概要
結婚した夫婦が戸籍の上で引き続き元々の名字を名乗り続けることである。
日本と外国の差
現代の日本国においては夫婦は両性によるものであり、姓が実質上失われているため、氏を夫婦どちらかのものに統一することが民法において定められ、慣例上夫の姓を名乗ることがとても多いが、諸外国では違いが存在する。
- ミャンマーでは姓自体が存在しない
- インド、フランス、ジャマイカなどでは法律に厳密な規定はない
- イタリアやオランダでは男性の姓が変わらない
- スペインの場合少しややこしく、一般的には「名、父方の祖父の姓、母方の祖父の姓」となるがこの順序も変更可能とされている
- ヨーロッパやアジアなどでは複合姓といい双方の姓を合わせたものやミドルネームとして使用できる制度が存在する場合がある
- ドイツ、イタリア、タイなどにおいては「同姓」が法律で決められていたがのちに廃止された
- 社会主義国家においては別姓が認められる場合が多い
このようにどちらの姓を用いるかを任意で選択可能な国も見られ、一方、中国や大韓民国やベトナム、カナダのケベックなど、別姓が基本となる国や地域も存在するが、男女平等を徹底する目的である事もあれば、単純に人民管理を容易とするため、あるいは嫁をその家の構成員として認めないという男女平等と全く逆の考えに基づくものである場合もある( 「姓」は特にアジアにおいては血縁に基づいた集団を示すものでもある )。
なお、日本におけるこの問題に関して、「夫婦同姓と夫婦別姓のどちかが日本の伝統か??」という議論が有るが「そもそも、氏・姓・名字の定義やそれらに対する考え方が近代以前と明治以降では全く違う(極端な話、例えば「源朝臣徳川家康」であれば「源(朝臣)」や「徳川」を何と呼ぶか?? どのようなケースでどちらを使うか?? などは公家と武家で全く違った)ので、その問題設定そのものが間違いである以上、正解など有る筈が無い」が一応の正解と言える。
利点と欠点
この方式に関しては各種メリットデメリットが存在する。
利点
利点としては婚姻において公的な書類等の変更が不要となる、また、苗字等が変更されることがないため、国家や企業等が国民の管理がしやすくなる、夫婦同姓を回避するため事実婚状態となっている人物( 例えば福島瑞穂など )も存在するため、その状態を解消できるなどとされる。
ただそれは「旧姓使用拡充」でほぼ全て解決可能である。
また、多くの官公庁や民間企業では「民間企業の代表者クラスの人間が結婚に伴なって姓が変る」ケースを想定していない運用となっており、民間企業の代表者が結婚により改姓した場合、その代表者が男女いずれであれ、登記簿などの公的書類の書き換えや取引先銀行の手続などで、とんでもない手間を取る羽目になる。現状のままでは「男性の民間企業代表者が結婚した場合、相手の家に婿養子入るのは事実上不可能。男性の民間企業代表者が結婚した場合、事実上、相手が自分の家に婿養子に入ってもらうしか無い」という制約が有る。
欠点
一方欠点としては婚姻が他者に分かりにくくなることなどが存在し、この制度の導入においては、子供の姓をどちらの親からとる、あるいは新たな姓が使えるのか、という新たな問題が生じることもある。
また、長年培った日本の戸籍制度の性質上、あらゆる法を200個所以上変更するハメになる。
さらに事が家族法なだけあり、現実的ではない。