概要
ガールズバンドクライの登場人物、井芹仁菜と河原木桃香のコンビ、カップリングタグ。
イジメに遭っていて人生ドン底をついた時に、桃香の歌う「空の箱」に救われた仁菜。
己の音楽性を曲げないためにダイヤモンドダストから抜けてストリートミュージシャンになったものの、結果が出せず挫折しそうな時に、仁菜との出会いで音楽の世界に踏みとどまった桃香。
作品の主人公とメインヒロインとして二人の関係性を中心に物語は進める。
劇中での描写
第1話
第1話では2人を中心に話が進むため、多くのになもも描写が見られる。
キョーコ達から一緒に逃げ回ったり、吉野家やカラオケに行ったりして親睦を深めていた。
終盤では仁菜が桃香からギターを譲り受けるなど、王道ではあるがエモい展開となっており、この展開に胸を打たれた人も多いのではないだろうか。
第2話
桃香が家を引き払ってしまったため、もとの家に戻るまで仁菜の家に居候していたので、いきなり同棲シーンから始まる。
1話で桃香は再び音楽をやろうと決意したが、仁菜は「私は勉強、桃香さんは音楽!」と受験勉強をするため音楽をやる気はないと桃香に伝えた。
その後、引っ越してきたばかりの仁菜に対して、生活のアドバイスをしたり居候している代わりに鍋を作って一緒に食べたりするなど、初期は2人のシーンが多く描かれている。
中盤、桃香にすばるを紹介され、一緒にすき焼きを食べに行った仁菜だったが、うまく接することができずに桃香と口論して一人で帰ってしまう。
自分の部屋で落ち込む仁菜だったが、そこへ追いかけてきた桃香達が入ってくる。
そして、
桃香「言ったろ、仁菜の歌声が好きだって。」
仁菜「どうして...そんな嘘言うんですか...。」
桃香「嘘じゃないよ。ひん曲がりまくって、拗らせまくって、でもそれは、自分に嘘を付けないからだろ。弱いくせに、自分を曲げるのは絶対にイヤだからだろ。」
仁菜「...!」
桃香「それはさ、私が忘れていた、私が大好きで、いつまでも抱きしめていたい、私の、歌なんだ。」
そう言うと桃香は、仁菜の頬に手を当て、涙を拭ったのだった。
この描写に我々が考えているような深い意味はないものの、になももが好きな方にとっては非常にありがたいシーンとなっている。
第3話
仁菜の頑固さが仇となって桃香と口論になるシーンが多かったものの、桃香は仁菜の扱い方をマスターしており、仁菜はイラつきながらも完全に手懐けられてしまっていた。
第4話
仁菜が桃香に憧れていると見て取れる描写もある中で、「今のダイヤモンドダストのことをどう思っているか」と桃香に聞いた際、最初は話そうとしなかったものの、仁菜の好奇心に負け自身の過去について話していた。
その時に見せられたダイダス時代の写真に対して、仁菜に「桃香さん、こんな顔で笑うんですね」と言われた桃香は少し恥ずかしそうにしていた。
3話以降はすばるの話がメインのため、2人のシーンは若干少なめだが、それ故に印象的なシーンも多く見られる。
第5話
桃香が仁菜に対してバンドの大変さを突きつける中で、今のダイダスの現状を見てしまった仁菜は「今のダイダスは本当にあれでいいのか」と桃香に問いかけた。桃香はそのことに対して「今は自分にとってもう関係のないバンドなのだから好きにすればいい」と考えていたが、それに納得できない仁菜はスタジオと居酒屋で桃香と喧嘩になってしまう。
お互いに飲み物を掛け合うなどして大喧嘩になったが、仁菜の激しい思いをぶつけられた桃香は、自分がダイダスを辞めた理由を素直に打ち明けた。
それに対して仁菜は
仁菜「...それでも、それでも私は桃香さんが好きです。桃香さんの歌が好きだから。私の心を動かしたのは、あの時のダイヤモンドダストだから。桃香さんだから。」
桃香「バカだな。鼻垂れてるぞ。」
仁菜「バカですよ。バカじゃなければ、こんな所でこんなことしてません。」
こうして喧嘩は幕を閉じたのだった。
ここまでの時点で、何度もぶつかり合い、お互い(の歌)のことを好きと告白していることから、この2人の関係は友情だけでは語れない特別なものであると言うことが見て取れる。
その後、酔いつぶれた桃香を仁菜とすばるは介抱しながら帰っていった。
第6話
