ゲーム概要
スパイクアウトとは、セガの3Dアクションゲームである。
1998年に初作となるDigitalBattleOnline(通称:DBO)がアーケードにて稼働開始。
翌年1999年に追加ステージと、大幅なバランス調整を行ったFinalEdition(通称:FE)がリリースされている。
※今作ではこの2作を主とした記事とします。
セガのアーケード3Dアクションとしてはダイナマイト刑事と並ぶ代表作の一つで、20年以上稼働した現在でもファンがいる。
使用基板はMODEL3。
当時にしては高品質なグラフィックでありながら、大勢のキャラクターが密集しても処理落ちがほぼ発生しないで高フレームを維持するなどの、クオリティの高いゲームとなっている。
1つのステージを複数のエリアで区切る事でシームレスに繋げており、広大なステージマップを実現している。
ゲームの特徴
当時のアクションゲームは、協力プレイでも全員が一画面を共有しているケースが多い中、本作は1筐体1プレイヤーとなっており、それぞれのプレイヤーの画面が独立していることが特徴。
そのため、協力プレイをするには複数筐体が必要となる。本作では協力プレイのことをリンクプレイと呼称している。
最大4人までリンクプレイが可能で、先に遊んでいるプレイヤーに後から乱入形式で参加する事も可能。
ゲーム操作
ゲームの操作はレバー+4ボタン+スタートボタンとなっている。
プレイヤーはこれらのレバーとボタン操作を組み合わせる事でシンプルながら多彩で奥深いアクションを楽しむことができる。
- レバー:レバーを倒した方向にキャラを移動させる。基本的には倒したレバーの方向を向きながらキャラは移動する。それに併せてカメラも移動する。レバーを素早く2回倒す事でダッシュが可能。敵に向かって歩いて密着すると、つかみ状態へ移行する。そこからボタン操作で追撃や投げを行う。
- ビートボタン:基本となる攻撃ボタン。敵に攻撃が当てながら連打すると、コンボになる(但し、完全につながっているわけではないので、途中で回避されることもある)。敵を正面から掴んでいる状態の時には、2回まで打撃を当て、3回目で投げに移行する。またはレバー+ボタンで定めた方向に投げを行う。
- チャージボタン:ボタンを押している間、パワーが最大4段階までチャージされ、段階によって性能が大きく変化する攻撃。敵を正面または側面からつかんでいる時にボタンを押すと羽交い絞めに移行する。チャージをためている間も、ビートでの攻撃やジャンプなどは可能なので、それらを組み合わせてコンボを作っていく。
- ジャンプボタン:文字通りジャンプする。ジャンプは一瞬の溜め動作の後に飛び上がる。羽交い絞め状態の時には、敵をつかんだままジャンプする。
- シフトボタン:向きを固定しながら移動できるようにするボタン。キャラクターが敵を視界に入れていない場合には向いている方向を固定したまま。視界内に敵がいる場合には、敵に向きをある程度固定したまま歩く。シフト移動中は敵をつかめない。
- スタートボタン:画面左下に表示されているマップのタイプをエリア全体表示か、周辺表示に切り替える。シフトボタンを押しながらボタンを押すと、画面右下のKOカウンターの表示を変える。
ゲームシステム
- ゲーム構成
プレイヤーは4人のキャラクターからひとりを選ぶ(キャラクターは後述)。
広大なマップを1つのステージとして定めており、それらを複数のエリアに区分している。
エリア毎に定められた雑魚敵が次々に出現して襲い掛かってくるので、それを倒していく。特定の数の敵を倒すとボスが出現して、ボスを倒す事で次のエリアへと続くゲートを開けられるようになる。
ステージの最後のエリアのボスを倒すとステージクリアとなる。
ストーリー
舞台はアメリカのダウンタウン「ディーゼルタウン」。
