概要
三畳紀前期中国Nanlinghu層から産出している基盤的な魚竜類。
スクレロコルムスと共にナソロストラを構成する。
保存された標本は21.4cmであったが、近縁種を参考に長い尾を持った姿を想定して推定すると全長40cm、体重2kgとなる。
吻は短く、頭骨のおよそ半分を占める。吻端の幅は約6mm。
当初は歯が見られないことから歯が存在しないと推測されていたが、その後マイクロCTスキャンにより平らまたは鈍い歯によって構成される複数の歯列が発見されている。
かつては歯がないという誤った推定により、短い吻に圧力を集中させて摂食する吸引摂食者であるとされていた。歯の発見後は貝などの殻を持った生物を捕食するとされた一方、吸引摂食とも矛盾せず二つの摂食様式を持っていたと結論づけられている。
頭蓋骨及び椎骨は完全に骨化が進んでいたが、四肢の骨化は不十分なものであった。初期の海棲爬虫類の多くは幼形成熟によって骨化が不十分であり、成体である可能性が示唆されているが、標本が一体のみであるため詳細は不明である。
手首関節には広範な軟骨があったと推定され、同様の構造を持つウミガメの幼体と同じく陸上活動が可能であった可能性がある。鰭は強力ではなかったが、体重と鰭の表面積の比率は他の基盤魚竜類と比較して軽く、十分陸上活動が行えたと推定されている。