ストーリー
(取扱説明書風公式サイトより引用)
かつて広大なライラット系を舞台にくり広げられた、ライラット征服をはかる悪の皇帝アンドルフ軍と、雇われ遊撃隊「スターフォックス」を擁したコーネリア防衛隊との戦闘は、遊撃隊の超人的な活躍もあり、防衛隊側の勝利で幕を閉じた。フォックスら4名は人々の歓喜の声に送られて、惑星コーネリアを後にしたのだった。
しかし…
アンドルフ皇帝は生きていた。復しゅうの炎を燃やし、先の戦闘以上に入念な侵略準備を進めていたのである。そしてついに、皇帝軍は再びライラット系に攻め入ってきた。
皇帝軍の奇襲は効を奏し、次々と陥落しアンドルフの手に落ちていくライラット系の各惑星。さらに占領地を足掛かりに、ライラットの中枢であるコーネリアにも魔の手が迫ってきた。
「各惑星に駐留していた防衛隊は壊滅状態。不意をつかれたとはいえ、今の戦力ではコーネリアひとつを守るのが精一杯か…」
防衛隊長ジェネラル・ペパーは、そうつぶやくと通信オペレーターに告げた。
「大至急、スターフォックスにつないでくれ!」
帰ってきた遊撃隊「スターフォックス」。格段にパワーアップした戦闘機アーウィンと、防衛隊からの新メンバーを得て、今度こそ悪の皇帝を倒すことができるであろうか。
概要
スーパーファミコン晩期にスターフォックスの続編として発表され完成までしていたのだが、次世代機への移行が間近に迫っていた為「今更SFCで3Dは」ということで発売は見送られ、マスターデータのまま保存されていた。
「2」を再構築してプロジェクトを引き継いだのがスターフォックス64となる。
社内でも復活を望む声があったものの、スーパーFXチップの他機種への移植が困難だったため、長らく日の目を見ることがなかった。
しかし2017年6月27日、任天堂は「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」に収録される複数タイトルの中にこの幻となったスターフォックス2を収録する事を発表。パッケージイラストが当時の開発スタッフによって描き下ろされた。
ある意味、21世紀にリリースされるスーパーファミコンの新作といえよう。
なお最初から遊べるわけではなく、同じく収録されているスターフォックスの1面(第IV惑星コーネリア)をクリアするとアンロックされる仕様。
2019年12月にはバーチャルコンソール化における技術的問題が解決し、ニンテンドースイッチの「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」に追加された。タイトルクレジットでは1996年になっているがSFCソフトを選ぶタイトルメニューではクラシックミニ収録の2017年になっている。
内容
純粋な3Dシューティングだった前作と異なり、リアルタイムストラテジー要素も大きな比重を占める複合ジャンルとなった。
最初はライラット系の全体図をマップとし、プレイヤーはアーウィンの進行目標を指定する。敵機と遭遇したり敵軍が占領した惑星に突入すると、戦闘パートへ移行。戦闘はオールレンジモードのみの箱庭形式となっている。
「時間」の概念があり、マップ画面での移動中はもちろん、戦闘パートでもマップ画面の1/10のペースで時が進む。そして時間経過に応じて敵軍のミサイルや戦闘機などが出撃し進軍してくるのだが、ここで本作のコンセプトが重要になる。
それは、惑星コーネリアの防衛。
本作ではコーネリアを守ることが、単なるストーリーの枠を超え、ゲーム内の主目標となっている。
敵軍は基本的にコーネリアを攻略対象としており、接近を許してしまうとコーネリアが攻撃を受けてダメージが蓄積される。ダメージが100%に達すると陥落、コンティニュー不可という問答無用のゲームオーバーになってしまうのだ。防衛状況の仕切り直しは一切なく、被害を承知でステージクリアを優先すれば確実に後の展開へ響くように出来ている。
そのため戦闘パート中でもポーズ画面でマップを確認できるほか、戦況に動きがあればペパー将軍から無線が入る。時には目の前の攻略対象を一旦放棄してコーネリア防衛へ向かう必要に迫られることも。
また敵機への迎撃の場合は、一定時間経過するか距離が離れすぎると"ENEMY OUT OF RANGE !"と表示され取り逃がしたことになり、残った敵機が進軍してしまう。
コーネリアを守りながら、敵戦力を少しずつ減らし、敵の拠点を叩くことで攻撃手段を絶ち、最終的に敵戦力を全滅させることで、敵の本拠地たる最終ステージへ進むことができる。
ただし敵であるアンドルフ軍も黙ってはおらず、スターフォックスの動向を察知して刺客を差し向けるなどの策を弄してくる。特に執拗につけねらってくるスターウルフの妨害が、いわばピリ辛のスパイスとなっている。
