エールストライカー
えーるすとらいかー
概要
地球連合軍が製造したGAT-X105 ストライク用に製造されたオプションパックストライカーパックの一つ。これを装着したストライクのことを「エールストライク」と呼ぶ。なお、開発は連合ではなくオーブ連合首長国の国営企業モルゲンレーテ社が担当。
上部にはビームサーベルラック・固定式高出力スラスター・ラジエータープレート兼用の主翼(後退翼)、下部には可動式高出力スラスター、中央部には突き出した白いバッテリーパックを備える。主翼には上下方向の可動域が存在し、戦艦等に収容される際は主翼を下方向に折り畳むことでコンパクト化でき、発進カタパルトから射出された直後に主翼を展開する。
無重力下(宇宙)における機動性を増強させることを主眼とした高出力スラスターからなる宇宙用パックだが、重力下においても装着した機体へ高い機動性を与える。その大推力と主翼の空力効果により、重力下でも短時間の滑空だけでなくハイジャンプや空中での方向転換さえも可能とする。しかし、ハイジャンプによる高高度の飛翔こそ可能だったものの、上昇高度を持続することができないため滞空は不可能である(まるで初代)。宇宙での推進はガス圧を使用した古典的なものを用いているが、地上での推進は吸入した空気を電導体に見立てローレンツ力で吐出する超電導電磁推進によって行われている。これらはストライカー内部で自在に切り替えることができ、推進ガスや空気が同じ推進器から出力される構造となっている。また、超電導電磁推進によって水を吸排出することにより水中でも運用可能というフレキシビリティも有している(なお、水中で使用可能な武装を持たないため水中戦で使われることはなかった)。
ストライカーパックシステムが採用された戦闘機FX-550 スカイグラスパーに装着すると、加速性能と航行距離が強化される。
機動力を強化するという性質上汎用性が高く、C.E.71年の大戦後期(1月25日から9月27日)に活躍したストライクにより宇宙空間・大気圏内を問わず最も多く使用された。また、M1アストレイの固定装備である背部大型スラスターの設計などに影響を与えている。さらに、後年開発された高機動型AQM/E-A4E1 ジェットストライカーに比べて小回りが利くため、C.E.73年11月からの戦争(二次大戦期)においても対MS戦において重宝され、同時期に出力強化により大気圏内での滞空時間が向上した改良モデル(後述)が登場しており、MBF-02 ストライクルージュやGAT-01A2R スローターダガーへ装着するストライカーパックとして採用された。
高機動型ストライカーながら大型スラスターを4発も搭載した影響により、初期ストライカー(エール、ソード、ランチャー)の中では最も重量がある。
このパックによる追加武装は2本のビームサーベルとなる。2本が背中のサーベルラックにマウントされており、背中に手を回して引き抜く形式を取る。また、このマウント部は前方へ折り畳むことができ、戦艦等に収容される際はコンパクト化のために折り畳まれている。
エールストライクが装備している「57mm高エネルギービームライフル」と「対ビームシールド」はエールストライカーの装備では無く、ストライクの標準装備である(実際に、ストライクが素体のままバズーカと対ビームシールドを装備して水中戦を行ったことがあった)。これらの装備がエールストライクで採用されるのは、他のストライカーと異なり腕部装備および両マニピュレーターを用いる装備が存在しないことに加え、エネルギー消費が比較的少なくバッテリーに余裕があることから、大量のエネルギーを消費するビームライフルを使用することに最も適していたためである。それでも、ビームライフルを連射すれば短時間でエネルギー切れに陥ってしまう。
ちなみに「エール(Aile)」はフランス語で「翼」を意味する。初期ストライカーの中でこれだけフランス語なのは、英語だと先輩と名前が被るためと思われる。
武装
ビームサーベル
ミラージュコロイドを物体表面に定着させる技術(磁場形成理論)を応用して刀身状に形成したビームにより対象物を溶断する近接格闘戦用のビーム兵器。デュエルと同型。
