サキュバス(ダンジョン飯)
さきゅばす
人間の精気を吸い取る魔物。吸われた者は恍惚の表情を浮かべたミイラとなってしまう。
獲物にとって「最も魅力的な相手」の姿に化けて近付く。これは本人すら気付かないような性癖にも対応している。冒険者はたとえ相手がサキュバスであると分かっていてもその誘惑に対して抗うことができず、「一対一では絶対に勝てない」とまで言われる。対処するには2人以上で組んで好みに対応されていない者がサキュバスを倒すのが鉄則とされる。
直接的な戦闘力はさほど高くはなく、後述するように獣に化けたとしても肉食獣の鋭い爪や牙、馬の蹄を攻撃に用いるようなことも無い。
体液には性的な興奮や快感を与える作用があるため媚薬の原料として乱獲される。
正体は人間ほどもある巨大な蚊の魔物「サキュバス・モスキート」。その生態から伝承上の存在であるサキュバスに因んで名前が付けられた。本性を現すと背中から虫の翅が、頭部からは細長い触角が生えてくる。
口の中にある針で獲物の精気を吸い、幼体(大きめのエビほどのボウフラ)に尻から与える。
迷宮の深部である第7階層に出現。
泉に水を汲みに来たセンシの精気を吸い、次にライオスを、さらにマルシルとチルチャックをミイラ状態にしてしまう。
イヅツミに対しては民族衣装を纏った母親らしき女性に化け誘惑ではなく母性による篭絡を試みるが、魔術で猫の魔物と合成されたことで特殊な精神を持つ彼女には通用せず、貫手を受けて絶命。
直後に同じ母親型サキュバスの群れ、さらには猫の部分に対応する黒豹に擬態した個体も加えた物量でイヅツミを追い詰める。しかし苦し紛れに泉の中に居た幼体を投げられたことで幼体を守ろうとする習性を見抜かれ、投げ捨てられた幼体を追って断崖の底へと落ちていった。
その後、イヅツミが死骸から採った精気を蓄えた体液に調味料である白い粉(未識別)を混ぜ鍋で煮た「サキュバスミルク」を飲ませたことで干乾びたライオスたちは元に戻る。
さらに残っていた数匹の幼体は殻と背ワタを取り除かれ、バイコーンの脳とともにサキュバスミルクで煮込み「サキュバスとバイコーンの脳ドリア」となった。
第60話の扉絵では「心を奪う魔物」の一例としてSD体型のサキュバスが登場。ライオスの妹ファリンに化けシュローを誘惑している。額からは触角、背中からは虫の翅と肢が見えている。
チルチャックに対しては「美しい金髪を持つハーフフットの女性」、マルシルに対しては「白馬に乗り『死』の字が入った眼帯を着けたエルフの貴公子」(白馬もサキュバスの変身)の姿で出現。チルチャックはその悪趣味な姿を見て大笑いしている隙に金髪サキュバスに襲われ、マルシルもそのまま眼帯サキュバスに精気を吸われてしまった。
ライオスに対しては最初マルシルの姿で現れ、次にスキュラ化した「ギガヘプタヘッドマルシル」へと変身。「噛み付いた人間を魔物に変える」というなんとも倒錯した形で誘惑している。
センシを襲った個体が何に擬態したかは本編中では不明だが、公式ガイドブックに収録されたセンシの絵日記(ハルタの付録とガイドブックの加筆分)では初恋の相手である「あの人」が幼少期の記憶そのままの姿で現れたと記述され、絵が描かれているが顔は後から塗り潰されている。
また、センシは若い頃に採掘団の仲間と共に迷宮内をさまよった過去があり、仲間の一人が物陰で絶世の美女に誘惑されたという話を聞いているが、これがサキュバスとの遭遇なのか単に幻覚を見ただけなのかは不明。
登場回が収録された単行本第9巻の裏表紙にはデュラハン、フェアリーと共にサキュバスが描かれている。褐色肌の金髪美女という姿を取っているが、よく見ると頭部から触角が出ており正体をそれとなく示唆している。