概要
前作『DEATHTOPIA』の要素を多大に盛り込み、女子刑務所を舞台に囚人同士の異能バトルが繰り広げられる「サスペンス×エロス×バイオレンス」作品。
週刊ヤングマガジン2017年15号から2023年34号まで連載された。
2023年9月からはヤンマガwebに連載移籍され、同月の6日から毎週水曜日に更新。
作者の過去作品の人物も、一部名前や設定を変更してスターシステムで主要人物、モブ、或いは扉絵や作中上映されている映画などに登場している。
あらすじ
日本では2015年頃を境に、少女による凶悪犯罪が急増。普通の少女が一夜にして凶悪な殺人鬼に変貌するこの現象は、世間でメデューサ症候群と呼ばれて世間を騒がせていた。
どこにでもいる、ごく普通の女子高生・甘城千歌は、先輩・朋(とも)の甘言に乗せられてスーパーフリー事件さながらのやり口でレイプされそうになった瞬間、電流が走り意識が途切れ、レイプしようとした男たちを嵌めた先輩ともども全員惨殺してしまう。その時の記憶がない千歌だったが裁判で出た判決により無期懲役を言い渡され、離島にある羽黒刑務所へ送致される事となった。そこで出会った女囚人たちとの生活を共にしていく中で不穏な空気を感じ、やがて所内で囚人たちによる殺し合いが行われている事実を知り、巻き込まれて行くことになる。
登場キャラクター
羽黒刑務所の囚人たち
メデューサ症候群を発症して殺人事件を起こし、羽黒に移送された少女達。刑務所に送られる程の受刑者は基本的に親族から見捨てられる者が多く、主人公の千歌も例に漏れないが、劇中に登場するメデューサ達の多くは羽黒に送られる以前から両親を失っており、生い立ちも悲惨と言わざるを得ない。
生存者
- 甘城千歌(あまぎ ちか)
主人公兼ヒロイン。学園一の巨乳美少女で大食いのブラコン。囚人番号はLB0009。朋先輩の甘言に乗せられて、レイプされそうになった瞬間、意識のないまま全員惨殺したため、無期懲役刑を科され羽黒刑務所に服役することになる。その中で不穏な空気を感じ、やがて自身もメデューサ症候群を発症。そのまま殺し合いに参戦することになる。親の命令でバレエを習っていた事もあって身体は非常に柔軟で、身体能力も相当高い。
- 鬼ヶ原小夜子(おにがはら さよこ)
もう一人のヒロイン。元は『CHARON』の登場キャラクター。千歌の同僚の囚人で囚人番号はLB0003。
メデューサの中では常識的で頭も良く、リーダーシップもあるため雑役夫を任されている。
「東京女子大学生連続殺人事件」の犯人であり、高学歴の女性ばかりを殺しては脳を奪い取っていた。ネットで名前が流出している有名人。
レズビアンで、千歌の事を大変気に入り、ちょくちょくアプローチをかけていた。
千歌とは昼人格同士では彼女に(ブラコンでレズの気は無い故)戸惑われているが友好的な関係は築けており、夜人格同士ではヤクザ編で遂にレズセックスを通して結ばれる事になる。
- 石動美依那(いするぎ ミイナ)
元は『エデンの檻』の登場キャラクター・石動ミイナで、偽物と本物をミックスした上で大人びた容姿をしている。囚人番号はLB0004だが、これは元々小夜子が以前の殺人実験の際に殺害した砂川沙羅の番号であり、彼女は千歌の1つ前に入所した事になる。少なくとも児童3人を殺害して川辺に遺棄した「河畔の絞殺魔(リバーサイドストラングラー)」。手品が得意で殺し合いの際にはマッドピエロ衣装を身に纏い、手錠を使ったマジックで相手の自由を奪ってから首のロザリオで相手を絞殺する。元は女優志望で演技力も高い。因みにメデューサ達の中では最年少らしい。
- 巴あや(ともえ あや)
元は『エデンの檻』の登場キャラクター・常磐あや。苗字が違うのは千歌が通っていた高校が「常磐学園」で被らないようにするためだと思われる。囚人番号はLB0005。斧やナイフで20人以上を殺傷した「日向村(ひゅうがむら)皆殺し事件」の犯人であり、犯行以前には村人達から迫害や暴力を受けていた模様。普段は無口で他の囚人達とも距離を置いているが、一度ミラーニューロンが発火すれば最高値を記録する程高く、超人的な身体能力を発揮する。