バンドの目標が決まらず四苦八苦している中で、因縁のこともありダイダスに勝ちたいという思いが強まっている仁菜は、桃香に対してその思いを打ち明ける。桃香はその思いに対してあまり乗り気では無く、「勝手にしろ」というスタンスを取っていた。
そんな中でルパと智と出会った仁菜とすばるは、2人の目標を知って一緒にバンドをやりたいと思った。
そして、初めて5人で合わせた際に、桃香に対して仁菜は桃香の歌が間違っていないということを証明したいと伝えたが、それに対して桃香ははっきりと答えなかった。
6話以降はルパと智のコンビも合流してくるため、2人の描写よりもバンドの関係性の方がより深く描かれていく。
第7話
ミネさんの誘いで諏訪でライブをやることになった仁菜達だったが、同時にバンド名が決まらないという問題にも直面していた。
そんな中で、桃香は衝撃的な発言をした。
桃香「…..私の最後のライブにはピッタリだ。」
仁菜「えっ...?」
桃香「辞めるよ。このバンドは。明日の本番で終わりだ。私は抜ける。」
仁菜「何言ってるんですか...?」
桃香「悪いけど、私はこのバンドを背負って、プロになる気にはなれない。」
仁菜「どうしてですか?」
桃香「私の作る曲じゃ、プロの世界では通用しないからだ。仁菜が、私の歌を好きでいてくれたのは、嬉しい。本気になってくれたことにも、感謝してる。ありがとう。」
仁菜「それでいいんですか!?」
桃香「ああ。それでいい。」
なんと、突然バンドを脱退すると言い出したのだ。元々アマチュアでやっていくつもりで作ったバンドであったため、桃香にとって本気で打ち込むことは考えていなかったとはいえ、突然のことで仁菜は桃香のことが気にかかってしまう。
その後、ミネさんから音楽をやっていることで心に受ける傷や恐怖について語られ、決意を固めた仁菜は、記念すべきトゲナシトゲアリ初ライブの後にステージで打ち明けた。
仁菜「ルパさん、智ちゃん、すばるちゃん、桃香さん、私、予備校辞めます」
この発言によってライブを台無しにされたと思った桃香と仁菜の関係は悪い方向に向かってしまう。
7話では2人の関係は上記のように良いどころか悪化してしまった。
自分から仁菜をバンドに誘った桃香だったが、今度は自分が抜けると言うなど、彼女の無責任さが目立った回とも言えるだろう。
非常に面白い回でありながらも次回の展開が非常に気になる回であり、この回は実際、Xで初めてトレンド1位を獲得するなど、ネット上での反響は凄まじかった。
そして、ここから2人の関係は最高潮へと達していく。
第8話
初めに言っておこう、この回は本作の中で1番のになもも回である。
になももが好きな方々も一番好きな回なのではないだろうか。
ライブ後、帰路につく仁菜達だったが、桃香と仁菜の関係は険悪となっていた。
車内で仁菜が挑発したり、SAで人目を気にせず桃香が仁菜の胸倉を掴み、危うく手が出るような喧嘩をしながらも、無事家に着いた。
仁菜に対して厳しい態度を取っていた桃香だったが、それはむやみにプロになって絶望してほしくないから彼女を守りたいという思いから来ていた。
一方仁菜は、誰かに頼ることを辞め、自分の力で生きて行こうと、ギターの勉強を始めたり、親からの仕送りを拒否してバイトを始めるなど自立するため努力していた。
そんな中、バイト中の仁菜のもとに桃香が現れ、彼女の軽トラで一緒にある場所へと向かった。
たどり着いた場所で、ドアを開けた先に待っていたのはダイヤモンドダストのライブ会場。
そこで桃香は、「やりたいことだけをやって生き残っていくのはほんの一握りしかできないことであり、成功するためには嫌だとしても多数の人間に喜ばれることをしなければならない」という現実を仁菜に見せつける。
それに対して仁菜は桃香の歌が通用しないとは限らないと反論したが、桃香はかつての彼女自身が、実力だけでは通用できず、やりたくないことでもやって続けるか、辞めるかという選択をしたことを明かした。
そして、
桃香「でも、仁菜に私と同じ選択はさせたくない。なんで田舎に帰らなかったのか、バンドを始めたのかって聞いたよな。あのとき、仁菜が歌っているのを見て、自分が最初に歌っている姿を思い出したんだ。仁菜は、売れたいとか、認められたいとかじゃなく、好きな歌をただ歌っていた。あの時の仁菜は、私が好きだった私なんだ。あの頃の私なんだよ。」
そして桃香は、仁菜を振り向かせ、
