概要
メディアミックスプロジェクト『ウマ娘プリティーダービー』に登場するウマ娘の一人・スぺシャルウィークの台詞の一つである。
初出はアニメ版Season2の第11話で、同話内のトウカイテイオーの妄想の中でスぺシャルウィークが発した台詞。あくまでテイオーの妄想の中での発言であり、本物のスペシャルウィークが言ったわけではないので「言ってないセリフ」として知られた。
その後、アプリゲーム版の大型アップデートによって追加されたテイオーの育成イベントの一つにおいてスペシャルウィークが登場。同イベント内で本当にこれを発したため、晴れて(?)本当に言ったセリフとなった。
詳細
アニメSeason2の10話にて、三度目の骨折によって一度引退を決意するも、仲間達の励ましで再び走る事を決めたテイオー。
続く11話では今まで支えてくれた人達に直接「ありがとう」を言いたいと挨拶回りをするのだが、チームスピカの面々には普通に言えたのに、一番の仲良しでライバルでもあるメジロマックイーンにだけは、照れや気負いが先走って中々言う事ができない。このままだと(一人ハブられた)マックイーンが可哀そうだと、テイオーはカフェテリアでの食事中に現実逃避にも似た妄想を始めてしまう。
妄想の中では、「ありがとう」の文字が入った漫画の吹き出しっぽい物をスピカのメンバーが嬉しそうに抱きかかえる中、1人だけ持っていないマックイーンが狼狽えていた。
マックイーンはまず右隣のゴールドシップを「あ、あの…」とおずおずと見るも、彼女は「ダメだ、これはアタシが貰った『ありがとう』だ」と素っ気ない。
続いて、縋るように左隣のスぺシャルウィークを見るのだが……
「……あげません」
「えっ……?」
「あげません!」
と、まるで親の仇でも見るかのような鬼気迫る表情で威嚇されてしまう。
「うえぇえっ!!? ぅぅっ、…よよよ~……ッ」
と、古典的ギャグ漫画風にさめざめと泣き崩れるマックイーン。
その、自身の脳内妄想で繰り広げられるシュールかつ衝撃的な展開に、テイオーも「スペちゃんそんなに怒らなくても~!!」と思わず口走った直後、
「私がどうかしました?」
「くぁ…!? ス…スペちゃん!?」
「?」
そんなことは実際には言いそうもない本物のスペシャルウィークが現れたところで、このテイオーの妄想劇場、当座は閉幕と相成った。
本来は皆に優しいスペシャルウィークとのギャップに加えて、その表情が顔芸のようになっていること、何よりも10話から続くシリアスな展開に差し込まれるシュールな笑いっぷりに、Season2屈指のネタ台詞と成る、という結末を迎えたのであった。
………………と、思われていたが。
この「あげません!」旋風、まだまだこれで終わらせては………「あげません!」
アプリ版において
まずこの話の前提として、アプリ版のシステムを理解してもらう必要がある。
アプリ版はレースモードに出走させるウマ娘を育成シナリオ(所謂サクセスモード)で育成するのだが、その際に様々な効果を持つサポートカードを編成する。
中でもレアリティSSRのサポートカードには「レアスキル(金スキル)のヒントを獲得できる」という特徴がある。レアスキルは通常のスキルの上位版であり、取得する(=ヒントを獲得する)には以下のいずれかの方法しかない(2021年6月現在)。
- キャラクター(ウマ娘)の覚醒レベルを上げる。
- SSRサポートカードを編成し、ランダムで発生する育成イベントが最後まで進む。
覚醒レベルを上げる方法は育成開始時から取得可能な状態になるが、ウマ娘毎にスキルが決まっている上に大量のマニーと素材が必要となるため、おいそれと気軽に手を出すことはできない。
必然的に、目当てのレアスキルを獲得するにはSSRサポートカードが重要になってくるのだが、その中の一部は「育成イベントが最後まで進んで獲得できるヒントは、レアスキルとその下位版であるスキルのどちらか片方であり、ランダムで決定される」
という仕様になっており、無事に育成イベントが終わったのにも拘らずレアスキルのヒントが貰えなかった、という現象が発生する。育成には様々な運要素が絡むこともあり、せっかく運に恵まれ順調に進んだ育成だったのにレアスキルを逃してしまい悲しみに暮れるトレーナー(プレイヤー)は後を絶たない。
・・・察しの良い方ならもうお分かりであろう。
スペシャルウィークのSSRサポートカード(ガチャ産とイベント配布の2種類)も、上記のランダム仕様なのである。
しかもその2種類から獲得できるレアスキルはどちらもかなり有用なスキルとなっている。
- [日本一のステージを](ガチャ産):「全身全霊」(ラストスパートで速度が上がる「末脚」の上位版。緩い条件というもあり汎用性が高い)
- [夕焼けはあこがれの色](イベント配布):「食いしん坊」(中盤にスタミナを回復する「栄養補給」の上位版。作戦:先行という条件はあるが、優秀とされる円弧のマエストロと同等の回復量)
そのため、貰えなかったトレーナーが上記の台詞に絡み、
(「全身全霊」または「食いしん坊」は)あげません!
