概要
魔法学院Aクラスの生徒。
伯爵家嫡男で、財務局事務次官の父ラッセルは、シシリーの父の上司に当たる。
オーグ、トール、ユリウスとは同じ中等学院出身で、中等部時代はオリバー=シュトロームから家庭教師として個人指導を受けていた。
作中における最初の悪役であり、作中に初めてシンと対峙した魔人。
人物
自尊心が異常に強く、身分を振り翳す事が法律で厳禁とされる学院内においても平然と自身の家柄を鼻にかけて平民や女性を見下す傲慢かつ差別意識の強い性格。
ヒロインであるシシリーを自分の物にしようと企むが……
作中での活躍
入試初日にシンに因縁を付けるも簡単に組み伏せられ、それ以降彼に対して強い憎悪を抱くようになる。
シシリーに対して父親の権力をチラつかせて無理矢理自分の婚約者にしようと迫るも、オーグによって阻止される。
オーグを経由して自身の所業を知った父から叱責を受けるも、反省の色を見せるどころか「法律そのものが間違ってる」、「選ばれし民である貴族が平民などと同列に扱われる方がおかしい」、「特別な存在である自分を虚仮にし逆らう事など許されない」と称して憚らず、遂には王族であるオーグにまで恨みを向ける。
これに激怒した父から殴られ、謹慎処分を言い渡されてしまう。
その後、カウンセリングと称して自室を訪れたシュトロームによって更なる洗脳によってシンに対する憎悪が暴走。学園に現れてシン達を襲撃し、魔人と化す。
末路
魔人となった事で学院内を恐怖のどん底に叩き込み、憎悪の対象であるシンへの殺意を剥き出しにして暴走するが、シンの規格外の戦闘力に圧倒されてしまう。
理性は殆ど失いつつも、言葉を発する程度には残っていた為、シンはカートを元に戻せないか試みるも、その前にカートの殺意と憎悪が頂点に達し、魔力を暴発させて学園ごとシンを吹き飛ばそうとするが、最終手段としてバイブレーションソードを使用したシンに斬首され、討伐された。
本来の人物像とその後
なろうの転生ものにありがちな選民思想の強い悪役貴族そのものな態度が目立つが、それはあくまでシュトロームによる洗脳によるものである。
魔人化する前後で彼の本来の性格が語られており、元々は自信家でプライドの高い部分はあれど、権力を振りかざすような人物ではなく、平民に対しても「貴族として民は守るべき存在」という意識を持った真っ当な貴族だったようで、父親も息子の突然の変わり様に困惑していた。
(母親の方も「あれほど忠誠を誓っていた王家の方にまであんな事を言うなんて……」と嘆きながらも、決して彼の言動を擁護はしていない)
彼の死後、遺族への扱いを憂慮した国王・ディセウムの計らいにより、魔人化した事については伏せられ、事件に関しては「突如現れた魔人をシンが討伐した」という内容で公表された。
(これが後にシュトロームが事件に関与していた証拠を掴む切っ掛けとなる)
シュトロームによる洗脳が明らかになった後、遺族は被害者として扱われ、罪に問われる事は無かったものの、父親は事務次官を辞職し、領地へと戻った。
家督に関しては彼の弟が継ぐ事になり、事情を知る一部の者から協力を受けた事もあり、御家断絶などにはならずに済んだ。
実力
元々魔法の実力には自信があったようで、シュトロームの指導で魔法の実力を伸ばした事もあり、国内最大のエリート校に合格出来る程には優秀。
だが、シュトロームによる強化込みでAクラスという点を踏まえると(規格外の実力を持つシンは勿論だが)Sクラスのメンバーには劣る。
魔人化した際の戦闘力はシン曰く「虎や獅子の魔物(災害級)より少し強い程度」との事。
(ただし、一般兵や当時のオーグ達にとっては充分脅威なのだが)
シュトロームからは「元が弱い」、「魔人化してもあの程度」と酷評されており、最初から捨て駒程度にしか思われていなかった模様。
余談
・彼が討伐されるシーンにおいて、シンの心情はweb版と書籍版で大きく違いがある。
web版では「森で魔物を狩り続けていたせいかあまり罪悪感とか湧かないな」と、魔人化したカートを人間ではなく魔物として見ていた淡白な反応だった。
流石にこれはまずいと判断されたのか、書籍版では仲の悪い嫌な奴とはいえ同級生を殺してしまったと苦悩するといった反応に変更されている。
・終始圧倒されていたため目立たないが、実は戦闘において不意打ちながらもシンを負傷させた数少ない人物だったりする。
(当時のシンは対人戦に慣れていなかった事もあり、カートの火炎魔法を咄嗟に仲間達を庇う形で防御したため、手と顔に火傷を負った。ただし、負傷自体は自動治癒の付与魔法ですぐに回復している)