マッドサンダー
まっどさんだー
概要
マッドサンダーとは、ゼネバス帝国軍の誇る最強ゾイドデスザウラーを撃破するためにヘリック共和国軍が開発したトリケラトプス型の超大型ゾイドである。
名前を直訳した「狂える雷神」という異名を持つ。
頭部には反荷電粒子シールドを装備し、特殊セラミックス振動体を内蔵する事でデスザウラーの最強兵器である荷電粒子砲を無効化・吸収する事ができる。
主兵装である2本の巨大ドリルの角、マグネーザーはデスザウラーの重装甲を貫くに十分な威力を持たせる事に成功している。
機体背部にある大型機関ハイパーローリングチャージャーによって長時間の戦闘を行う事も可能となっており、攻防一体の優れた性能を実現。
大口径のビーム砲と超大型の衝撃砲、連装ショットガン、4連ビーム砲なども装備しており、砲撃能力も決して低くない。
- ゲーム作品などではミサイルも装備している場合が少なくない。
また、強固かつ重厚な装甲を装備し、初陣においてはゴジュラスと同等以上の性能を持ち、多数の共和国軍ゾイドを撃破してきたアイアンコングのミサイル攻撃すら物ともせず、基地ごとアイアンコングを撃破している。
弱体化した培養個体が、オーガノイドシステムで強化されたデスザウラーと互角という驚異的な戦闘力を持つ。
実質的にゼネバス帝国を滅亡に追いやった機体であり、その後も長きに渡って共和国軍主力として配備されていく事となる。
しかし、対デスザウラー用特化であった故か対空能力が欠けており、その後のガイロス帝国との大陸間戦争時にはギル・ベイダーやガン・ギャラドといった強力な飛行ゾイド相手は分が悪く、ほぼ一方的にやられている。
マグネーザー
本種を象徴する武装である大型のドリル状の角。ゲルダーとカノンフォートの角の能力を併せ持つ様な性能だが、特殊な超硬合金で構成されており、その威力はデスザウラーを容易く屠るという桁違いのレベルである。
『ゾイドコンセプトアート』では、吸収した荷電粒子エネルギーを角に充填して敵の体内に打ち込む攻撃には「弾道角攻撃」という名称が付けられている。
設定では、マグネーザーを使って地面に潜ることもできるとされる。また、特殊金属のため、変形したとしれも自己修復力で本来の形状に戻る。
直接敵に叩きこむだけでなく、マグネーザーそのものを発射したりチェーンで発射する「マグネバスター」という技もある。
また、マッドサンダーの最大の必殺技が、マグネーザーとサンダーホーンとシールドに全エネルギーを注ぎ込んで突進する「サンダークラッシュ」である。
『ゾイドバーサス』では「雷」の様な電撃をマグネーザーに纏わせたり、『ゾイドサーガ』ではビームキャノンも兼用している。
ゾイドの世界に「マグネーザー」やそれに準ずる武装を確立させたのがマッドサンダーであり、バーサークフューラーやジェットファルコンの「バスタークロー」は、マッドサンダーをモデルにしたレッドホーンの改造機のサンダーホーンのデータから生まれただけでなく、バーサークフューラーよりも先に開発されていたケーニッヒウルフの派生機の「銀牙」やそれに影響を受けたライガーゼロファルコンの原案である「バスターライガー」、『妄想戦記』に登場したゴジュラスギガに装備された「マグネイズキャノン」、オルディオスの「サンダーブレード」も、マッドサンダーの影響で誕生したとされる。
小型ゾイドにもマグネーザーは装備されており、ティガゴドスやグランチャーなどが搭載している。
いずれにしろ、ゾイド界に大きな一石を投じたのがマッドサンダーであった。
バリエーション
敵のビーム兵器を弾く黄金の装甲と火器を増設したゴールドサンダーなど多数が存在し、中には地雷撤去・近接戦闘型(クレイジードラマー)や戦艦空母型(シーマッド、サンダーパイレーツ)や飛行型(マッドフライ、サンダーヘルクレス)や大統領専用機も存在している。
キャノンサンダーは、折り畳み式のマグネーザーを4基装備しており、ゴジュラスキャノンやデュアルスナイパーライフルも持つ。
また、とんでもない魔改造機としてグレートサンダーがある。
来歴
中央大陸戦争