C.E.において初めて開発された近接格闘戦用ビーム兵器だが、通常装甲のモビルスーツであれば装甲の厚さに関係なく一刀両断できるほどの威力を持つ。また、ビーム刃同士が反発し合わないために切り結ぶことができないこともあり、防ぐには対ビームシールドを用いる必要がある。高威力で防ぐのが困難な反面、ビーム兵器であるためエネルギー消費は激しい方であり、本体の残存エネルギーがレッドゾーンになりフェイズシフトダウンが発生すると同時にビーム刃の発振も自動的に止まってしまう。
小型のバッテリーを内蔵しているためか、マニピュレーターから離れエネルギー供給が途切れても短時間であればビーム刃を維持し続ける。そのため、投げナイフのように使用されたこともある。
同型モデルを装備するデュエルがザフトに奪取されたことにより、ザフト製ビームサーベルの祖にもなっている。
バリエーション
エールストライカー(宇宙用)
宇宙戦闘機コスモグラスパーに装着される宙間戦闘モデル。連合製。
ストライカーパック対応機であればMSでも運用可能だが、基本的にはコスモグラスパーの専用装備なためビームサーベルがオミットされている。
推進器も大気圏内での運用が全く想定されていないためにガス圧を使用した古典的なロケットエンジンのみとなっている。
エールストライカー(C.E.73年版)
C.E.73年にアップデートされたモデル。モルゲンレーテ社製。
外観は初期モデルと変わらないがスラスターの出力が向上しており、持続した滞空が可能となっている。
『DESTINY』にてストライクルージュが装備している(HDリマスター版ではオオトリ装備に変更されているため未登場)。
エールストライカー(スローターダガー用)
GAT-105 ダガーの特殊部隊仕様であるスローターダガーに装備されたモデル。連合製。
カラーリング以外の外観は初期モデルと変わらないが、設定上はサーチライトが増設されている他、上記のC.E.73年版と同じく滞空時間が向上している。
スペキュラムストライカー
ライゴウガンダム用に設計されたエールストライカーの発展形パック。
コスモグラスパーの技術も取り入れられており、外観にその面影を残す。
推力が大幅に向上しており、主翼への兵装スリングも可能となっている。
立体物
一番登場回数が多いストライカーパックなのもあって、ストライクガンダムが新ブランドで立体化するたびにセットになっている事が大半。HGCEではストライクルージュにも付属した他、HGスローターダガーにも付属している。PGはスカイグラスパーとのセット販売だった。
BB戦士シリーズには、ストライカーパックセット EX-STANDARDシリーズのストライクガンダムに各々同梱する。
2024年6月にHG1/144用のものが「オプションパーツセット ガンプラ 01 (エールストライカー)」名義でついに単品発売されることとなった。
最大の特長はそれまでストライカーパックという独自の規格にあった関係上ストライク系列にしか装着できなかったのが今回は3mmジョイント×2との交換も可能、つまり「ユニバーサル規格」に対応している事である。とはいえエールストライカーはストライク本体に結構密着する形状のため、肩部にマシンキャノンを抱えるような機体のHGは加工が必要になるだろう。
さらにHGCEのものをそのまま流用したわけではなく、CGを見る限り主翼のレッド部分までしっかりとパーツ分けされているようである。また、パーフェクトストライクのマルチプルアサルトストライカー用のジョイントやバッテリーパックも付属しており、後者は旧HGでは白一色だったのがグレー部分も色分けされているためこちらも新規造形なようだ。
その他オプションパーツにグランドスラム、ディン用MMI-M1001 90mm対空散弾銃も付属。これらは過去にラウンドボックスエントリーグレードストライクのカラバリで付いてきたオプションパーツで、それらのランナー流用だと思われる。
エントリーグレードストライク用という事になっているが、ライフルとシールドは付属しないためライトパッケージ版では完全なエールストライクにする事は不可能なので注意(ライフルやシールドを採用しないパーフェクトストライクの場合は「オプションパーツセット ガンプラ 02(ランチャーストライカー&ソードストライカー)」を買えば一式揃うのでこの限りではない)。