦争の直接的な要因となってしまった。
だが、この際に黒ひげは『サッチを殺しておきながらエースを仲間に勧誘』『自分がサッチを殺害したのは「もののハズミだった」と発言』『エースの弟とは知らなかったとはいえ、ルフィを殺害して政府への手土産にする計画を話す』という(黒ひげにエースを煽る意図はなかったと思われるが)エースの地雷とも言える点を尽く逆撫でしており、これがエースの怒りを助長したことは想像に難くない。
この時点では黒ひげ以外の黒ひげ海賊団のメンバーはエース1人でも対処できたとはいえ、やはりたった一人で黒ひげに挑んでしまったのは悪手であった。更にこの時は白ひげの様に彼の無鉄砲な行動を諫める者が居なかったのも事態を悪い方へ傾けてしまったと言えるだろう。
・赤犬の煽りを真に受けて足を止めてしまった結果敗北してしまう
前述の通り赤犬の白ひげに対する挑発は的を外したものであり、周囲のベテラン船員たちも「見え見えの挑発」「勝手に言わせておけ」と無視している。更にこの場面の前に白ひげは長く共に過ごした仲間たちへ「全員生きて新世界へ帰還しろ」という最後の船長命令を下しており、エースと白ひげの愛情を端的に表す名シーンである。この時点の白ひげはエースが生きてさえいれば「敗北者」どころか「勝利者」になっていた。
一方で赤犬を含めた海軍は処刑対象のエースを奪還された挙句取り逃がしかけているのでそのままであれば彼らが「敗北者」となる――はずだった。
だが、この赤犬の言葉に一番乗ってはいけないエースが反応して足を止めてしまったことでこの前提は崩壊してしまう。
上記の船員たちは勿論のこと仲間のことであれば感情的になりやすいルフィも白ひげの意志を酌んで逃げるのを優先する様にエースを諭したにも拘らずエースは激昂して赤犬に挑み、そのまま返り討ちにあってしまう。
エースからすれば例え的外れなものだったとしても自身を救ってくれた恩人である白ひげへの侮辱は到底看過できなかったと思われるが、ここで踏み止まってさえいれば白ひげの最期の船長命令は果たされていた可能性が高く、黒ひげに引き続いてまたしても感情的になった結果、エースは2度目となる敗北を喫してしまった。
・赤犬の攻撃からルフィを庇って死亡
そしてこのタイミングでこれまでの無理が祟ったルフィはその場で力尽きてしまう。
そしてそれを見逃さなかった赤犬の拳からルフィを庇ってエースは体を貫かれて死亡してしまった。
この時点でルフィの体力は限界に近く、エースの性格を考えれば躊躇なく自分を犠牲にしてルフィを救いに向かうため、いつこうなってもおかしくはなかった。
ただ如何せんタイミングが悪いのも事実であり、赤犬の挑発に乗ってエースが足を止めなければ…と思ってしまう読者も多い事と思われる。
こうして白ひげの命を賭した最期の船長命令は終ぞ果たされることはなく、これまでにエースを救うべく尽力した全ての人物の努力が水泡に帰し、白ひげの戦略的敗北が確定してしまった。
何よりこの『仲間や知人に対する侮辱を極端に嫌う』という性質は実父であるロジャーの気質であり、「白ひげこそが自分の父親である」としていたエースが嫌悪していたロジャーから遺伝した性格によって命を落とし、結果的に敬愛する白ひげの顔に泥を塗って赤犬が馬鹿にした『敗北者』にしてしまったというのは実に皮肉である。
まとめるとあらゆる物事のタイミングやその時に戦う相手が悪く、エースだけに責任を求めるのは酷であると結論付けることができる。
とは言え、『感情を優先して短絡的な判断を繰り返し、自身を救うために尽力した全ての人物の努力と犠牲を無駄にしてしまった』と言うエースの至らなさも原因の一つであることは否定できず、こうした点が一部読者の失笑を買ってしまったと思われる。
注意事項
敗北者という言葉自体が相手を揶揄、侮辱する意味合いが強く、特にこのネタに関しては人気キャラ、人気作品が元となっているため、使う時には細心の注意が必要である。
pixivに限らず場合によっては荒らし行為と見なされアカウント停止の要因にもなりえるため、この敗北者ネタを使っている作品以外の作品へのタグ付けは自重することを推奨する。
文面を見れば明らかとはいえ、現在では上記の動画の影響もあってか敗北者=エースとする誤った風潮も広まってしまっている。
この風潮を快く思わないファンもいる事は念頭に置いておくべきであろう。
言うまでもない事だが、エース役の古川登志夫氏や白ひげ役の故・有本欽隆氏と後任の大友龍三郎氏に対しこのネタを冷やかし目的で使う事もご法度である。
余談
元の話が週刊少年ジャンプに掲載されたのは2010年で、それを元にした数々のコラ画像がネットミームとして拡散、2015年にはコラ画像を元にしたMAD作品「海賊ラップ」がニコニコ動画に投稿され、2018年11月末に「空前の敗北者ブーム」が到来、大量のネタ動画が投稿されている。
なお、ワンピース公式アカウントで「敗北者」という言葉を送ると、
取り消せよ……!!!今の言葉……!!!
の画像が返ってくる。
2020年に開催された「ONE PIECE LINEスタンプコンテスト」では、公式による一例として、赤犬が「すまん、取り消す…!!!」と謝罪するというイラストがあった(WJ本誌2020年29号に掲載)。
また、メイン画像のように、名前に「エース」と付くキャラクターもネタにされるという風評被害?が起こってしまっている(蹴り技を得意とする炎御三家、切断技が得意な五男、逃げを得意とする学ランウマ娘等々)。
外部リンク
関連タグ
ONEPIECE マリンフォード頂上戦争 ポートガス・D・エース 赤犬(サカズキ) 白ひげ(エドワード・ニューゲート)
ビザール:「おいよせエース!!!立ち止まるな!!!」と言い放った張本人。
イゾウ:「のるなエース!!!戻れ!!!」と言い放った張本人。
キングデュー:アニメで「見え見えの挑発に乗るんじゃねぇ!!!」と台詞が追加された人。
マルコ:アニメでは「オヤジはおれ達に生き場所をくれたんだ!!!」の場面で、エースがマルコの言葉を受けて白ひげ海賊団への参加を決断したシーン(アニメ461話、原作漫画552話)の回想映像が入る。白ひげの話をしているのに映像はマルコという、シーンの背景を理解していないとシュールな演出に見えるためか、MADにもよく素材として使われる。
ヤムチャしやがって…、城之内死す:同じくジャンプ作品から派生したネタ。
光熱斗:劇中に「とりけせよ!今のコトバ、とりけせよ!」と発言。