とネタにする事態が発生。これ以降、有用なスキルを持つも獲得がランダム仕様のサポートカードの「あげません!」は鉄板ネタと化してしまった。
どうしてあげません!されるのか
「金スキル目当てで組み込んだSSRサポートから金スキルヒントを貰えない」という現象だが、原因は大きく分けて「スキルヒント発生イベントがそもそも発生しない」「イベント時のランダム判定で下位スキルのヒントに化ける」(先述)に分けられる。通称「あげません族」
前者のイベントがそもそも発生しない理由として、一部のサポートはイベントの選択肢次第で後続の連続イベントが発生しなくなるという仕様が挙げられる。そのため、知らないうちに後続イベントが発生しなくなる選択肢を選んでしまっていて金スキルヒントが取れない、といったことも当然発生する。対策としては「後続イベントが発生しなくなるのは2択の選択肢のうち下を選んだ場合に限られている」という現状の仕様から、2択の場合は上の選択肢を選ぶと良い。
またこれとは別に、友人以外のSSRサポートを積みすぎるとそもそも発生イベントの種類が多くなりすぎてイベント完走率が下がるというのもある。こちらについてはデッキ構成の時点でSRをある程度採用する、友人サポートを入れるといった形である程度の対策は可能。
後者の下位スキルに化けるケースについてだが、これについてはプレイヤー間の試行回数が重ねられた結果、対応する得意練習属性と同じステータスが高いほど金スキルヒントになる確率が高くなることが分かっており、公式からも2021年8月12日配信の『ぱかライブTV Vol.8』にて、「SSRスペシャルウィーク(ガチャ産)の上位スキル『全身全霊』獲得イベントは根性ステータスが高い程成功率が上がる」という仕様である事が発表されたことから、他のカードについてもこの仕様は同様と見られてる。そのため、対応するステータスを意識して伸ばす(B~C以上が望ましいと言われている)とよいだろう。もっとも、序盤にイベント完走されてしまうとどうしようもないが……。
なお、対応するステータスによって変化があるイベントではイベント内容も微妙に変化するほか、貰えるスキル自体は固定でもヒントLvが違うケースがある。代表的なところだとSSRキタサンブラックがそれで、イベント最後でキタサンブラックが両手を握り上げてると「弧線のプロフェッサー」ヒントLv3、片手だけだとヒントLv1、となっている。スキルポイントをとにかく節約したい場合は両手を握り上げることを期待しよう。
これらの理由を踏まえた上でSSRスペシャルウィーク(ガチャ産、根性)を見てみると、
- 連続イベント2回目の選択肢で下を選ぶと後続イベントが発生しなくなる。しかもこの選択肢、上を選ぶと体力減少、下を選ぶと体力回復なので、何も知らなければ下を選びがちというのも罠っぷりにより拍車をかける。
- 根性は現環境ではあまり重要視されていないステータスであるため、対応するステータスが低いことから成功率が下がりやすい。「(根性なしには全身全霊を)あげません!」という事なのだろうか。
……と、見事なまでに金スキルが貰えない条件を満たしていることがわかる。無造作にSSRスペを組み込んでも全身全霊を貰えないのは致し方ないのかもしれない。
余談
2021年4月26日のアップデートでメインストーリー第3章が追加された際、同時にストーリー配布のSSRサポートカードも実装された。
得意トレーニングがパワーのウイニングチケットなのだが、なんとこのサポートカード、育成イベントが最後まで進めば確定で「全身全霊」のヒントが手に入るのである。
加えて、
- 「全身全霊」以外にも(用途は限られるが)配布としては破格のスキルを持っている
- ストーリー視聴後にショップに並ぶので(時間と手間を惜しまなければ)誰でも完凸できる
- 当時、得意トレーニングがパワーのSSRサポートカードは賢さの次に貴重だった
といった複数の要素からツイッターではお祭り騒ぎになり、「全身全霊」や「全身全霊確定」がトレンド入りしたほど。
これが上記のスペシャルウィークと比較されない訳はなく、「ウイニングチケットはくれるのにスペシャルウィークはくれない」と、さらなるネタを提供する結果になってしまう。どうしてこうなった。
