概要
シャーロック・ホームズシリーズの主人公ホームズが習得しているという日本武術。
『最後の事件』(1893年)で滝に転落して死亡したホームズだが、ファンの要望に応え復活させることとなり、作者のアーサー・コナン・ドイルが、生存の理由付けとして苦肉の策で捻り出した。『空き家の冒険』(1903年)に登場する。
「バリツ」という日本武術は実在しない。
そのため、「武術」または「柔術」をワトソン≒ドイルが聞き間違えた、エドワード・ウィリアム・バートン=ライト※が考案した護身術「バーティツ(bartitsu)」の誤記あるいは著作権に配慮して少しひねった呼称などの説がある。
※
バートン=ライトはインド生まれのエンジニアで、世界の様々な格闘技を研究していた。神戸のE・H・ハンター商会に招聘されていた時に神伝不動流と講道館流の2つの柔術/柔道を学び、ボクシングやサバットと組み合わせた護身術を確立。
1899年に『強い男の姿勢のとり方』でその技術・原理について記している。
その後、彼は理学療法に興味を持つようになり、護身術の指導をしなくなった。
1990年代後半になると再評価され、2005年と2008年には『バーティツ大要』が刊行された。
背景
ホームズのおかげで莫大な収入と名声を得たドイルだが、その反面、娯楽小説の作家として自身の名が広まっていくのを苦々しくさえ思っていた。
ドイル本人は、自分の本分はあくまでも歴史小説にあると考えていたため、安定した生活を手に入れた今、本腰を据えてそちらに取り組みたいというのが本音だった。そこで、もう続編を書かなくとも済むよう『最後の事件』において、宿敵モリアーティと相打ちという形で、ホームズをライヘンバッハの滝に葬り去ったのである。
しかし、当時すでにホームズは国民的ヒーローとなっており、ドイルの元へは熱狂的なホームズファンから誹謗中傷の手紙が届くようになる。一方、ドイル本人が最も熱意を込めて執筆していたナポレオン戦争時代の歴史小説は、あまりウケなかった。
結局、彼はホームズを復活させることを余儀なくされ、続篇『空き家の冒険』を執筆する事となる。その際ホームズが生き残っていた理由として、彼には架空の格闘技の心得があり、宿敵モリアーティ教授を滝に投げ落としたのだ、と理由付けたのであった。
ドイルは、このバリツに代表されるように時折、日本ネタを持ち出すことがあるが、これは幼馴染であるウィリアム・K・バートンからの影響だと言われる。バートンは明治政府の内務省衛生局顧問技師/東京市上下水道主任取調主任だった。
pixivでは
pixivのタグとしては、テレビアニメ『探偵オペラミルキィホームズ』に関連するイラストに付けられていることが殆どである。これは本作第4話でシャーロック・シェリンフォードがこれみよがしに使って見せたシーンが元ネタとなっている。第4話は何かと神がかっていた。
バリツの使い手
- シャーロック・ホームズ(シャーロック・ホームズシリーズ)
- シャーロック・シェリンフォード(探偵オペラミルキィホームズ)
- アイリーン・ホームズ(ホームズ・ツインズ!)
- 神崎・H・アリア(緋弾のアリア)
- ニコラ・テスラ(黄雷のガクトゥーン)(黄雷のガクトゥーン)
- ハル・カムホート(ダンタリアンの書架)
- 七海(Tear ー終わりとはじまりの雫ー)
- ヴィラード・ゲイツ(召喚教師リアルバウトハイスクール)
- 茂吉・ロビンソン(ケンガンアシュラ):幕末に海を渡った日本の天才武術家が、英国のボクシング(ベアナックル)やレスリングと日本の古武術・柔術をミックスして作った武術という設定。なお茂吉自身は探偵ではなく牧師。
- シャーロック・ホームズ(Fate):一応スキルとしてバリツを持っているが、肝心の戦闘方法は杖での殴打やルーペからの光線なのでますます謎の存在と化している。
- JP(ストリートファイター):ストリートファイター6のワールドツアーモードで読めるプロフィール欄中のジョーク記述。実際のゲーム中では超能力(サイコパワー)とフランス由来の杖術ラ・カンで戦う。
関連タグ
トイズ:似て非なるもの
長島☆自演乙☆雄一郎:『ミルキィホームズ』のコスプレ(明智小衣)姿で入場後、相手を見事にKOしたため、バリツの使い手と呼ばれた。
柔術:新潮文庫が刊行した「空き家の冒険」では明確に「ジュウジュツ」(版によっては『柔術』)と書かれている。
仮面ライダーW:戦闘スタイルはバリツ…ではないと思う。多分。
ポケモン剣盾:作中に「バリツ」が登場。スパイクタウンへ向かう途中にからておうに勝利すると、ガラル地方に昔存在していた探偵が使っていたことを語る。
迷冥探偵ヨハネ:津島善子のソロ楽曲。名探偵に憧れる迷探偵という設定で、歌詞にてバイオリン演奏と一緒に出てくる。