概要
漫画家士郎正宗のメジャーデビュー作となった作品。
世界大戦後の世界を生きる主人公デュナンと、その戦友であり恋人のブリアレオスの活躍を描いたSF漫画。
タイトルはアメリカの開拓時代のリンゴ農園民話『ジョニー・アップルシード物語』より。キャラクターや設定の各所にギリシャ神話由来の名前が使われている。
セルアニメのOVA版(1988年4月21日)、フル3DCGアニメの劇場版(2004年4月17日劇場公開)とその続編「EX MACHINA(エクスマキナ)」(2007年10月20日劇場公開)、劇場およびTV、ネット配信作品「APPLESEED XIII(アップルシード・サーティーン)」(2011年6月)に続き、2014年に長編CGアニメ三作目となる「APPLESEED Alpha(アップルシード・アルファ)」が発表された。原作コミック第一巻をベースとしたリブート作品で、アメリカ、ヨーロッパ地域で7月15日にデジタル配信開始、22日にDVD・BDが発売されている(国内では2015年1月17日より劇場公開、2月18日にDVD・BDが発売)
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このように度々アニメ化されている作品ではあるが、原作との設定やキャラクターの解釈の違い(あるいは単純に作品そのもののクオリティの問題)により同作者の代表作「攻殻機動隊」ほどの大々的なヒットには恵まれずにいる(それでも劇場版一作目のDVDは全世界で42万枚以上を売り上げた)
また世界情勢の変化及び阪神淡路大震災による作者被災からの連載凍結と相まって「不遇の名作」というイメージが強い作品でもある。
余談であるが、小説版エクスマキナ(作・竹内清人)ではルイス・キャロルの不思議の国のアリスの世界観を引用し、ブリアレオスを白兎に例えるシーン等が登場するが、作者の士郎正宗がアリスをアップルシードのモチーフにしたという発言は知られていない。
ただ、キャロルが語ったアリスと白兎の対比関係(「若さ」「勇敢さ」「健康さ」「目的に対する迷いのなさ」と「老成」「臆病」「虚弱」「神経質な優柔不断さ」)はデュナンとブリアレオスのキャラクターにも類似する部分がある他、本作執筆当時に不思議の国のアリスをモチーフとした読切り漫画を同人誌に寄稿しており、その中で「(読切りが不完全なのは)今持っているネタもアイデアもアップルシードに叩きこみたかったから」と語っている>参考リンク
ただ、原作漫画は「デュナンとブリアレオスの活躍・動向を描く」形に留まっており、コミックス内での起承転結はあるものの作品自体としての大きなストーリーの流れは明確にされていない(作品としての終着点が明示されていない)。
登場人物
主人公
CV.勝生真沙子(OVA)/鶴ひろみ(ドラマCD)/小林愛(劇場版・EX)/坂本真綾(XIII)/小松由佳(α)
2105年誕生(劇中年齢22歳前後) 女性
元LA市警SWAT隊員。特殊部隊「ESWAT」の最年少隊員。対人戦闘、銃火器の扱いには天才的才能を持つが性格に難有りで、バディであるブリアレオス以外とはなかなか反りが合わず、スタンドプレーに走ることもしばしば。
(キャスト欄を見ての通り、この作品はアニメ化の際の声優陣の入れ替わりが激しく、諸問題で制作中止となったTVアニメ版「APPLESEED GENESIS(アップルシード・ジェネシス)」では朴璐美がデュナンの声を担当する予定であった)
CV.坂口芳貞(OVA)/屋良有作(ドラマCD)/小杉十郎太(劇場版)/山寺宏一(EX・XIII)/諏訪部順一(α)
2096年誕生(劇中年齢31歳前後) 男性
デュナンと共にESWATに所属する元KGBのスナイパー。ソ連亡命後デュナンの父カール・ナッツと出会い、以降彼の元に就きデュナンとパートナーを組むことになる。その後、爆破事件に巻き込まれ重傷を負い、度重なる身体改造を経て多重情報処理能力(ヘカトンケイル・システム)を持つ戦闘特化型サイボーグとなった。
なおブリアレオス及びヘカトンケイルの名は、ギリシャ神話に登場する百の腕を持つ巨人種と、その個体名に由来するもの。
オリュンポスの住人(バイオロイド)
「バイオロイド」とは、巨大都市オリュンポスの人口の過半数を占める人造人種。遺伝子ドナーとなった人物の単純なクローンから、特定の用途の為にDNA改造を施したものまで様々なタイプが存在する。
デュナンの父カールもドナーの一人として遺伝子を提供している。
人美(ヒトミ)
CV.荘真由美(OVA)/金丸日向子(ドラマCD)/松岡由貴(劇場版)/沢城みゆき(EX)/高橋美佳子(XIII)
日系の血を引く女性バイオロイド。総合管理局・立法院に所属し、秘書のような役職を務めている。彼女のDNA情報にはオリュンポスのメインコンピュータ「ガイア」を停止させるための鍵となる情報が含まれており、「歩く機密情報」とでも言うべき重要人物だが、当人はそれを特に自覚している様子はない。性格は幼く、外見上も十代後半か二十代のように見えるが、これはバイオロイドに施される延齢処置によるもので、実年齢は50歳を超えている(2074年生れ)
宮本義経(みやもと よしつね)
CV.三ツ矢雄二(OVA)/草尾毅(ドラマCD)/森川智之(劇場版)/加瀬康之(EX)/下野紘(XIII)
ヒトミのボーイフレンドで、同じく日系のバイオロイド。オリュンポスでは一般化しているパワードスーツの一種であるランドメイトの販売、整備を行う「明智モータース」に勤務する青年。重度のメカマニアでバイク好き。
劇場版二作ではESWAT専属のメカニックとして登場し、負傷したブリアレオスの治療を手掛ける等、原作に登場するドクター・マシュー(サイボーグ医療に長けた老医師で、ESWATの医療班にも所属している。他作品にも多々登場する士郎正宗版お茶の水博士的人物)のポジションも担ってるため能力的に若干チート気味である。
アルテミス
ネコ科動物とヒトのハイブリッド型バイオロイド。オリュンポスに重要な情報をもたらす存在のようだが、その謎は明かされることなく本編休載となってしまった。様々な言語を片言で話すが、きちんと会話することは出来ない。ESWATにより回収された後、ヒトミ宅の居候となる。単性生殖で生んだ三つ子の娘(自身のクローン体)がいる。
スピンオフコミック
原作は休載中であるが、別作者によるアニメ化作品をベースとしたコミカライズ作品がいくつか発表されている。
2011~2013年まで月刊アフタヌーンにて連載(単行本・全三巻)
アニメ版のメインストーリーを追う内容で、オリュンポスを脅かすテロリストとESWAT隊員のデュナンとブリアレオスの戦いを描く。原作さながらのアクションシーンや、個性的なメカニックデザインが見どころだが、コメディ色の強い台詞回しには賛否あり。大飯食らいでツンデレなデュナンと、愛妻家で「自称S」なブリアレオスのラブコメシーンには隠れファン多数(?)
2014~2015年まで月刊モーニング・ツーにて連載(単行本・全二巻)
大戦後の廃墟化したニューヨークを舞台に、力強い筆致できらびやかな近未来SFのイメージの真裏を描いたディストピア感溢れる世界観で展開される前日譚。オリジナル要素が強く、原作ファンの作者ならではの大胆な作品解釈が連載早々話題となった。
関連タグ
外部リンク
Wikia:APPLESEED(英語)