概要
この小さなICが、とてつもないゲームソフトを誕生させてしまった。
スーパーFXチップとは、スーパーファミコンの機能拡張用ICである。ROMカセット内部に搭載され、従来のスーパーファミコンのハードウェア以上の性能をひき出すことができる。
機能
スーパーファミコンにはライバルのゲーム機(メガドライブ、PCエンジン)より先駆けてグラフィックの拡大縮小機能と回転機能が搭載されているが、スーパーFXチップはこの機能をさらに発展させることができる。
ハードウェアがもつ性能よりもさらに高度な回転・拡大縮小演出(例:ヨッシーアイランド)のほか、低水準ではあるがポリゴンによる3次元CG(例:スターフォックス、ワイルドトラックス)までこなすことができる。
その実体は汎用のCPU。乗算を含む一般的な命令の他、拡縮回転に便利なメモリアクセス機能、メモリ上に指定した色の点を打つ機能を備える。
カートリッジ上にあるため本体のメモリに直接アクセスすることはできず、カートリッジ内のRAMに画像データを生成、それを本体からDMAでVRAMへ書き写すという少々冗長な処理が行われる。描画の遅い一因。
種類
実はスーパーFXチップは複数ある。
- スーパーFXチップ LR38173 : スターフォックスに搭載された初期のスーパーFXチップ。なお、このチップには「MARIO CHIP」と書かれている。実はチップが持つ性能の半分しか引き出せなかった。クロック速度が後継プロセッサの半分(ただし乗算器は同速)、メモリ容量も半分で色数を落とさなければ全画面に足りない。
- スーパーFX GSU-1 : ワイルドトラックス等に使われたもの。ワイルドトラックスはこのチップの性能を限界まで引き出していたらしい。
- スーパーFX GSU-2(-SP1) : 『ヨッシーアイランド』で使われたもの。お蔵入りになったスターフォックス2はこれが採用される予定だった。本来の周波数(21.7MHz)通りに動作し、メモリも増加している。 尚、ヨッシーアイランド以外で採用されたのは『DOOM』と『WINTER GOLD(日本未発売)』の2本のみ。
欠点
2Dゲームにおける拡縮回転程度であれば十分なパフォーマンスを発揮する反面、3DCGに関しては後の競合機(プレイステーション、セガサターン)とくらべると、力不足な点が否めない。
所詮はソフトウェア処理のため、テクスチャマッピングの多用は不可能、スターフォックスではワンポイント的に使うに留まる(無機質な単色ポリゴン表示はむしろSF的な世界観に合っているという意見も)。処理速度の問題でゲームプレイはのっそりとした、やや重たい印象であった(ワイルドトラックスでは自機を鈍重な車とすることで、違和感を減らす努力がなされている)。
その他
どうやら本来使用するものと異なるスーパーFXチップを搭載しているとエラーメッセージが出て停止するらしい。おそらくはGSU2搭載で設計されたソフトでGSU(いわゆる下位バージョンのFXチップ)で動かそうとすると起こるようだ。
一説ではこのスーパーFXチップはお蔵入りとなった「スーパーファミコンCD-ROMドライブ(NintendoPlayStation)」に使われる予定だったのではないかともされているが定かではない。
おもなスーパーFXチップ搭載ゲーム
発売中止(お蔵入り)
- スターフォックス2(後にニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンにて正式リリース)
- ファイティングポリゴン(後にPCソフトとしてFXファイターに改めで発売されていた)
関連イラスト
スーパーFXチップに関するイラストを紹介してください。