曖昧さ回避
概要
ロシアのアルマタ州(現在のカザフスタンのバルバシ湖近くのクルチャイ地方)に伝わるとされる三つ目の半魚人のような魔神。
伝承によると湖水や沼を汚した者や汚れた物を入れたりすると、魔神は怒り狂い、激しく祟って人や家畜を水中に引きずり込み、その内臓を食い尽くしてしまうとされるとされ、実際に1940年の4月に、池に小便をしたワショチョフという不届き者の青年が池に引きずり込まれたといわれている。
またこの地方では7月10日に荒ぶるサルードを鎮める為、魔神が潜んでいるといわれるバルバシ湖の前に祭壇を設けて魔像を祀る祭典が行われており、生贄の動物や果物を捧げて祭主が頭から湖の水を被って這い回る。そしてあくる日に生贄が無くなっていれば、サルードはその年は暴れないと伝えられているという。
実は…
初出は1968年に発売された作家・中岡俊哉著の児童書『世界の魔術・妖術』で、クルチャイ地方という地名はロシアには存在しない。(かつてアルマ・アタと呼ばれたアルマトイ州とバルバシ湖はあるが、クルチャイはトルコの地名である)
中岡による実録調の解説は、その後の怪奇系児童書に大きな影響を与えており、水木しげる御大の書籍にも採用されたことで、中岡の書籍の挿絵がディテールアップした姿で描かれたことから有名になったのである。
同様なものにブラジルの一つ目の風の魔神ダスザや、チベットの獣の魔神ズウー、ユーゴスラビアの七つ頭の火の魔神フォービなどが知られている。