元は『CHARON』の登場キャラクター。今作では京都人とロシア人のハーフで京都弁を話す。囚人番号はLB0006で、出会い系サイトで出会った男を次々と殺害した「ワンナイトキラー」。殺し合いの際にはパパーハ+ケープコートを着用し、数本のナイフで戦うが、正面切って戦うのは苦手で罠や不意打ち、騙し討ちと言った戦法を駆使する。
昼夜両人格でもエロだけでなくボケやツッコミ役もこなす万能キャラであり、読者人気も高く、作者自身も凄く使い易い為に最もお気に入りのキャラだとTwitterで公言している。
- 切嶋カレン(きりしま カレン)
元は『DEATHTOPIA』の登場キャラクターで、経歴も前作とほとんど同じ。囚人番号はLB0001。
容姿は千歌たちメデューサに合わせてやや若く設定されているらしい。
前作程の膂力と自然治癒力は有していないが、発火するとやはり怪力を有しており、痛みを快感に変える能力が追加された。
SEXが何よりも大好きで、男性キャラが登場する話では、必ずSEXシーンが描かれている本作屈指のビッチ。
似た様なキャラのカチュアとは本編、扉絵問わずよく組む事が多い名コンビ。
元々は金髪だったが、何故か単行本第5巻以降、銀髪に変更されている。
- 槇村霧子(まきむら きりこ)
元は『DEATHTOPIA』の登場キャラクター・火垣璃子(ひがき りこ)。囚人番号はLB0007。人気バンド「クロニクル」の元ヴォーカルで、自身のファンを6人殺害した。メデューサ達の中では彼女が最年長。バンドが軌道に乗るまでは色々とバイトをしていたらしく、料理が上手い。フグ調理師免許も習得している。
- 黒木洋子(くろき ようこ)
千歌の同僚の少女だが、最も謎めいており、罪状も不明。囚人番号はLB0008。セミロングにチョーカーが特徴。学生時代はバレーボール部で甘い物が好き。口数こそ少ないがノリと人当たりは良い。
実は羽黒設立以前からC国で活動していた職業凶手(つまり殺し屋)であり、当時の女医がメデューサ症候群の研究の為に五菱に集めさせたモルモットの1人だった。黒木洋子と言う名も、自分を育て上げた組織に着けられた黒いチョーカーに因んだ「黒(ヘイ)」と言う呼び名から付けられた偽名に過ぎず、本名は不明。高校で親しくなった友人ばかりを狙って殺害して来たが、死体を隠すのが得意な為に犯行は明らかになっておらず、女医が無期懲役の記録を偽造して入所させた。トレンチナイフでの急襲や、目にも止まらぬ速さのナイフ投げが得意。
- 堂島真希(どうじま まき)
瀬里の妹で、罪状も姉と同じだが、眼鏡っ子で気が弱く巨乳と、姉とは色んな意味で正反対。詩音の死後、彼女の囚人番号は姉が受け継いだため新たな囚人番号LB0010を与えられた。殺し合いの際の武器も瀬里と共にゴム弾入りの銃を武器に使うが、人格は彼女と入れ替わってしまう。BLが趣味の腐女子である。第12次殺人実験で男性囚人と殺し合った後、自分達の中に殺人鬼の人格が埋め込まれている事を受け、姉と共にネイビス連邦への脱獄へと乗り出す。
ヤクザ編にて全てに決着が着いた後、姉の瀬里と共に紆余曲折を経て千歌達からの協力もあり、無事脱獄に成功。改めてネイビス連邦へのパスポートと飛行機への搭乗券を求めて父に会いに行くが、待っていたのは父から告げられた2度目の絶縁宣言と、自分達に娘を殺された遺族達からの復讐だった。
