ネノコクマデニ ミナシヌ
ココカラ タチサルコトハ デキヌ
概要
『かまいたちの夜』『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』に続く3作目であり、完結編にあたる。
今作は『2』のメインシナリオのトゥルーエンドから1年後を舞台にしており、実際に凄惨な殺人事件が起こったことを前提として話が進んでいる。
また過去作の設定と密接に関わっているため、前作までの未プレイ者に向けてストーリーの流れを掴むため、『1』と『2』の各メインシナリオのみをそのまま再録している。
シナリオ担当は再び我孫子武丸氏一人に戻り、メインシナリオが我孫子氏による本格ミステリーに戻った形になる。
特徴として、今作は『街 運命の交差点』のような複数主人公制となっており、4人の主人公の視点で事件を追っていく形式。
ただし、初回は香山さん視点からスタートし、読み進めていくと他の主人公が徐々に解禁されていく。
『街』と違い全員が同じ館内に居るため、1人がバッドエンドを迎えると連鎖的に他の3人も巻き込まれるケースが非常に多い。
その他の供養メンバーを合わせ、招待客は主催者の香山を含めた8人(+謎の人物)と、従来より少なめ。
元々『2』の素材をリサイクルして有効活用するという企画だったためか、背景画像やBGMは『2』の流用が多く、サブシナリオも少なめとなっている。
ストーリー
『2』の惨劇、絶海の孤島・三日月島で起こった「三日月島事件」は一応解決はしたものの、関係者の多くはこの事件の影響で人生を狂わされることとなってしまった。
香山誠一もその一人であり、彼は三日月島の呪いに苦しみながら助けを求めるある人物の夢を何度も見るようになる。
香山が有名な祈祷師ケマルーア彦田に頼ってみると、過去に三日月島を統治していた岸猿家の当主「岸猿伊右衛門」の強い怨念により、島で亡くなった者は今も魂を束縛され成仏できずにいるという。
香山は彦田の助言に従って三日月館を修復し、事件からちょうど1年後の8月15日に、当時の関係者を集め、浮かばれぬ魂の供養を行うことを決意した。
しかし、供養に集まったメンバーはある事件に巻き込まれる……。
登場人物
4人の主人公
大阪の会社社長。お好み焼きのチェーン店を経営していて金にはがめつい。
事件の供養のため三日月島を買い取って館を修復し、魂を供養するため皆を招待する。
矢島透
前2作の主人公でもある大学生。大学が休みの時にペンション「シュプール」を手伝っている。
香山に頼まれた供養と、相変わらずな真理との関係を進展させるために、再び三日月島へと向かう。
快活なスポーツマンだったが、1年前の事件が原因ですっかり荒んでしまった。
真相を掴むため三日月島に向かう。
北野啓子
ぽっちゃり系な食いしん坊OL。同僚の渡瀬可奈子とはとある一件で疎遠になっていた。
恋の悩みを抱えており、想いを伝えるために三日月島での供養に参加する。
供養参加メンバー
小林真理
ヒロイン。ペンション「シュプール」の若きオーナーとして頑張っている。
香山に誘われ、透と共に供養のため再び三日月島を訪れる。
春子
離婚した香山の元妻(現在の苗字は不明)。優しくしっかりとした女性で、料理も上手。
香山に頼まれ、供養の参加者に食事を振舞う料理人として参加する。
髭面でワイルドなフリーカメラマン。図面もない三日月の館を修復するため香山に写真を提供。
さらに香山の依頼を受けて三日月島の供養にも参加する。
渡瀬可奈子
仕事のできる美人OLだったが、事情により退社後、美樹本の元でアシスタントをしている。
これにより、OL時代に仲が良かった啓子とは疎遠になっている。美樹本と一緒に供養に参加する。
その他の人物
コートの男
ゲーム『かまいたちの夜』の田中一郎に酷似した謎の人物。三日月館で目撃される。
船長
本土と三日月島を往復する地元の送迎船の船長。
姫宮麗子
ペンション「シュプール」のシェフ。見かけはゴツい男でホモセクシャルだが、料理の腕は絶品。
本名は権藤精作。
ケマルーア彦田
有名な祈祷師。胡散臭いが、占いは良く当たるとの噂で、お祓いの評判も高い。
三日月島にかけられた呪いを解くための祈祷の方法を香山に伝授した。
名前は「我孫子武丸」のアナグラム。実は前作の「洞窟探検篇」にも会話の中に名前が出ていた。
久保田みどり
小林二郎
小林今日子
香山夏美
正岡慎太郎
村上つとむ
前作・前々作の登場人物。前作の事件の関係により、本作では別の形で登場する。
菱田喜代
前作の菱田キヨに似た老婆。
岸猿伊右衛門
かつての岸猿家当主。
シナリオ
ペンション“シュプール”編
『かまいたちの夜』の「ミステリー編」の再録シナリオ。オマケ扱いのためセーブデータは独立。
本編以外のシナリオに繋がる分岐は削除されている。PS2なので画質は向上しているが演出は一部簡略化された。
監獄島のわらべ唄編
『かまいたちの夜2』の「わらべ唄篇」の再録シナリオ。オマケ扱いのためセーブデータは独立。
本編以外のシナリオに繋がる分岐は削除されており、バッドエンドも一部削られている。
三日月島事件の真相編
『かまいたちの夜×3』のメインとなる新規シナリオ。『×3』の本編。
三日月島で彷徨える魂の供養のため、香山に招待された1年前の関係者達だったが……
4人の主人公の視点で進んでいく。この関係で、前作までと違い透と真理の名前は変更不可。
初代と同様、事件を解決できないと徐々に招待客が殺されていく皆殺しルートへ進んでしまう。
ピンクの栞
ちょっとエッチな番外編
三日月島には呪いのせいで美女の魂が集められていた。
香山に依頼された透・俊夫・美樹本の3名は美女の魂による罠だらけの煩悩迷宮を攻略する。
黒の栞
犯人編
「真相編」で何故あんな惨劇が起こったのか、「犯人」の視点で見るシナリオ。
事件の新たな一面を知ることができる。
金の栞
エピローグ
「真相編」の完エンディングからの続き。
三部作を締めくくる本当の完結編。
余談
『1』『2』『×3』と続いた透達の物語はこれで完結することになったが、
新たに世界観を一新して『真かまいたちの夜』が発売された。