概要
ジェネリック(generic)とは、英語で「一般的な」という意味の単語である。
この語はジェネリック医薬品によって多くの日本人に認知されたため、ジェネリックだけでもジェネリック医薬品を指していることが多い。
ジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品は、新薬/先発医薬品の特許が切れた後に別の薬品会社が作る、同じ成分、同じ効果、同程度の品質の医薬品のことである。後発医薬品ともいう。
通常、数百~数千億円の研究開発の末に特許を取って完成させた新薬よりも開発費などが抑えられるため、その分が消費者の購入価格にも反映され、先発医薬品と同等の効果を持ちながら、より安価に処方される。
日本で薬品の名前は具体的な薬品の商品名(ブランド名)を用いることが多いが、欧米では薬品の一般名(generic name)を使い、同成分異ブランドの薬ならなんでもいいと処方する慣習ができている。
例えば、先発医薬品のブランド名「テオドール錠」(気管支炎や喘息に使われる薬)の場合、一般名は主要成分名である「テオフィリン」である。この「テオフィリン」を同量同品質で含む後発の製薬会社が作った薬品がテオドール錠のジェネリック医薬品であり、実際の後発のブランド名として「チルミン錠」などがある。
日本では医者は「テオドールを処方」し、薬局で「テオドールか、そのジェネリック医薬品も出せますよ」となるのだが、欧米では「テオフィリンを処方する」というため、薬局の仕入れ状況等により普通に同じ成分の薬ならなんでも出されうる、ということになる。
ただし、ジェネリック医薬品は、薬の成分などは同じでも形状などに先発医薬品との違いがあったり、安全基準を先発医薬品で確認済みであるとして、先発医薬品よりも簡易な検査で済まされていることに不安を覚える消費者がいたりして、受け入れがたく感じている人もいる。
代替品を指すスラング
上記のジェネリック医薬品が、これまでの日本の薬品処方の慣習のためか「オリジナルたる先発医薬品の同性能の代替品」というような受け取られ方になったため、(揶揄的な意味を込めて)広く代替品を「ジェネリック〇〇」とも呼ぶようになった。
使用例
・何かの作品が大ヒットした後、その作品に雰囲気を似せ、同じような客層を狙った二番煎じの作品群が雨後の筍のごとく現れると「ジェネリック(大ヒット作)」と揶揄される。
具体的な事例では、新海誠の映画のヒットによって多数の青春SF作品が後追いでリリースされ「ジェネリック新海」と呼ばれたりした。
・人気のキャラクターとよく似た別のキャラクターを、「ジェネリック(元ネタキャラ)」という。ただのカップやきそば現象である場合だけでなく、どう見ても元ネタであろうというケースも含む。
具体的な事例では、CV木村千咲の同人ASMR音声作品が、ジャケット絵がウマ耳はないものの茶髪ツインテールの少女で、「一番になりたい」などというセリフがあったことでジェネリックダスカだと話題を集めた。
・チューペット(オリジナルは既に生産終了)やカール(一部エリアでは生産終了)などの食べ物の代替品が「ジェネリック〇〇」と言う風に例えられる。
(お菓子などの生産終了がアナウンスされるたびに、様々なジェネリック〇〇が誕生しているのは、この為である。しかし、いくらジェネリックよりもオリジナルを入手したいとは言っても、転売ヤーを利用するのはさすがに……)
その他用法
・TCGフューチャーカードバディファイトに登場するカード群。
このゲームではデッキ構築時に一つのワールドを決め、選んだワールドに属するカードだけでデッキを組み、そのワールドに属していないカードは使うことができない。しかしジェネリックに属するカードは全ワールドに属するカードとして、どのデッキにも採用できる(一部例外あり)。
「一般的な」という原義の通りの設定とルールになっている。
・ジェネティックの間違い
ラグナロクオンラインの職業「ジェネティック」などが誤記されている。ジェネティックは「遺伝学・遺伝的な」といった意味なので無関係である。