町はいくつかのグループに分かれた若者ギャングたちによって支配されていたが、ある日「インフェルノ」というグループが圧倒的な力と人数にものを言わせ瞬く間に町を征服してしまう。
しかし、最後まで抵抗をあきらめなかったチームがひとつだけ存在した。
そのチームの名は「スパイク」である…。
登場キャラクター
- スパイク
チームスパイクのリーダー。男性。ディーゼルタウンで最強とうわさされている。5歳になる息子がおり、彼もゲーム中スパイクとともに行動する。
元ヘビー級ボクサーという肩書の名に恥じぬパンチ力で、チャージ4の威力は全キャラ中最強で、クリーンヒットするとボスでも大ダメージ、大抵の雑魚なら一撃で倒せる。
ジャブから敵を掴みやすい、攻撃が全体的に直線的、チャージ速度は2番目に早く、全体的に扱いやすい初心者向けのキャラクター。
リーチが全体的に短く、乱戦にやや弱いのが欠点。
- 天心
チームのメンバーで唯一の日本人の男性。性格は寡黙でおだやかだが、一方で一度火がついてしまうと手がつけられなくなる。性格が真逆のホワイトが苦手。
長身で長い手足を振り回して戦う。リーチが長く、チャージ速度が最も早い。コンボが多彩などテクニカルキャラだが、使いこなすには相当の練習が必要。真価を発揮さえすれば、タイマンから乱戦まで幅広く戦えるオールラウンダーになれる。あらゆる状況から高威力の攻撃を出しやすい中~上級者向けのキャラ。
- ホワイト
陽気な性格の持ち主で、元軍人の男性。性格が正反対の天心が苦手。
ジャブからの掴みがスパイクの次に安定しており、乱戦能力もそこそこ高い。スパイクと並んで入門にうってつけの初~中級者向けのキャラクター。チャージ速度はスパイクより若干遅い程度。
掴み状態から高威力を出せるコンボがなく、ボスに対しても高威力を出せるコンボが乏しい欠点もある。
- リンダ
チームスパイクの紅一点の女性。体型を活かしたキック主体の攻撃が特徴。性格は冷静で頭脳明晰。将来は判事になろうと考えている。
正面掴みからの高威力のコンボが超強力。長所も多数あるが、短所も多数ある。
タイマン能力は高いが、乱戦能力が非常に弱い、かなりの上級者向けキャラクター。チャージ速度は4人の中でも群を抜いて遅い。
シリーズ・関連作一覧
- SPIKE OUT~DIGITAL BATTLE ONLINE~
記念すべき一作目。この時点でゲームの基礎はほぼ完成されていた。
とはいえ調整不足感は否めず、基本的な操作を覚えれば初心者でも簡単にクリアできるくらいに難易度は低かった。
- SPIKE OUT~FINAL EDITION~
前作からステージの追加、バランスの調整、敵味方共に新アクションの追加などの大幅なアップデートが施されたバージョン。
全体的に難易度が上がった骨太なゲームに仕上がっており、難しいが決してクリアできない難易度ではない絶妙なバランスに仕上がった、シリーズ一番の人気作品。
現在でも多くのファンがおり、移植を最も望まれている作品。
- SLASH OUT
現代アメリカから、剣と魔法のファンタジー世界へと世界観を一新させた意欲作。
操作の基本となる部分は一緒だが、色々な面で前作までのセオリーが全く通じない別作品ともいえる。
レベルの概念や、パワーアップアイテムなど、若干のRPG要素も追加された。
特に3.4人の協力プレイになると、パワーアップアイテムの分担などにより、明確にプレイヤーごとの役割が出てきて、RPG要素が前面に出てくるというのも特徴。
ステージボスを倒すまでの時間で進行できるルートの選択肢が増えるといった要素があり、それにより遊べるステージ数も変化する。全ステージを通った上でクリアするには相応のプレイスキルと知識が必要になる。とはいえ、慎重に進んでクリアするだけなら、そこまで難しくはない難易度になっている。
FINAL EDITION程の人気はではなかったが、こちらはこちらで一定層のファンがいる。
- SPIKERS BATTLE