桃香「だから、仁菜のまま、歌い続けて欲しかったんだ。何にも縛られず、その歌を横で聞いていたかったんだ。」
そう、桃香は仁菜に過去の自分を重ねていたのだった。彼女が仁菜とバンドを組みたいと思ったのも、仁菜の歌う姿を眺めていたかったからだった。だからこそ、自分と同じ過ちを繰り返してほしくなかったのだ。仁菜に傷ついて欲しくないという気持ちが、結果的に彼女の思いと反発してしまっていたのだった。
そう言われた仁菜は答えた。
仁菜「.....私の気持ちはどうなるんですか。」
桃香「仁菜...」
そうして仁菜は桃香の手を払いのけ、
仁菜「私の気持ちはどうなるんですか!」
そう言い残しその場から走り去ってしまった。
すぐさま追いかける桃香だったが、捕まえた際に、
桃香「仁菜!」
仁菜「放してくださいっ!!」
そう言い放ち、桃香に強烈なビンタを加えたのだった。
仁菜「私は、あなたの思い出じゃない。あなたの思い出に閉じ込めないでください!」
仁菜の記憶に呼び起されたのは、熊本時代に自身をいじめていた張本人と仲直りさせられようとした時のこと。
仁菜『...この空欄を埋めれば解けますか、いつの日か』
口ずさむのは彼女を救った「空の箱」のワンフレーズ。
その声は強くなっていき、父親や校長の言葉に耳も貸さず、彼女は校長室から走り去っていく。
仁菜『あなたならどうやって、先へと進みますか!!!』
そうして彼女は学校の放送室を占拠し、空の箱を全校に流したのだった。
再びシーンは現在へと移り変わる。
仁菜「...指先が震えようとも、あなたの歌で、生きようと思った人間もいるんです。あなたが守らなきゃいけないのは、思い出の中のあなたじゃない。自分の歌を誰かに届けたいという気持ちです。」
そうして仁菜は涙を流し、
仁菜「自分の思いを喜びを、怒りを、悲しさを、誰かに届けたいからバンドを始めたんですよね!?学園祭で歌って、東京に出てきたんですよね!?プロになったんですよね!?」
桃香を柱に押し付けて、言い放つ。
仁菜「何怖がってるんですか!!何ビビってるんですか!!ここにいるんですよ!?あなたに勇気付けられ、元気をもらい、あなたが居たから飛べた人間が!!あなたと一緒に歌うことを幸せに感じて、懸けようと思っている人間が!!!あなたを信じている、あなたの歌が!!」
仁菜は桃香の胸に頭をぶつけ、こう言った。
仁菜「桃香さん...私で逃げるな」
仁菜は桃香の歌によって救われた人間だった。過去の桃香でもなく、ほかの何物でもない、井芹仁菜という存在だった。だからこそ、桃香に自分を受け止めてもらいたかったのだった。
そして、ダイダスのメンバー達がそこへ来てしまったため逃げた桃香だったが、その後仁菜に引き止められ、そこで彼女達の思いを聞き、
受け止めた上でライバルとして宣戦布告し、そのまま走り去っていった。
暗闇の中走っていく車の中で、仁菜は桃香に話しかける。
仁菜「桃香さん」
桃香「何だ!」
仁菜「やっぱり私、桃香さんが好きです。」
桃香「...なんだそりゃ。」
仁菜「決まってるじゃないですか。」
仁菜は息を吸い上げ、こう伝えた。
仁菜「告白です。」
途端に泣き出す桃香。
やっと仁菜の思いをちゃんと直視して受け入れ号泣する桃香の声をかき消すため、仁菜はそっとカーステレオの音量を上げる。流れるのは桃香の歌う「空の箱」。
2人の乗る軽トラはそのままどこかへ向かっていったのだった。
このシーンでは、初めて相手の歌ではなく相手本人に対して好意を伝えていたことから、それが友情や親愛だとしても非常に視聴者の心を掴んでくる描写になっていた。
この8話以降、離れていた2人の心はより深い関係へと近づいていく。
第9話
この回は智の話がメインであるため、2人の描写はかなり控えめになっている。
ただし、この回では智のヘビを怖がって部屋に立てこもる桃香など、彼女の意外な一面がみられる回でもあった。
第10話
この回はいわゆる家族回だったため、ここでも2人の描写は少なかったが、駅の会談で皆でたむろしている時に、桃香が仁奈に新曲の歌詞を書くように頼み、「見てみたいんだ……”私の歌”が書いた私の歌を」と、仁奈のことを「私の歌」呼ばわりしている、それに対して仁奈も即座に理解し、「はい……!」と答えている(もう付き合っちゃえよ!)