中央大陸戦争末期のZAC2039年、ヘリック共和国はゼネバス帝国を圧倒し帝国首都を占領。
帝国は追い詰められ暗黒大陸へと落ち延び、ガイロス帝国の支援を受けて二年後のZAC1041年に反撃を開始。緒戦を制し、翌年には帝国領を奪還。
共和国軍は思わぬ苦戦を強いられるも、シールドライガーを実戦配備し戦況を支える事に成功する。
しかし、二年後のZAC2044年には帝国の恐竜型ゾイド・デスザウラーがロールアウトされ、ゴジュラス数十機を基地ごと破壊する破壊力の前に切り札のウルトラザウルスをも撃破され、共和国首都は陥落。その後も共和国軍は執拗なゲリラ戦を展開して帝国軍を迎撃、戦況は2年間の膠着状態が続いた。
その後共和国軍は、ZAC2046年に新型ゾイドディバイソンを中心とした占領地全域への反撃作戦を開始する。翌年のZAC2047年、帝国に囚われていたゾイド設計・開発の権威であるチェスター教授が救出され、彼を中心として対デスザウラー用ゾイドの設計・開発が行われる。
開発開始から1年後のZAC2048年、遂に対デスザウラー用決戦ゾイド・マッドサンダーがロールアウトされ、首都奪還作戦が発動される。
共和国首都において、改造デスザウラー「デスファイター」を撃破し首都の奪回に成功。
首都奪回から2年後のZAC2050年末、共和国軍マッドサンダー師団は帝国首都を包囲、改造デスザウラー「デスクロス」を撃破し帝国首都の占領に成功する。
翌ZAC2051年、ニカイドス島決戦にてゼネバス皇帝が行方不明となりゼネバス帝国は滅亡、終戦となる。
以上が中央大陸戦争におけるマッドサンダーの経緯と戦跡である。
大異変後
中央大陸戦争終結から5年後のZAC2056年に発生した惑星Ziの「大異変」(グランド・カタストロフ)にて生態系は壊滅し、マッドサンダーも絶滅したかに思われたが、奇跡的に幼体のコアがいくつか発見され、再び量産が再開された。
半世紀近く後のZAC2099年、この際の第二次大陸間戦争でガイロス帝国がデスザウラー復活計画を目論んでいる事が判明しそしてZAC2101年の暗黒大陸戦で若干弱体化したものの再び戦場へと復帰し、同じく絶滅から蘇ったデスザウラーと半世紀の時を越えて再び激突する。
しかしデスザウラーがOSの応用による復活で強化されていた為性能差が縮まっており、数に劣っていたとは言え相打ちに持ち込まれている。
しかもその後も運用されたデスザウラーと違い、マッドサンダーはこれ以降運用が描写されていない(恐らく鉄竜騎兵団の襲撃でヘリック共和国自体が瓦解してしまった影響かも知れない)。
キット
旧トミーからポップアップキットが1988年に発売されている。
モーターによって駆動し、頭部のマグネーザーと背部のハイパーローリングチャージャーを回転させながら目を点滅させつつ歩行する。
マグネーザーは背部のスイッチを切り替える事で回転速度を変更する事が可能。
それから十数年後にタカラトミーから新ゾイドシリーズの一環として復刻されたキットは、目の発光ギミックが点灯のみに変更された点以外は旧版とほぼ同等の仕様である。
余談
- 名前の「サンダー」は、ヘリック共和国の国章を意識していると思われる。
- 公式ファンブック4の戦力分析では装甲S+、Eシールド(反荷電粒子シールドの事だろうか)Sで全ゾイド中で最高となっている。直接対決の描写は無かったが、セイスモサウルスのゼネバス砲にもある程度耐えられたかも知れない。
- マッドサンダーのデータを基にしてレッドホーンを改造したサンダーホーンというバリエーションが存在する。本機で得られたデータは、バーサークフューラーの武器である「バスタークロー」の開発に活かされることとなる。
- アニメ版には登場していないが、デスザウラーがアニメ版で超巨大な姿で登場した事を反映してか、『ゾイドバーサス』シリーズなどのゲーム作品では、マッドサンダーも超巨大機として登場している。
- 『サイバードライブゾイド 機獣の戦士ヒュウ』では、なぜか野良ゾイドの王として登場し、野良ゾイド軍団を率いて人間の集落を襲った。