解説
作者は三雲岳斗。イラストは『Diesirae』などで人気のGユウスケが担当している。
物語は本編である『Episode』、毎回違う人物が登場する『断章』、そして毎回違う鍵守と書架が登場する『Extra Episode』の3つの短編で構成されている。
短編形式なために読みやすいと評判ではあるが、全体的に陰鬱で重苦しい話が多い上にグロテスクな描写も多く、結末は基本的にハッピーエンドではないため、そういった内容が苦手な人にはオススメできない。
ストーリー
蒐書狂(ビブリオマニア)である祖父から、古ぼけた屋敷とその蔵書を引き継いだヒューイは屋敷の地下で静かに本を読む少女、ダリアンと出会う。彼女は禁断の『幻書』を納める『ダンタリアンの書架』への入り口、悪魔の叡智への扉だった……。
主な登場人物
黒の読姫の正統なる鍵守の後継者。
本名はヒュー・アンソニー・ディスワード(Hugh Anthony Disward)。初対面の者にはディスワード卿と呼ばれることもある。
蒐書狂(ビブリオマニア)のウェズリー・ディスワードの孫。十八、九ほどの青年で、ほとんどの話に登場する。
祖父の遺言で古ぼけた屋敷と『ダンタリアンの書架』を引き継ぎ、ダリアンの世話を任された。革製のフロックコートを身にまとい、帽子をかぶっている。一人称は『僕』だが、戦争中は『俺』と名乗っていた。拳銃の扱いに長けており、戦中はパイロットで撃墜王になっているとのこと。最終階級は少尉。愛用銃は、中折れ式のリボルバー。軍用の大型拳銃。
書架解放時の呪文は「我は問う、汝は人なりや?(I ask of thee Art thou mankind?)」
ちなみに、3歳の時『ダンタリアンの書架』に迷い込んだことがあり、一晩中泣き続けていたらしい。
本名はダンタリアン。十二、三歳くらいの容姿をしている。幻書の知識を持つ者には『黒の読姫』と呼ばれる。また、自らを『壺中の天』と呼ぶ。
『ダンタリアンの書架』の管理者で、本と甘いもの(特に砂糖をまぶした揚げパン)をこよなく愛する黒衣の美少女。しかし、美貌に似合わぬ辛辣な物言いをしたり、他人に罵詈雑言を浴びせて人を困惑させる。ヒューイに無理を強いるわがままな一面も持つ一方で、人見知りが激しいなど少女らしい一面も併せ持っている。動物(特に犬)、高い所、幽霊が苦手。
胸元には黒く、鈍く輝く錠前があり、これこそが『ダンタリアンの書架』の入り口こと「悪魔の叡智への扉」であり、ヒューイのもつ鍵で開くことができる。
書架解放時の呪文は「否、我は天――壺中の天なり」
幻書を破壊することを使命とする焚書官の男。幻書破壊に際しては幻書を焚きつけにすることで魔力の炎を生み出す杖を使用する。融通の利かない性格が災いしヒューイとは会うたびに上手いこと丸めこまれた挙句、逃げられている。言動や時折り垣間見える境遇などの為か一部からは、ヒューイを差し置き作中の人物で最も「ラノべの主人公らしい」とまで評されている。
本名はフランベルジュ。十五、六歳くらいの少女で全身を鎖と錠前で拘束されている。ハルと行動を共にする『壊れた読姫(ロング・ロスト・ライブラリ)』にして『銀の読姫』。ヒューイと「相方で苦労している」という共通点で意気投合したこともある。
ラジエルと行動を共にする人物。整った顔立ちに白衣という出で立ちで、幻書の卵「幻稿」を育てるため暗躍している。物語の舞台となった時代(第一次大戦直後)では未だ確立されていないはずの核分裂に関する知識を有していたりと謎が多い。
天使の名を冠する『紅の読姫』。「ばっかみたい」が口癖で、人間を小馬鹿にしたような発言をすることも多い。
アニメ
2011年7月から9月までテレビ東京系列(ただしテレビ北海道除く)にて放送された。放送話数は全12話であるがエピソード話数は全14話である。コミックス付属DVDに収録されたOVA1話も含め全13回、全15話となる。
主要人物の衣装デザインはロリータファッションの老舗BABY,THE STARS SHINE BRIGHTとALICE and the PIRATESが手がけており、コラボ服も発売された。
スタッフ
原作 - 三雲岳斗
監督 - 上村泰
脚本 - 砂山蔵澄、浦畑達彦、山賀博之
キャラクターデザイン - 木野下澄江
音楽 - 辻陽
音響監督 - 岩浪美和
アニメーション制作 - ガイナックス
製作 - ダンタリアンの書架製作委員会
主題歌
- オープニングテーマ
「Cras numquam scire」
作詞 - ノリクス・ベネディクトゥス / 作曲 - 辻陽 / 歌 - Yucca
- エンディングテーマ
「yes,prisoner」
作詞 - 嶽本野ばら / 作曲 - BANSHEE ALIOUXCE / 歌 - 廣重綾(maRIONnetTe)
その他
- 原作は9巻の予約まで開始しておきながら唐突に発売中止となった。もっとも、作者は、公式ブログで、7巻で終わるつもりだったけど、大人の事情により8巻まで延命するハメになってしまった。それで話は付いたはずだが、先方から「9巻出してくれ」と言われ、こちらから「それは勘弁してくれ」と伝えた。あちらさんも承知している」という趣旨の説明をしている。
- アニメに関しては、テレビせとうちがネットから外れるというならともかく(ただしテレビせとうちは本作品をネットしてはいる)、テレビ北海道だけがネットから外された、珍しい例である。ちなみにTVQ九州放送も、『ゆるゆり』第1シリーズではネットから外れている。