概要
旧ユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)のシャール地方で伝承されるという七つ首の火の魔神。
馬のような体に六本の人間の腕を生やし、蛇のように細長い七本の首からは一本角の生えた半獣人のような頭を持つ。
※このモンスターが7本首になったような姿
さらにそれぞれの口からは、人間であれば一瞬で黒焦げになってしまう高火力の炎を吐くという。
この地方の人々は、原因不明の火災はこの魔神の仕業であると恐れており、火難除けとして東ヤトペルにある祠に捧げ物をしていた。
なお1960年に、この風習を迷信であると止めさせようとしていた警官の家が火災となり、一家全員が焼死したといわれる。
創作でのあつかい
水木しげる作品
1978年に発売された『妖怪《世界編》入門』において、まるで怪獣キングギドラとドドンゴが混じり合ったようなインパクトがある挿絵で紹介され、さらに「妖怪プロレス」と称したカラーイラストでジャイアンツと戦っている姿が描かれたことから有名となった。
またファミコンRPG『悪魔くん魔界の罠』の敵モンスター、モバゲー『妖怪横丁』のボスとして登場している。
女神転生シリーズ
初出は『真・女神転生デビルサマナー』で種族は”妖獣”。姿は毛玉に二本脚が生えたシュールなもので、体から生えた管から炎が吹き出している。詳細は→妖獣フォービ
関連タグ
実は…
初出は1968年に発売された作家・中岡俊哉著の児童書『世界の魔術・妖術』で、シャール地方や東ヤトペルという地名は現実には存在しない。
名前の由来は20世紀初頭のフランスの絵画運動フォービズム(野獣派)からであると思われる。
中岡による実録調の解説は、その後の怪奇系児童書に大きな影響を与えており、上記の水木の書籍にも採用されたことで、中岡の書籍の挿絵がディテールアップした姿で描かれたことから有名になったのである。