概要
2010年02月25日にニコニコ動画へ投稿された、小雨大豆と酔狂倶楽部制作【酔狂文庫】のショート動画集。
動画内のタイトルは「その二 ホームにて」となっている。
以下のショート動画が収録されている。
黒い怪物の話し
2匹の(網切のような)赤い怪物兄弟が木陰で、なにやらヒソヒソ話をしていた。それは兄が〝黄色のサダキヨ〟から聞いた『〝緑のヨンヨン〟が真っ黒な怪物に噛み砕かれた話』だった。
真っ黒な怪物の姿とは―
上から下まで黒一色の大柄で、
その体はくの字に曲がり、
似つかわしくない細い足、
時に体をバクンと広げ、
時に体をドシンとおとし、
『ぎりや、ぎりや』と声をあげ、
しかしてその肩には腕さえなく、
しかしてその顔には目さえ無い。
ただあるのは口の代わりに付けられた、大きな大きな真っ黒なハサミ。
弟はそのおぞましい姿に恐れながらも『その黒い怪物はハサミが1本しかないが、自分たち赤い怪物はハサミが2本で勝てるじゃないか』と反(かえ)って勇敢に声をあげ、良く言ったと褒める兄だったが…。
ブッポウソウ
〝ブッポソー〟をご存知だろうか?それは仏の三宝(さんぽう)でもなければ、ゲーゲーと鳴く怪鳥でもない。
それを一粒飲めば、万年寝たきり者でさえも飛び起こし―
更に「エイッ」と二粒飲めば、どんな根暗も根明に豹変し朗々鷹高に歌い出し―
更に更に「ヤァッ」と三粒飲めば、その元気は天涯(てんがい)知らず、溢れ出る生気は頭を突き抜け、空高々に飛び上がること間違いなし!
と、どんな人でも鳥の様に羽ばたくほど元気に生き還りするかのような胡散臭い売り口上に引かれ、怪しい露店商からその薬を買ってしまった女性。
三枚のお札
昔々のお話。わんぱく小坊主はお寺の和尚さんのために山へ栗拾いに出掛けるという。しかし怖い怖い山姥がいる山に小坊主一人で行くのは却(かえ)って危ないと和尚さんは心配した。そこで無事に事が済むように、何でも願いが叶う不思議な三枚のお札を和尚さんは坊主に持たせたのだが…。
ホームにて
周囲を山に囲まれた田舎村にある駅のホームで、列車が来るのを一人で待っている男。大学進学を希望していた学生だったが、勉強の甲斐も虚しく紙切れ一枚でその夢は終わりを告げた。そして自身の生まれ育ったこの村から新たなつとめ先へ赴く事になり、ホームに立ってようやく名残惜しさが込み上げてきた。
また故郷へ帰ってくる事を惜しみ、寂しさを飲み込み、停車した列車へ一歩を踏み出し……。
関連動画
- 単体動画【酔狂文庫】黒い怪物の話し(長さ 1:47)
- 単体動画【酔狂文庫】ブッポウソウ(長さ 2:14)
- 単体動画【酔狂文庫】三枚のお札(長さ 2:43)
- 本動画【ショートショート】ホームにて(長さ 13:20)