概要
宝石や装飾品に擬態した虫の魔物の総称。
宝に目がくらみ油断した冒険者を攻撃する。その外見の美しさから宝虫そのものを収集する愛好家も存在し、種類によっては本物の宝石さながらの値段で取引される。
生態
見つけた人間が金貨だ宝物だと集めて懐に入れて持ち帰ると、しばらくは動かないまま宝物のふりをしつつ、ある程度元いた場所から離れたところで持ち主の人間に毒を注入。
動けなくなった人間を食べて自分の生活圏を広げていくという、結構恐ろしい生態。
この毒は致死性ではない麻痺毒で、毒を注入されても死ぬことはなく時間さえかければ解毒はできるようではあるが毒そのものは非常に強力であり、
実際宝虫の被害にあったカブルーのパーティーには非常に高い毒耐性を持つコボルト(犬型の亜人で過酷な環境に適応したため、腐ったものなどを食べても平気であり、人間なら即死級の毒を持つシーサーペントに噛まれても、唇が5倍に腫れ上がるだけで済む毒耐性がある)のクロがいながら全員毒にやられて全滅していた。
この毒の効果がコボルトにも及ぶのは、殺すためではなく動かなくすることに特化した毒であるからの可能性が高いのと、
群れで相手に襲い掛かり毒を注入することで多量の毒を注入することができるからだと思われる。
基本的に人間と相対する場合は群れで襲う形なので、1体ずつ相手をしているとキリがないため、襲われた際は閃光魔法(魔法の中では初級のもので、暗いダンジョンを照らしたり、強い光を放ち目眩しに用いたりもできる)などの呪文を使ってまとめて無力化を狙った方が効率はいい。
宝箱に擬態しているミミックとは捕食、寄生関係にあり、宝箱の中に入り込んだ宝虫がミミック(この世界観ではミミックは宝箱を殻にしているヤドカリのような生態)の中身を食べて卵を産み、
その宝箱を開けた冒険者が宝物と勘違いして持ち帰ろうとして餌食に…というサイクルでダンジョン内の生態がサイクルしている模様。
獲物(つまり宝物に釣られる人間)が確実に自分たちを懐に入れて持ち帰るようにするために、本物の金貨や宝石を集めて自身の擬態をより完全にしようとする習性がある。
宝箱にある金貨は本物であっても宝虫がいるかもしれないし、逆に宝虫が沢山入った宝箱ならば確実に本物の宝も混ざっているという証明でもあり、
確実に宝を手に入れるためならその存在は避けては通れない魔物である。
単体での戦闘力は低いものの、基本的にその情報を知っておかなければ命を落とすこともあるので、ダンジョンの危険さは強大な力を持った魔物だけではないことを示すわかりやすい例の一つ。
主な種類
金貨に擬態した虫。
背中には本物の金貨のようなレリーフがあるが腹側からは虫の足が生えている。
基本的な種なので横着せず両面をちゃんと見れば見破れる
レリーフの意匠は性別で異なっており、雄は王と思われる人物の横顔、雌は翼の生えたライオンが見られる。
劇中の世界では魔物を食べるのはゲテモノ扱いだが、コイン虫は数少ない例外としてせんべい代わりに食べられている地方も存在している。
なお完全に損傷がないコイン虫の標本は蒐集家が高値で取引するほどの価値を持つ。
真珠ムカデ
丸い体節の部分から足が見えている、真珠を触って動かしてみると分かりやすい
宝石型の虫(名称不明)
指輪のリング部などの金属部分は本物に比べやわらかく弾力がある。
後述の理由から甲虫の類であると思われる。
また、甲虫らしくカブトムシなどの様な形状の羽をしているので左右に引っ張ると中心部が僅かに離れるので柔らかさではわかりづらくてもこのやり方さえ知っていれば見分けやすい
ティアラ(名称不明)
宝石をちりばめた豪華なティアラに擬態した卵と幼虫の巣。
宝石部分は上述の宝石型の場合もある。
また、当然金属ではなく軽いため水に入れると浮いてくる。センシが木べらで簡単に砕いていた為ティアラ(巣)は巣蜜のようなものでできていると思われる。
本編の動向
ダンジョンの地下3階でゾンビが持つ箱の中に潜む。ゾンビを倒し戦利品を得たと喜ぶカブルーのパーティを麻痺毒で全滅させた。
その後通りかかったライオス一行に遭遇。ライオスの持つ剣が騒ぎ出したことで正体が発覚し、マルシルの放った閃光の魔法により気絶した。
その後センシによってコイン虫は油で炒めてせんべいに、真珠ムカデは足をもいで串焼きに、宝石型の虫はティアラの幼虫や卵と共に砂糖で煮詰めたジャムとしてライオス一行のおやつとなった。
ジャムは後に幽霊を祓う聖水の材料の一つ「太陽信仰の聖獣(スカラベ)」の代わりとして利用された。