なお前作同様コーネリア軍の直接支援は基本的にないが、「サテライト・システム」という人工衛星が登場。
レーザー砲を備えており、エネルギー充填状態で小型の敵機と向き合うと自動で撃墜する。だが(HARD以上の難易度だと)アンドルフ側も要塞から工作機を放出し、乗っ取りを画策してくる。
敵軍がどの惑星を占領するかはランダムで決定されるので、決まった攻略順が存在せず、状況対応力が問われる。
難易度はNORMAL・HARD・EXPERTの3段階(EXPERTはHARDを[惑星コーネリアの被害0][被撃墜なし][ランクB以上]でクリアすると解禁)。
難易度が高いと敵の布陣が厚くなり、追加部隊が登場したり、惑星の攻略手順そのものが難しくなったり、敵空母の内部も大きく複雑になる。EXPERTではゲーム途中で惑星が再び占領されるイベントが発生する。
攻略途中に中ボスが現れることも多く、思わぬタイミングで長期戦を余儀なくされることも(逆にNORMALでしか中ボスが出てこない局面もある)。
キャラクター
本作では最初に6名のパイロットから操作キャラクターとパートナーの2名を選択し、それ以外はエンディング以外では出てこない。操作キャラクターとパートナーはマップ上でいつでも入れ替えることができる。
そのためシリーズの主人公がアドバイス役に回ったり、そもそも登場しなかったり、途中で戦死する可能性すらありうる。
アーウィンのシールド残量・強化状態・スペシャルウェポン残弾はキャラクターごとに個別で適用され、受け渡し等はできないがステージを出ても消滅しない。
シールド回復はアイテムや地形の他に、マップ上でマザーシップに着艦することでいつでも全快できる。代わりに残機の概念はない。また、ステージを攻略してもシールドは回復しない。
操作キャラクターが撃墜された場合、残されたパートナーでコンティニューできる。交代はもちろん不可能になり、パートナーの無線アドバイスも流れなくなり、エンディングの凱旋飛行でも該当機は飛んでこない。
また本作には3種類の性能が異なるアーウィンが存在し、各2名ずつキャラクターが割り振られている。一種類で固めてもいいし、別々の機体を使い分けてもいい。
さらにアーウィンに歩行形態「ウォーカーモード」が追加。飛行時よりも小回りが利き、また地形に当たってもダメージにならず、さらにブラスターの威力が上がる。その代わりブーストやローリングはできないので、攻撃の回避や敵機の追跡は不得手。
スマートボム以外の特殊兵器(スペシャルウェポン)が登場した作品でもある。最初に所持しているものはアーウィンの種類によって異なり、補充アイテムを取るたびに切り替わるため、今の装備を棄てたくないなら無視するのも手。
なお後発作品と異なり、特定の強化アイテムを取らないとパワーブラスターにホーミング性能が乗らない。
『プロトタイプアーウィン』
安定した操作性のバランス型。また、特に敵戦闘機とのドッグファイトで非常に心強い「スマートボム」を初期装備に持つ。
プロトタイプの名の通り、前作でコーネリア軍から支給されたものと同じ外観。
『アーマードアーウィン』
スピードやチャージは遅い代わり、シールドの耐久値が高い。さらに初期装備がシールドを全快まで徐々に回復する「スペースリリーフ」なので打たれ強さに磨きがかかっている。
機体前方に新たなコックピットを設け、元の機体部分はそのぶん縮小して後方上部に装甲を追加し、ウィングも大型のものに換装。
『ライトアーウィン』
シールド耐久は低いが、スピードやチャージが速い。初期装備は一定時間無敵になる「スーパーシールド」で、敵陣を強引に突破できる。
薄い上部装甲にくわえ下部と前方が大きく凹んだ形状になっており、キャノピーも骨組みがないなど機体重量を限界まで軽くしてある模様。
本作品からの要素
オールレンジモードは「64」、ウォーカーモードは「零」で後に採用されている。
またリアルタイムストラテジー要素は「コマンド」に採用されている(こちらはステージ制なので戦況の仕切り直しがある)。
アンドルフが一度倒されたが、後に生存が発覚する設定は「アドベンチャー」に採用されている。
ミュウとフェイ、アルジー、そして惑星エラダードおよびアストロポリスに関しては、以後のシリーズに全く登場していない。
ソフトの流出
幻となった続編であったが、複数のバージョン違いとされるスターフォックス2が流出しており、実際に開発されていた形跡がアングラな形で確認されていた。スーパーFXチップは製品版ではヨッシーアイランドと同じGSU-2-SP1が使われているが、こちらはGSU-1で動かせる模様。
バージョンによっては開発途中バージョンのものや
(↓のバージョンは無音だった為投稿時にBGMを後付けしているとの事)
↓1995年の段階では惑星に敵基地という概念がなく、地上のみのミッションであったため、護衛ミッションなどの製品版にない要素もあった。また、アンドルフ軍の様子が製品版より克明に描かれている。