世界観をスパイクアウトに戻してリリースされた問題作。
今作は3D対戦格闘ゲームとなっており、プレイヤー同士で真正面から戦うというもの。とはいえ、バーチャファイターや鉄拳のような1vs1のガチンコバトルではなく、武器やアイテムありで、最大4人での乱闘バトルとなっている。
スパイクアウトのシステムで対戦したらどうなるんだろうという疑問に対しての、セガからの解答のような作品だが、結果は散々なものだった。
前作までにプレイヤーが楽しんでいた遊び方を悉くつぶしており、またバランス調整も致命的でシリーズ愛好者達からは落胆の声が大きく、すぐにゲームセンター界隈から消える事となった。今作でのみ登場するチームアルベルトの面々はキャラクターは悪くなかったが、作品もろとも黒歴史扱いされており、以降は登場していない。後述のBATTLE STREETにて登場する新キャラに、モーションが流用されているキャラもいる。
- SPIKE OUT BATTLE STREET
前作(DBO、FE)から10年後が舞台。初代Xboxでリリースされている。
開発は後にストリートファイターⅣの開発なども手掛けているディンプス。
基本的な部分はFEから多くを受け継いでおり、グラフィックこそ完全一新されているものの、ステージの構成や、登場する敵キャラクターもほぼ前作と同じ。
今作では、前作までスパイクの背中にひっついていたジュニアが青年に成長しており、新主人公として"チームネオスパイク"を結成する。
勿論、元祖"チームスパイク"の面々も年を重ねてはいるものの、変わらずのパワフルさで敵をなぎ倒す。
さらには、ラスボスのミカエル率いる"チームネオインフェルノ"も正式なプレイアブルキャラとして使用可能。
ボスキャラをノーダメージで倒すと、アーケードモードで使用可能になるといったおまけ要素もある。
XboxLiveにつなぐ事でアーケードモードがオンライン協力プレイができたが、ADSLやCATVが主流になるかその前くらい時代で、タイムラグの問題が目立ち、一般家庭でアーケード同様のリンクプレイを楽しむにはまだ環境が貧弱だった。また、Xbox自体がマイナーハードであり、この頃のXboxLive加入にはクレジットカードが必須だった為、とにかく敷居の高さが問題となり、オンラインの盛り上がりはいまいちだった。
またゲームとしても、全体的に調整不足な部分が目立ち、FEの完全再現または正当進化を期待していたプレイヤーからは、不満の声もなくはなかった。
それでも、スパイクアウトが気軽にできること、新キャラの面々の評判も良好で、やりこめば爽快かつ骨太なアクションを楽しめる。アーケードの練習というには、至らない部分はあるものの、これはこれで十分楽しめる、そこそこ良作くらいの評価に落ち着いている。
オンライン環境が当たり前になってきた現在なら、また評価が変わったかもしれない惜しい作品。
- レンタヒーローNo1
ドリームキャスト、初代Xboxで発売。
正確にはスパイクアウトのシリーズではないが、バトルシステムやモーションの数々がスパイクアウトのものから多く流用されている。スパイクアウトをプレイした事ある人なら、作中のキャラクターの動きを見ただけで思わずニヤリとさせられてしまうシーンが沢山ある。
主人公のバトルアクションは、ある程度コンボの構成を自分でカスタマイズして組み合わせることができる。主人公に用意されているアクションの多くはスパイクとホワイトの動きのものとなっている。
ゲーム的にはガチガチのアクションではなく、シフト移動もないゲーム初心者でも楽しめる超簡単なアクションアドベンチャーなので、骨太アクションを望んでいた人にはがっかりさせられる内容だが、セガらしいおふざけ100%の楽しいゲームなので、機会があったら遊んでみるのも一興。
余談
2024年1月26日に世界同時発売『龍が如く8』内のゲームセンターにて、FINAL EDITIONを遊ぶことができる。