そして、桃香が実家に行くことを渋っている仁菜に対し、理解を示しつつも大人らしく説教をして、「親と話がつくまでは家に入れない」など、仁菜本人に解決させようとする桃香の厳しい一面も見られるようになっている。
一見厳しくしていた桃香だったが、仁菜は絶対戻ってくると信じていた。また、ラストで実はあと一日戻って来なかったら熊本まで行こうとしていたらしく、内心心配していたことがうかがえる。
第11話
フェスに向けての練習中に、桃香が仁菜の発言を真似たりして2人でじゃれあうなどしていた。
その後、フェス会場の下見に行った仁菜達だったが、仁菜と桃香の二人は「小さなステージで歌う自分たちが大きなステージで歌うダイダスに挑んでいくことがかっこいい」と考えていることが言及されている。
後半ではいきなり登場したキョーコに驚いて桃香に抱きつく仁菜などもあり、謎に距離感が近くそういった関係を匂わせている気がしなくもないが...
この頃になるとどちらかが微笑んだらもう一方も微笑むようになっており、2人の間だけ空気感がおかしくなっている。
第12話
ついに事務所に所属したトゲトゲの話となっている。
この回では久々に世間知らずな仁菜に対して桃香が色々なことを教えてあげたりしており、ここ2話仁菜がトゲを出していないこともあってか初期のような落ち着いた雰囲気になっている。
そうして事務所所属記念のパーティーをやったとき、そこでのメンバーのじゃれあいから桃香は新曲のアイデアを思い浮かべるのだが...
数日後に渡された歌詞を見てみると、
「運命が絡まって轟いて ほかの道食べつくした
私に残った人生 君と歌っていくこと」
「消えたかった 私はもういない
消えなくてよかったな・・・
だって君と出会い 芽吹いてしまった 運命の華」
という、完全に仁菜へのラブソングと化しており、これには視聴者からも「歌詞の湿度が高すぎる」「よく平然と印刷して渡せるな」など、になももを加熱させる材料となってしまった。
(というかどうやったらあのパーティーからこの歌詞を生み出せるのか...)
12話では他にも、疲れて電車の中で仁菜に寄りかかる桃香やそれに対して平然としている仁菜が見られたり、11話のような突発的なハグではなく仁菜が自分から桃香を抱きしめたりしており、この二人の距離感が異様にバグっている。
そして、仁菜のカレンダーの予定に「練習終わり桃香の家へ」と呼び捨てで書いていたこともあり(ただ省略しただけとも考えられるが)公式が流石に既に付き合っているんじゃないかというレベルまで匂わせ過ぎていることもあって、になももは更に人気のカップリングとなった。
第13話
ダイダスとの対バンについてメンバーで話し合いになったときに、感情に任せてこたつの上でギターを弾く仁菜に対して、他の3人は呆れたような顔をしていたが桃香のみギターが上達したことに感心したのか惚れ込んだような顔をしていた。
また、最後のライブシーンでは、上で書いたフレーズ「私に残った人生 君と歌っていくこと」の部分で桃香が仁菜の方を見ており、運命の華が完全に仁菜へのラブソングであることがほぼ確定してしまった。惚気が過ぎるぞモモカン。
こういった描写などから見ると、恋愛関係とまではいかずともかなり2人の距離感が他と比べて特別なものであることがうかがえる。