四八(仮)
しじゅうはちかっこかり
概要
2007年11月に発売されたホラーアドベンチャーゲーム(AVG)。
しかし、このゲームは後述する理由により、ホラーよりもある意味怖いゲームとなり果てている。
ちなみに、ゲームタイトルは四十八ではなく、四八である。四十八で検索すると、別の意味の単語が引っかかるので、検索の際には注意が必要。
内容の詳細
新作ゲームのサンプル、『四八(仮)』をプレイする『あなた』と、ゲーム中で『あなた』の出身地を皮切りに日本各地にて巻き起こる様々な怪事件を追っていく物語である。
ゲームではプレイ開始時、プレイヤーの名前、家族構成、出身地を入力するという形式で進み、それによってプレイヤーの住む県を始めとする四七の都道府県全てで個別のシナリオを閲覧することになる。
その為、各都道府県での物語によって登場人物が異なり、更にシナリオに含まれた選択肢を選ぶことで理論上は無数と思えるほどストーリーを分岐させることが出来る。
さらにこの作品は同会社から発売された『学校であった怖い話』に習い、登場人物の立ち絵は実写となっている(ただし作中作には二次元キャラが出ることもある)。また『学校であった怖い話』のキャラクターが一部シナリオに登場している。
このゲームのシナリオは都道府県固有の民間伝承や都市伝説を元にしたものであるとされ、多くの種類が登場する。
また一部シナリオは著名なホラーや怪談の作家である『伊藤潤二』『つのだじろう』『稲川淳二』『水木しげる』『筒井康隆』『木原浩勝(新耳袋の著者)』が原案協力または本人出演の上での書き下ろしに協力している。
ちなみにタイトルの由来は四七都道府県にラストシナリオ一つを加えた数であり、『(仮)』は本作がサンプルゲームをプレイするというストーリー設定である所から来ている。
クソゲーとしての『四八(仮)』
ここまで記述すると、「面白そう」と思うユーザーも存在するかもしれない。しかし残念なことに実際にプレイしたユーザーの評価はとても悪く、この作品はクソゲー扱いされている。
システムの問題
上記の詳細を見ていただければ大体分かると思うが、まずこのゲーム、クリアまでが恐ろしく長い。
プレイヤーはクリアするためには同じシナリオを複数回読むか、舞台である四七都道府県のすべてのシナリオをプレイする必要が出てくるが、一つの都道府県に複数のシナリオが存在する場合がある。そこに選択肢によるストーリー及びシナリオ分岐が完全攻略までの遠い道のりに拍車をかけている。
さらに、「住民移動システム」や「契力」といった独自のシステムがこのゲームの面倒くささをさらにかさ上げしている面も否定できない。
実際にはただクリアするだけならば簡単なことらしく(後述)、当初の目的では「まだ見えてないがどのような話が入っているのだろうか?」と思わせる演出も兼ねていたようである。
シナリオの問題
それでもシナリオが秀逸ならばプレイヤーは楽しめるため問題はない、かと思いきやそのシナリオには出来不出来が存在し、その中にはわずか数分で終了するものが含まれ、さらにはそもそも恐怖描写が存在するシナリオが少ないという状況も存在する。
さらに作中にて語られる都市伝説・民間伝承も、都道府県の1/4ほどのものは舞台となった県とは無関係な伝説が展開されるシナリオだったりする。また1/10以上は単なる観光案内といわれる状況であったりする。
また、何故か東京都だけは『仕様』によりフラグが立たず、完全クリア(このゲームにおいては四十七都道府県のストーリーをすべてクリアすること)が不可能となっている。
おそらくは作成途上で何らかの問題によりストーリーを削除し、そのまま無理やり発売したか、設定上サンプルであるため未完成さや不気味さを出そうとして逆に失敗したのであろう。
その後の影響
KOTY
結果、一部ネット上では『十年に一本のクソゲー』『伝説のクソゲー』等ありがたくない異名を貰い、クソゲーオブザイヤー(KOTY)では2007年度版の据え置き機部門にて大賞を受賞することとなった。
そして、これを受けて2008年度以降KOTYの基準が厳しくなり、シナリオや演出がどれだけ矛盾していても「四八よりはマシ」とバグ等によりゲーム部分が破たんしていない限りは受賞できないというアレな状況(ただし、「期待の大作」へのネガティブキャンペーンが通用しなくなった、という副作用は存在したが)になってしまったとまで言われるようになった。(逆にバグは目立たないが「とにかく度を越してつまらない、というかやってて苦痛」というノミネート作品を「ストロングスタイル」と呼称することもある)
一時期は「これを超えるクソゲーは出てこないのでは」と危惧されていたが次の年にはクソ七英雄が登場したことで杞憂に終わることとなった。
これ以降クソゲーの一つの指標として「四十八と争えるか?」も考慮される様になった(最低限四十八とやりあえないと考慮に値しないと切り捨てられる。大賞作品であっても四十八に及ばない年はあるにはあるが、そもそもの話としてクソゲーが出ないことはいいことである。四十八を超えるクソがないならその中でKOTYを決めるだけであり、四十八よりはマシなものが大賞ならそれに越したことはないのだから)
余談
上述の経緯から分かる通り、伝説のクソゲーとして有名であり、2020年代の日本では主にゲーム配信者によってプレイ動画が上げられている。
また、その内容から陣内智則がネタでプレイしていそうなゲームとも称され、実際に彼の動画チャンネルでプレイされている。(曰く吉本でツッコミの教材にしたいと言うほど別の方向から評価されている)
更には、本作をリスペクトしたコントも発表された。