概要
オランダの国軍であるオランダ軍を構成する4つの軍隊のうち、海上兵力を担う海軍である(他の3つの軍隊はそれぞれ陸軍、空軍、護衛軍)。その海軍の下い、水陸両用戦力部門(オランダ海兵隊)と海上航空部門(オランダ海軍航空隊)の2部門が編成されている。
オランダは古くから毛織物産業が盛んであり、それらの商船を根こそぎ狙う海賊が多く点在していた。それらを護衛する為に、沿海域における海上武装部門、それこそがオランダ海軍の始まりであった。
英蘭戦争では、多くの戦列艦を多数建造し、当時の仮想敵国であるイギリスに圧倒的な戦術によって、幾多の海戦を乗り越えてきた。さらに、マールテン・トロンプやミヒール・デ・ロイテル等の名将の活躍もあり、英国を凌ぐ海軍となった。まさに、オランダ海軍の黄金時代だった。しかし、18世紀、オランダはフランス海軍と戦い国力を消耗し、これがオランダ海軍における最初の悲劇でもあった。幾多の大型の軍艦が戦没していき、オランダの有力な植民地はインドネシア(オランダ領東インドが成立するのは20世紀)しかなく、他の列強に比較すると海軍としての格が落ちてしまっていた。
決定的となったのはあの第二次世界大戦で、1940年5月にはナチス・ドイツのフランス侵攻に伴い、本国がドイツに占領された。短時日の陸戦による戦闘が主であり、海上戦闘はほとんど無かった。また、大日本帝国海軍との戦力差は隔絶しており、1942年に入り、日本海軍がマレー・フィリピンを制圧された。さらに、インドネシア侵攻に至ると、その圧倒的優位に対抗して米・英・豪海軍とABDA艦隊を組織して挑むもジャワ沖海戦、バリ島沖海戦、スラバヤ沖海戦、バタビア沖海戦にどれも敗北し、海軍としての戦力が壊滅していった。
戦後、組織を再編し、新生オランダ海軍となった。今となっては規模が小さくなったものの、ヨーロッパ諸国と共同で設計した軍艦などを運用している。