初代かまいたちの夜のネタバレを含みます。閲覧にはご注意下さい。
概要
初代『かまいたちの夜』(以下、単純にかまいたちの夜とする)のエンディングの中で恐らく最も悪いバッドエンドである。
『かまいたちの夜』シリーズは選択肢を選ぶ事で展開が変化するマルチエンドシステムであるが、本作の初代かま夜の場合バッドエンドは大抵主人公である透が死亡したり、ヒロインである真理が死亡したりする展開を迎える。
「彼女にストックで…」とは文字通り主人公の彼女(?)である真理に透がスキーのストックで喉を刺され死亡する、という初代かま夜のエンディングでは唯一「彼女に殺される」という展開のエンディングである。
他のバッドエンドで主人公が死亡する場合、ほとんどは犯人に殺されるものが多い。犯人以外に殺されるルートは他にもあるがそれでも最後まで守ろうとしていた彼女に逆に殺されるというこのエンドほどインパクトが強いものはないだろう。
このエンディングの名称はSFC版(以下、オリジナル版)ではゲーム中では分からないがPS移植版の『かまいたちの夜 特別篇』以降、このエンディングが「彼女にストックで…」と書かれていることから、これが正式なエンディング名だと思われる。
なお直前の章タイトルは「サバイバルゲーム」であり、特に小説のように章仕立て形式だったオリジナル版ではこの名前で覚えている人も少なくないのではないだろうか。事実この章では分岐が存在しないため、事実上サバイバルゲームに突入した時点で「彼女にストックで…」エンドが確定する。
逆に透が真理を殺してしまうエンディングは複数存在するが、大体の場合プレイヤーの行動が真理を犯人と思った時に生じる。それに対してこのエンディングは犯人=真理と誤ったから起きるというわけではなく、犯人を突き止めることができず、しかも生き延びようと考え続けた結果、起こるエンディングである。
他のエンディングと異なり画面が赤色になる演出が入りこのエンディングが最悪のバッドエンドと言えるだけのものはある。(ただし、オリジナル版は「終」マークが出るまで赤色の画面になるのに対し、PS版は最後の文章のあたりで画面が黒色になる。)
事実、このエンディングは真理に殺される、という他にも、
- 透が可奈子(登場人物の一人)を殺害している(自己防衛とも言えるが)
- 真理と真犯人以外は全員死亡してしまっている(これについてはこのルート以外でも有り得る)
- 他のバッドエンドと違い、死を装った真犯人のシルエットがほぼ登場しないまま終わる為、死者が最も多いとされており、透がだれかを殺害してしまう数少ないパターンでもある(一応、他にも透が他者を殺害するパターンはあるにはある)。
しかしながら残念なことに初回プレイで、攻略情報を一切見ずにプレイした場合このエンディング辿り着くことが多いだろう。というのもこの初代かま夜にはミスリードが多く、犯人の名前は自分で手入力する必要があるためプレイヤーは犯人を推理することが求められるが、ある地点までに犯人当てパートまで辿り着いて事件を解決しないと、以後は猟奇的な殺人が繰り返される血みどろ展開に突入してしまう(※)。
ミスリードもそうであるし、本作は次作『かまいたちの夜2』と比べると、ガチンコの推理力を発揮しないとなかなか事件の真相にたどり着けない。
この時多くのプレイヤーにとっては生き残ろうと考える選択肢をとると思われる。その結果最終的にこの地点にたどり着いてしまう可能性が高いわけである。もし初回プレイでここに辿り着かなかったとしても、多くの場合、犯人を解明するまでの間にこのエンディングに辿り着いてしまうことが多いだろう(ある人物から真犯人の情報を聞けばこのエンディングを回避できるが、そこにたどり着くまでの手順はかなり多い。途中でミスをするとこのエンディングになる)。
(※そして1周目の段階で犯人をこの時点までに知るのは困難。特にオリジナル版は、後のシリーズのようにフローチャートシステムやそれまでの状況を振り返るシステムもないので、余計困難。
一応「犯人が誰であるか」自体は序盤の二択で救済措置的に簡単に気付けるようになっているのだが、たとえそれが分かっても序盤で犯人指定まで持っていくための推理パートが難解。)
このため、本作の難易度を経験したユーザーから「次作の『かまいたちの夜2』の本編は逆に余りにも簡単に事件が解決しすぎて、ぬるすぎる。」という批判が出るほどである。
一応、PS移植版初代からはフローチャートシステムが導入されたため分岐を遡るのが容易になり、幾らかの手間や労力は省くことができるものの、やはり最終的にはプレーヤーの推理力が求められるため難易度的には次作『2』以降よりも難しいと言えるだろう。
オリジナル版では、可奈子が透に何度もモップで殴りつけられ、絶命していくまでのシーンが事細かにシルエットで描写されていたが、過激すぎたためか『×3』に収録されている『1』では簡略化されてしまった。
このエンディングの亜希と啓子は、オリジナル版では部屋にある2つのベッドの上で1人ずつ死んでいたが、『輪廻彩声』版では1つのベッドの上に2人で死んでいるという微妙な変更点がある。
彼女に殺されるという展開にショックを受けたプレイヤーは少なくないと思われみんなのトラウマの一つとしても認められているようである。
余談
ゲームセンターCXでかまいたちの夜が挑戦ソフトとなったときこのエンディングは「死者が最も多い最悪のバッドエンド」と語られたが実際は真犯人は死を装っている為、死者が最も多い訳ではなく、あくまで恋人に真犯人として殺される意味の最悪のバッドエンドである。そして、実際に有野課長もこのエンディングに到達している。