もしかしてチンチロリン
曖昧さ回避
- 岩国(現在の山口県)に現れたという妖怪。→本項で解説。
- オノマトペの一種。徳利の酒を注ぎ終わる音。
概要
『岩邑怪談録』に収録されているエピソードに登場する妖怪。厳密には「ちんちろり」はいわゆるヘイトスピーチ、悪口の類で、この妖怪の名前ではないが、これを指すものがないため寺西政洋『日本怪異妖怪事典』中国地方編でも村上健司『日本妖怪事典』でも水木しげるの諸著作でもこの名詞で収録されるに習ってpixivでもこれで表記する。
夜道で人の後を付けて「何々殿はちんちろり」と言ってからかう小坊主姿の妖怪で、次のような話が紹介されている。
岩国に住む加藤某というものがある日夜の峠道を一人で歩いていると、何処からともなく1人の小僧が後ろから追いかけてくるとだしぬけに「加藤はちんちろり~」と加藤を指差してからかってきた。
普通のものなら不気味がってそのまま走り去りそうなものだが、豪胆な性格であった加藤は臆することなく負けじと「そう言う者こそチンチロリッ!」と言い返した。
それから両者は永遠と加藤が家に着くまで永遠とこのちんちろり合戦を繰り広げ続けた。
そして加藤が家の門口まで辿り着き、さっさと中に入って戸口を閉めると、先ほどの小僧が門の上に立っており、「さてさて、強い人じゃ」と笑いながら言うと、まるで幻のように消え去っていったという(ちなみに妖怪と張り合わなかったらどうなっていたのかは不明)。
なお、岩国では負けず嫌いがよく「お前のほうこそちんちろり」と張り合うのはこの出来事に由来するという。