概要
緋采俊樹による日本の漫画作品。
『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて1998年36号から2001年49号まで連載された。
「宅配便」と「人の絆」をメインテーマにした人情コメディ作品。
連載当時の通称は「ゲュー」あるいは「ゲッチュー」ないしは「まごころ」。
登場人物
後藤紅男
本作の主人公。(初回当初は)都立府城高校に通う高校2年生。株式会社まごころ便の社長の息子で(自称)次期社長。
頭に宅配の事しか無い、魂熱き宅配バカ。しかしバカゆえに学校の成績は最悪。高校生にもかかわらず学業よりも家業を優先するため出席率も最悪で、作品中期からは3年次で留年する羽目に。こんな身の上で「なんで高校に進学したのか」(高校にも学問にも会社にも家庭にも迷惑じゃないか)とは登場人物のみならず読者全員が思うツッコミであったりする。
ただし、のちに紅男自身は中学時代に家業就職希望であったが、業界最大手での研修を体験した際に、父母の恩師でもある同社の社長から「人の荷物を預かる仕事は君が思うほど易いものではない」「将来を焦らず決めつけず、同い年の友人たちと共にきちんと成長して、もっと広い世界を見て世の中を知りなさい」と諭されて進学した旨が語られている。
学業は最悪だが、こと宅配の事となると人並み外れた才覚と知力を発揮する。(担当地域住民の住所氏名はもちろん、その生活サイクルや状況などを、下手をすればその家族はおろか本人すらも理解してなかった部分まで把握している。要は紅男の担当地域の人々は、プライベート情報が紅男に筒抜け。救いがあるとすれば、紅男自信は自らの宅配屋としての誇りにかけて、それら個人情報を絶対に悪用しない事か)留年後はその個々人のプライベートを把握している事情から学級委員へと強引に推挙された。
趣味と特技はアウトドア(ノーグッズキャンプ)だが、これは幼い頃に家庭環境の問題(事実上の自営業かつ父子家庭であるため誰も自分を構ってくれないし、家人たちにもその余裕が無く、繁忙期には食事も出されずに何の知識も与えられぬままで餓死寸前に追い込まれる事も頻繁にあった)によって家出を繰り返したために磨かれたスキルである。
山川コトミ
本作の(一応)ヒロイン。紅男の幼馴染トリオの一角。
お下劣系のお笑いが大好きなドSで、漢前に過ぎる女子力(物理)の持ち主。
ちゃっかりしていて抜け目なく、玉の輿願望をあけっぴろげにして、自分に好意を持っている紅男を頻繁に追い詰めたりしている。(が、実は紅男の尻を叩いて発奮させるためのポーズの側面もある)
紅男を筆頭として周囲の男性陣に容赦の無いツッコミを繰り広げるおっぱいのついたイケメン。
リアライズアウトドアも平気な壮絶ワイルダーでもあり、時に虫入りのたこ焼きを平気で食べていたりする。(まぁ、酒で酔っていたからだが)
作者コメントにおいては物語の最終局面で幼馴染ざまぁのフラグを盛大かつ豪快にブチ折って自分に真っ先に求婚してきた幼馴染と結婚した事が語られており、彼女の抜け目のなさはがっちり娘に引き継がれている。
葛西信幸
紅男の幼馴染トリオ最後の一角。剣術道場の(一応)跡取り息子。
お調子者のイケメンで、いけすかないモテメンであるが、実は本人は心に決めた人がいたりする。しかし、お調子者であるがゆえにモテメンな自分も楽しんでいたりするため、さらに首を絞める結果に。(時折、その事をコトミにからかわれたりしている)
一人っ子だが家の道場はとても厳しいため、紅男と共にアウトドア(家出)仲間となる事もある。
後藤火呼
紅男の姉。まごころ便の経理事務と配送オペレーションを担当。
姉弟だけはあり、紅男が女装すると、この姉にソックリになる。
男所帯のまごころ便を事実上、女手ひとつで纏め上げている本作を代表する超スパルタンのしっかり者。
しかし、その分、自身の生活に余裕は無く、幼い頃から宅配の鉄火場に晒されてきた経験もあり、紅男に対する扱いは「要領の悪い足手まとい」「未熟なくせに口だけはいっぱしな馬鹿者」「生きてるだけで皆に迷惑をかける社会の害悪にしかならない愚弟」と壮絶に雑。
しかし弟への愛情が無いわけではなく(将来、弟が独立するのを見越し、そのための「資金」として紅男名義の蓄財口座を用意している)いわゆる「対話が苦手な不器用な姉」でもあったりする。
中村アヤ子
紅男・コトミ・信之(のち、梧・美羽・守屋・角田)の担任。担当教科は数学。北海道出身。問題児に囲まれて精神を磨り減らす苦労人の女教師。あまりにトラブルメーカーな教え子たちのせいで余裕が持てず女性としてはもはや終わっているが付き合いと面倒見はとても良い。
高校史上初とすらまで言われた超問題児の紅男を文字通り体当たりで教育し、きちんと卒業させてみせた、まさに教師の鑑(もっとものちに、ある教え子と結婚する羽目になるが)。