遺族達に捕まり、殺される前に冒されんとしたその直前、メデューサ症候群を発症させた瀬里の手で助け出される。その後、行く当ても無く裸足で街を彷徨う中でカルト教団である真聖教にスカウトされ、そのままハリシャと言う名を与えられて抱き込まれる事に。表向きは本拠地である山梨県の九龍城の地元の学校の中等部に通う生徒と言う事になっているが、教祖の意を受けて五菱のメデューサで羽黒に護送中の双葉を魂の解放と嘯いて殺害する等、真聖教のメデューサとも言うべき「ダーキニー」として洗脳されつつある。
死亡者
- 真垣詩音(まがき しおん)
空手とボクシングの猛者で、警官3人を殺害したために収容された。囚人番号はLB0002。付いた異名は「北海の撲殺魔」。霧子のギターを粉砕する程の強力なパンチを繰り出すが、殺人実験の過程でミラーニューロンの発火率の低さから出来損ないのレッテルを貼られて殺処分された。死体はその後、研究の為に検体解剖されてしまう。
- 堂島瀬里(どうじま せり)
詩音の死後、妹の真希と共に新たに羽黒に入所したメデューサで資産家の娘。初期段階では主人公になる予定のキャラだった。詩音が死んだため、彼女の囚人番号LB0002を受け継いでいる。
姉妹揃って関東各地で若い女性の顔をスラッグ弾で破壊して殺害したフェイスレス事件の犯人である。霧子に新人いびりで舎坊服を破かれた際には即座に逆襲する等、強気な性格。霧子とは出会いこそ最悪だったが、海釣り以降は次第に親しい間柄となって行った。
殺し合いの時にはメイド服を身に纏い、ゴム弾の入った銃で戦い、メデューサ症候群の発症時には真希と人格が入れ替わってしまう。
第12時殺人実験で羽黒が連れて来た男性囚人と殺し合った後、過去に存在した殺人鬼の人格が自分達に埋め込まれていると知ってからは脱獄を企てる様になり、ヤクザ編で父にネイビス連邦へのパスポートを手配。全てが終わった後で真希の2人と脱獄へ向けて本格的に動き出す。
紆余曲折を経て千歌達の協力により脱獄に成功するも、待っていた父から改めて絶縁を突き付けられた上、自分達に娘を殺されて復讐に狂った遺族達に命を狙われてしまう。全身を銃で撃たれて痛め付けられて瀕死の重傷を負う中、妹だけでも逃がそうと再び殺人鬼の人格に身を委ねてしまう。
斯くして殺人鬼の力で遺族達を皆殺しにして真希を救った瀬里は、最愛の妹に看取られながらその残酷な生涯を終えるのだった。死体は後で駆け付けた羽黒の特別機動警備隊によって回収されている。因みに後日、彼女達を遺族に売った父の自殺がニュースで報じられた(同時に西から事情を聞き、真希を追って現場の検証に来た道隆は上記の事実を悟った際、「父親なら……最後の最後まで子供の味方でいてやれよ」と吐露している)。
その他
美香(みか)
元は『EX少年漂流』のヒロイン。千歌の高校の親友。
甘城道隆
千歌の兄。アメリカのシンシナティ大学で犯罪心理学を専攻しており、心理戦や駆け引きに強い。帰国した際に妹の様子を昆虫型ドローンで盗撮しようとする等、結構アレなまでのシスコンであり、妹の起こした事件を知ってからは、彼女を羽黒から救い出すべく行動を起こす。
千歌を訪ねて刑務所で面会したその日の夜、羽黒で行われている殺人実験を目撃した為、その元締めである巨大企業「五菱日本重工」から命を狙われる様になる。逃げる途中で追っ手に捕まりそうになるも、同じくメデューサ症候群の真実を追うジャーナリストの胡桃沢秋穂に命を救われて以降、互いの目的の為にメデューサ症候群の真実と羽黒の陰謀を暴くべく奔走する。
胡桃沢秋穂
文経出版の女性ジャーナリストで、メデューサ症候群に関係した事件の真相を突き止めるべく取材を続けていたが編集長から却下され、秋葉原のコスプレ居酒屋で自棄酒に酔って暴れていた所を道隆とその友人の江口に目撃される。その時は道隆から「1番嫌いなタイプだ」と悪い印象しか持たれていなかったが、彼が五菱からの刺客達に拉致されそうになった所を救ってからは「使えるかも」と考え、行動を共にする様になる。意外と私生活はだらしない。
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