完成版に近いバージョンもあったようである。スターウルフはこのバージョンから登場したようだ。
そのほとんどがベータ版のバージョン違いである。完成版として世に出たスターフォックス2とベータ版とではタイトル画面が異なり、開発中のものはタイトルロゴの『2』が赤で、しかもデザインが違う。クレジットもミニスーパーファミコン収録版は1996年になっているが、ベータ版は1995年になっていたり、メニューで選択できる項目がベータ版の方が多い。また画面下のスターフォックスのメンバーの配置デザインもベータ版とでは異なっている。
ゲームバランスでは、敵からのコーネリアダメージが一切設定されていなかったり、回復アイテムの回復量が少なかったり、一部地域の地形が違っていたりするほか、パワーブラスター(チャージ弾)に最初からホーミング機能が付いているなどの違いがある。
ただし、完成版自体はこれまでに流出した形跡が無い。本作を含む他の未発売タイトルの完成版はロットチェックに保存されており、2020年9月9日になるまでは一度も流出したことがない。流出したのは現在ではFC、GB、GBCのみ。
では、このベータ版は何故流出したのか?
- 雑誌掲載用のサンプルROM
一番可能性が高い流出の原因と思われるもの。基本的にはゲーム雑誌では新作情報用としてメーカーからサンプルROMが配布される事があるため。完成版にほぼ近いものは恐らく攻略記事用だったものと推測される。このサンプルROMが何者かによって吸い出されたデータがネットに流れた・・・事も十分に考えられ、完成版の流出が無い理由はここにあると思われる。
- 開発側からの流出
次に考えられるケース。ただし開発中の場合は極秘扱いである為、外に持ち出す事は情報漏洩として任天堂内では大問題になっているはずである。勿論社内セキュリティに問題がある事になる。なおベータバージョンの違いがあるのはサンプルとして出版社等に提供した可能性も否定できない。
- 海外経由の流出
流出版にはセリフから何から英語表示であるものがあり、海外でのメディア用だったサンプルが流出していた事も考えられるが、海外で英語表記パッチが当てられていたともいわれている。過去にはMOTHERの海外版ROMが複数本流出していた形跡があった。(関連タグ参照)
余談
実はスーパーFXチップを搭載したソフトでお蔵入りになったソフトはもう一つ存在し、どこまで開発されていたのかまではわかっていないが、セガのバーチャファイターに見た目が非常にそっくりな格闘ゲーム「ファイティングポリゴン」というものがあった。実はゲームボーイの「X」やスターフォックスの制作協力をしていたアルゴノートソフトウェアが開発していたらしく、後にDOSで「FXファイター」としてリリースされていた。
ミュウ、フェイ、アルジーの二名は以降の作品には一切登場しなかった為、人物像も設定も全く不明の幻の登場人物のままであった。
ようやく公式にスターフォックス2が世に出る事となったので、今後何らかの形で登場してさらに設定が膨らむ可能性もある。ただ、SFC版の設定は64以降の設定とは全く異なるものであるため大幅な改変が予想される。
開発段階では、猿の男性、ヤギの男性、キツネの女性がチームにいた(時期によってメンバーは入れ替わっている)。
似た立ち位置のキャラクターとして、猿はアッシュ、キツネはクリスタルが後に登場している。
キツネの女性はアメリカの任天堂公式マガジン“Nintendo Power”に連載されていたコミック版スターフォックスのヒロイン、ファラ・フェニックスと似ており、同じデザインのヘッドギアもつけている。ただし名前表記は“Lady”のみなのでファラと同一人物なのかは不明。
BGMに関してもこの時期に作られた曲のうちいくつかが製品版には実装されていない。
関連タグ
スターフォックス64 - プロジェクトの変更でこちらが続編(正確にはリブート)として正式リリースされた。
MOTHER - 同じくお蔵入りしていた海外版(Earth Bound Beginnings)が原因不明の形で流出。後年、海外のWiiUバーチャルコンソールで正式に世に出た。ただし、日本国内ではGBAのMOTHER1+2収録のMOTHERはFC版ではなく海外版に限りなく近いものである。
テトリス(MD版) - 権利関係に問題があったことが発覚したため販売に至らなかったが、後に流出して海賊版が登場した。さらに後年にこのテトリスではなく、一からアーケード版を移植したものがメガドライブミニに収録されている。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL - ウルフのスマちしきで少しだけ触れられている。