『タイムチケット』
それは過去でも未来でも自由に飛び越えて、チケットに書きこんだその年その月その日付の『自分自身』に会いに行く事が出来るという奇々怪々、驚天動地の便利アイテムなのである!
10年の驚愕すぎる変化(r-☆☆☆G)が現れます、閲覧にご注意下さい!
概要
2010年09月07日にニコニコ動画へ投稿された、小雨大豆と酔狂倶楽部制作【酔狂文庫:タイムチケット01】
再度になるが、
10年後の驚愕すぎる変化(r-☆☆☆G)にご注意下さい!
※記事内の画像はイメージです。
タイムチケット01
はぁ~、しまったしまったしまったなー
そう言いながら"えらい"立場(大変である方の意)にいるピンクの髪をお団子にして白い服を着た少女が通りすぎた。その時、少女は一枚の派手なプリントがされたチケットを落としてしまった。近くにいた黒髪の女の子は、そのチケットを拾いモノを確認する。チケットの表面には派手な星や流れ星の柄に『□年□月□日』と年月日を書きこむ欄があった。裏面には胡散臭そうな(上記の)文面がご丁寧に記載されていた。
時間を飛び越えられるという謳い文句に―
いやいやいや。と言(ゆ)ても私もう10歳だよ。高学年だよ。長女だよ。
そんな子どもっぽいこと……
と、実は"えらい"立場(大変である方の意)にいるとは露(つゆ)知らず、黒髪の女の子は10年後の日付を書き込こんだ。その時、どこからか不思議な音が聞こえ一瞬にして視界がきりかわった。
すると…
目の前に自分とよく似た女性がいた。目の前の彼女は青いワンピースを着て、黒髪の女の子(わたし)と同じ黒い髪で、私とは少し違う大人びた私そっくりの女性。
これが……10年後の……私?
あらビックリ、何処から来たのかな?
10年後の女性(わたし)?は、手に包丁らしきものを持ち、足下には3つのバケツが置かれていた。どれもが赤い液体まみれで……当然彼女の手も赤くベッタリで……!?
この壮絶な現場とは裏腹に10年後の女性(わたし)?は、おっとりした声音(こわね)で目の前にいる黒髪の女の子(わたし)に語りかける。その時間(かいわ)の流れに、上手くのれず10年前の女の子(わたし)はしどろもどろに、10年後の女性(わたし)?は天然の返しに、やっとのことで出てきた言葉が―
何しちゃってんのさー!
何をって、、、解体作業?
怖い!!
10年前の女の子(わたし)は恐る恐る「何の解体を…?」と聞くと、何故かクイズ風に10年後の女性(わたし)?は応えた。
それはぷっくりと膨らんで、中が真っ赤で、切ると中身がゴロリと零れ落ちる……
アワワワ((((;゜Д゜)))
答えは……
トマトでした!
トマトかよー!?
ちょうどお昼に『ペペロンチーノ』を作ろうと思ってたところなのでした。その事に10年前の女の子(わたし)は『スパゲッティ』を作っている場面だと知り、安堵の……
って(普通の)『ペペロンチーノ』に『トマト』は使わない!!
あら。じゃ~あ~サンドイッチ?
疑問系!?
というかそもそもトマトって感じじゃない大量の赤い液体がベットリの現場だった。10年後の女性(わたし)?は「ほら、有機農法だから」と、全く関係ない返答。更に彼女は「ユウキ」の言葉に乗っかって「何でもできる」と、天然なのか本気なのかの衝撃発言に突っ込んでいく10年前の女の子(わたし)だった…。
(10年前の)私は…私は何をしてるんだ……
う~ん。悶えてる。
私はね!!
この状況に、10年後の自分(わたし)の状況に、悶え続けている10年前の女の子(わたし)に―
はっはー。さては…(10年前の女の子(わたし)は)痛い子だな。
お前ェ(10年後の女性(わたし)?)に言われたくねぇーよ!!
こんなノリッコミなのか、よく分からない流れに……
え~と、(10年前の女の子(わたし)よ)ガンバ
うるせぇ!!
ここで一旦冷静を取り戻そうとする10年前の女の子(わたし)。たとえどんな嫌な事があっても、人には手をあげず、五寸釘とぬいぐるみで乗り越えてきたことを振り返る。このつぶやきに、10年後の女性(わたし)?は「ハリネズミのぷぅさん」の事を何故知ってるのか不思議に思った。その指摘にようやく、(というか信じられない場面でもある中で)信じてもらえないだろうが、「わたし」は「あなた」であると伝えようと……
頭が取れたよ♪アタマが♪
何それ怖い!!
10年後の女性(わたし)?からの突然の歌い出しに10年前の女の子(わたし)は思わずノリッコミしてしまった。とりあえず10年前の女の子(わたし)は「出頭」の誘いを恐れながら嘆きながら10年後の女性(わたし)?に持ちかけた。警察署に行くことに難色を示し、そもそも「出頭」ではなく「自主」である屁理屈をごねる10年後の女性(わたし)?だった。ここで彼女はひとつ勘違いしている事があるというが……
私がバラしたのって……
バラしたのって……((震))
猫ちゃんだから♪
なーんだ、猫ちゃんか…。
それもそれで問題あるけれど、とりあえずは話題を進めようかという時に、足下にあるバケツの一つが倒れた。その中から出てきたのは……
肌色をした前足の片方だった……
おっと、(猫の)前肢が。
(猫の)前肢じゃなーい!
先ほどから変わらない笑顔のままで、10年後の女性(わたし)?は目の前の黒髪の女の子(わたし)に近づいてくる…。どんどん近づきつつ「Look(ルック)…しちゃたのね…」と言いながら近づいてくる。この緊急事態に「み、みみみ見てません!」と震えながら10年前の女の子(わたし)は言葉を絞り出し、とうとう悲鳴をあげて―
気がつくと黒髪の女の子(わたし)は、腰が抜けて一人で座りこんでいた。そこは10歳の自分の部屋だった。どうやら生きて帰ってこられたようだった。ここで改めて「あれが本当に未来のわたし?」と訝る。あの女性は確かに「今のわたし」が行き着く先の姿なのだろうと黒髪の女の子(わたし)は悟った。これはより良い未来を掴むために、知らなければならなかった事と受け取り―
ぜったい。絶対わたしは立派な大人になる!
清く真面目で、道に逸れない。素敵な大人に!
だって私は長女なんだから。双子の妹が誇れるような、お姉さんに…私はなる!
そう将来(みらい)の女性(わたし)?に向けて決意するのだった。
関連項目
星に願いを(酔狂文庫)・・・このお話は短編集01のラストのお話の続きとの事。
関連動画
黒髪の長女(わたし)が「素敵な大人になる!」とガッツポーズをする後ろで、長女と同じ黒髪で、そっくりな顔立ちで、青いワンピースを着た双子の妹が通り過ぎる。妹はお風呂に行くと言うが、女の子は金属バットのような物を持ち、、反対の手には何か大きな袋を持っている。その袋はちょうど猫ぐらいの大きさがある膨らみをしていた……
はたして10年後の女性(わたし)は本当に「わたし」だったのか…
それは酔狂な神様のみ知るのかもしれない