ただし、いくら「誰でも完凸できる」と言っても、必要となるサークルポイント6000を稼ぐのは相当の時間と手間がかかる(完凸できないとトレーニング効果が大きく下がるため、採用する場合は完凸が推奨される)。
他にも、育成イベントで体力が大きく減少する、レースボーナスを持っていない、主流の育成方針と噛み合っていないなどの欠点はある。しかし差し適性のスキルメイン+所持スキルが少ないおかげで差し専用スキルが比較的入手しやすい、(限界突破必須だが)最大はスキルLv2とポイントの消費も抑えられる、差し適性のウマ娘とは相性が良く、無課金勢にとってはかなりありがたいサポートカードとなっている。
さらに…
- 5月にナリタブライアンが実装されるとブライアンが獲得できるスキルの中に「全身全霊」の4文字があり、こちらでもネタにされた。8月に実装されたエイシンフラッシュも同様に自力で全身全霊を獲得できるなど、自力で全身全霊を覚えるウマ娘はその後も増加している。
まあ、育成ウマ娘とサポートカードは別のカテゴリなので、言いがかりに近い物はあるが。
それでも今後、「全身全霊」と言う特殊能力が話題になる度に、この言葉も話題になる事は間違いないだろう。
- 余談ではあるが実馬の関係性においてはスペシャルウィークとウイニングチケットはマルゼンスキーの孫であり、ナリタブライアンとスペシャルウィークは同じ系統(ヘイルトゥリーズン系)の関係になる。
- 6月29日から始まったイベント『幻想世界ウマネスト』では、イベントミッションの画面でゴールドシップがこう言った。
「全クリしたら、世界の半分を貸してやるぜ」
あくまでも「貸すだけ」なので「あげません!」ネタが適用され、スペシャルウィークはイベントに出てないにも拘らずネタにされることとなった。ちなみに当イベントでもらえるのゴールドシップのサポートカードの金スキル「内的体験」は確定でもらえないのもネタ度を加速させている。
「駄目だ、これはあたしがもらった金スキルだ。」
遂に育成シナリオまでも
第五回の育成シナリオ「グランドマスターズ 継ぐ者達へ」ではジュニア、クラシック、シニアの12月後半のターン終了後に「GROW UP RACE→WBC→SUPER WBC」を全て勝利すると確定で全身全霊を入手できる。しかも性能も上方修正が入るなど入れて損は無い効果に仕上がっている。ただそれまでにこの特殊レースは他のウマ娘のステータスがかなり強化している状態の手強い仕様でどれだけ高いステータスでも勝てない報告もあり、勝つには至難。それでも準備怠らずにステータス、スキルを振っていれば苦戦を強いられる事はないだろう。
また、第七回育成シナリオ「U.A.F._Ready_GO!~アスリートのキラメキ~」でも6月後半、12月後半のターン終了後に挑戦するU.A.Fを全て総合優勝すると確定で全身全霊を入手する事ができる。12個の競技を特定のレベルまで上げるのは大変だが、相談、お休み・お出かけを駆使すれば問題はない。
また、このシナリオでは特定のスキルは進化することができるが、全身全霊もその一つ。ただ、進化は2つしか出来ないので注意したいところ。
現在は根性の重要性が高まった事やサポート性能の優秀さからSSR根性スペの評価は上がっているがいくら根性のステータスが高くても確率の仕様はそのままで「あげません!」される事自体は変わらず、他にも優秀な根性サポートカードが増え続けているのも事実でインフレの影響もあって現在はあまり使われなくなっている(それ以上にSSRパワーチゲゾーの評価が落ちているが、こっちはイベントで体力を大幅に減らされる(しかも前触れなく突然に)事の影響が大きい)。
各公式メディアでは
Season2の公式LINEスタンプにも起用された他、公式で「名言Tシャツ」として「あげません!」Tシャツなるものが出てしまう事態に…。スペちゃん=あげません!は変えられようのないイメージが固定化してしまった。どういうことなの…
挙げ句にぱかライブTVでは新サポートカード紹介ではスペちゃんと同じタイプの場合は極力使われる事が増えてしまった。…公式公認である。
ちなみにこの2点の商品からもわかる通り公式としては口を閉じた状態があげません!の表情らしい。
ついに…
2022年の大型アップデートで初期から早めに登場したウマ娘に上方修正やイベント追加と大盤振る舞いを見せた。その中にトウカイテイオーの新イベントである。
購買で、はちみつパンのラスト一個を取ろうとした際に同じ目的でやってきたスペシャルウィークとバッタリ会い、テイオーはアニメと同様に脳内妄想でお馴染みの「あげません!」と同時にはちみつパンを賭けての勝負になると予想した。が、スペシャルウィークからは「はんぶんこしませんか?」とイメージと異なる答えが。対するテイオーも「走って勝ったら…」と焦ったような返答で入れ違いして二人とも困惑した。
そこに一部始終を聞いていたツインターボも割り込んでくる。勘違いだったとテイオーは言うがテイオーの妄想の内容など知るわけがないターボは当然、聞く耳を持たない。結局勝負するハメになり、乗り気のスペシャルウィークは…
「はちみつパンはあげません!!」
ついに本人が言った。しかもイベント名は【あげません!】。
アニメから逆輸入された上にテイオーの脳内妄想じゃないスペシャルウィーク本人が言った。しかもアニメで関わったツインターボも。これにより実際には言っていないパターンが過去のものになった。ただし音声はない。
ちなみにこのイベント結末が分岐となっており、テイオーが勝った場合は三人で仲良く分け合うが、スペが勝った場合はスペが「あげません!!」の言葉通りに一人占めしてしまう。
それでいいのか総大将…
「うまゆる」でも……
ショートアニメうまゆるの第二話冒頭では、限定のにんじんハンバーグを完売寸前まで食い尽くし、残りの一皿を取ろうとした時にシンボリクリスエスがにんじんハンバーグ目当てでやって来たため悩んだ挙句、彼女の目の前でにんじんを咥えて「食べかけですが」と言って残りの皿を渡すといった暴挙に出ている。
この所業に対して、視聴者からはツッコミと失笑を買われている。
ちなみに現実のシンボリクリスエスは、スペシャルウィーク産駒の一頭であるシーザリオと交配されており、代表産駒の一頭であるエピファネイア(デアリングタクトの父)が生まれている。また、シーザリオは一口馬主クラブ「キャロットファーム(キャロットは英語で『にんじん』の意)」の所有馬だった。
ここから転じて、「にんじん(=キャロットファームの所有馬だったシーザリオ)はあげません!」と推測されることもある。
なお、デアリングタクトとシーザリオは後にウマ娘化されており、エピファネイアは両親・母父・産駒がウマ娘として登場している状態である。
時を経て
2022年12月の年末で久しぶりのガチャ産SSR「ハネ退け魔を退け願い込め」が実装。タイプは初めてのスタミナ。
育成環境でスタミナはやや使いにくい立ち位置でスーパークリーク+αなど優秀なスタミナサポートカードがいるせいで少し霞んでいるが固有ボーナスが「友情トレーニングが出ているトレーニングに参加した場合、やる気効果アップ」でその数値は驚愕の60%。これは自分自身でも他の友情トレーニングでも対象。所持スキルも汎用性のあるものが数ある。
金スキルは『ノンストップガール』でトレーナーからはどうせ「あげません!」なんだろうと思われていたが
『ノンストップガールはあげます!』
なんと連続イベントを最後まで進めると確定で貰えるようになる。いつから太っ腹になったんだスペちゃん…?
関連イラスト
他作品のキャラで再現した図
当然かのように中の人ネタが混じってる
関連タグ
ウマ娘プリティーダービー スペシャルウィーク(ウマ娘) 顔芸 残念な美人 言ってないセリフシリーズ
お可愛いこと…同じく他キャラの妄想内でしか言ってないのに有名になったアニメの台詞。なおこちらは一度本人が言った。
リライト…歌詞に「全身全霊をくれよ」とあるおかげで、連想でネタにされている。
アゲマセン(競走馬):この台詞が由来の可能性がある競走馬。ウマピョイが直近で命名されたのを踏まえて、もしかすると…。なお、残念ながらスペシャルウィークの血統ではなくサクラバクシンオーの血統である(父ビッグアーサー、母ソヴールトウショウ)。