星に願いを(酔狂文庫)
ほしにねがいを
- ニコニコ動画へ投稿された、【酔狂文庫:【ショートショート】短編集01】内のショート動画『星に願いを』
- ディズニー映画『ピノキオ』の主題歌『星に願いを』
- GAINAX作品『この醜くも美しい世界』の物語第九話の副題。
本項では1.について記載する。
※記事内の画像はイメージです。
2010年06月08日にニコニコ動画へ投稿された、小雨大豆と酔狂倶楽部制作【酔狂文庫:【ショートショート】短編集01】内のショート動画『星に願いを』。
目の前が真っ暗になるネタバレ注意。
登場人物
天体観測が趣味の女性(画像内の少女をいーってしてる女性)
茶髪で黒の長ズボンと緑の半袖セーターのような服を着たへそ出しスタイル。幸薄い顔らしく、口調や言動からクールな性格のようで、強いハートの持ち主。
作中では夜空の星を満喫するためお菓子などを持参している。
ピンク髪の自称神様(画像内の女性にいーってされてる少女)
白い着物のような服に黄色の帯とマフラーを付けた神様(自称)。ピンク髪を二つのお団子頭にした美少女(自称?)。神様と言うだけあって地位が高くとんでもない力を持っているらしい...。
ちなみに他の【酔狂文庫】ショート動画内(エンディングや冒頭)にも少しだけ登場している。
その時の彼女は、あっちこっちを行ったり来たりと忙しく駆け回っている様子。
星に願いを
私の趣味は星を眺めること。
悠久の時を越え、この地に届く星々の賑やかな宴。
それを狙うはケイローン。
と、望遠鏡を通して彼方から届く輝き(コーラス)を満喫している女性(以下、星好っきぃ女子。セリフでは星女と表記)は、大昔から紡がれている物語を口すざんでいた。
そして、その星々を隠すのは…
けったいな自称神様だった。
目の前には望遠鏡のレンズ部分に覆い被さるようにぶら下がるピンク髪の少女(以下、セリフではピ髪と表記)がいた。
「はあ~。困った。困ったな~。」と何やら困っている様子の少女に対し、星好っきぃ女子は「ちょっとどいてくれませんか?」と見事にスルー!?
ピ髪「目の前に困ってる人がいるのにスルーすんの?はぁー怖いはー。牙を剥く現代っ子ってやつですかっ?」
星女「はいはい、ガオー。食べられたくなかったらどいて下さい。(棒読み)」
そんな彼女のハートが強い事に関心?し、少女は「そんな強いあなたにチャンスをあげよう。」と突然の上から目線で天からのお告げが降ってきたかのように誘いを振ってきた。星好っきぃ女子は「あぁ、結構でーす。」とキラリと現れた幸運?に目もくれなかったが、彼女のドライな反応に少女は構わず話を続け、困った様子で「非常にひじょ~に困っている」と答えた。
少女が言うには自分は非常に"えらい"立場にいる者であるとの事。因みにここでの"えらい"というのは、大変なという意味ではなく、歴史に名を残した"偉い人"という意味と補足説明をし…
ピ髪「だから そんな"偉い人"の私を助けられるあなたはとってもラッキーっ子!」
と、目の前の自分がフッて現れた事は非常に"えらい"事(大変である方の意)であると説明する。この空からピカッと舞い降りた千載一遇の巡り合い?にも星好っきぃ女子は「あー結構でーす。」と目にも止まらない早さ並みにまさかの拒絶を示した!?
彼女はピンク髪の少女の話を聞く前に、そもそもそんな説明で助けたいと思う人はいない事と、そしてそんな説明の前にまず先にしなければならない事があると常識目線へ軌道修正しようとするが……
ピ髪「えっ?…抱擁(ほうよう)?」
星女「違う。」
ピ髪「面接?」
星女「違う。」
ピ髪「名刺交換。」
星女「違う…けどちょっと惜しい。」
ピ髪「あっ!ユニフォーム交換!!」
星女「そっち行っちゃたかぁ…。」
どこを見てるのやら答えの道筋を見失っているピンク髪の少女は彼女の問い掛けに答えが分からず…
ピ髪「お前はソクラテスっかてーの。」
星女「そういう知的なツッコミは出来るのに...。」
ピ髪「えへへ。」
星女「いや。褒めてないです。」
目を覚まさせてやろうと星好っきぃ女子は人にものを頼む前にまず自己紹介する"正解"への道を照らした。
星女「あなたは誰なんですか?」
ピ髪「考える葦です。」
考える葦はキリッとした表情で答えた。ここまで哲学ネタを引っ張る流れに星好っきぃ女子の関心は流れていった…。ピンク髪の少女は咳払いをして、改めて自己紹介をやり直すが…
ピ髪「ならば幸の薄そうな顔のお主に教えてやろう。」
星女「うるさいよ…。」
ピ髪「わしはなぁ……神様じゃ。」
星女「はーい、撤収。」
眩い神々しさの感じられないピンクの神様へクールにツッコミを入れ帰ろうとする星好っきぃ女子に、ピンク髪の自称神様(以下、自称神様。セリフでは自神と表記。)は「ひゃー ごめんなさい。」と調子に乗った事を謝った。更に神様である事は本当だから仕方ないと涙目になって、やっと望遠鏡から降りて彼女の足に噛みついた。しかし噛みつかれた方としては、自称神様は自分に泣きついて、抱きついて、しゃぶりついているとの事。星好っきぃ女子は自称神様を宥めながら改めて「偉大な神様が私めごときに何か御用ですか?」と流し目な感じで聞くと……
自神「うん!神様な…お腹が……とってもへってる…」
星女「霞でも喰っとけ!」
霞を食うのは仙人では?なツッコミが飛んできて自称神様は「酷い!」と怒りながら…
自神「神様だろうと、誰だろうと、お腹ペッコリーな人を助けるのが世の常なんじゃないのかよ~。」
目の前の悲しい現実に不貞腐(ふてくさ)れ、その目敏(めざと)さに参ったのか星好っきぃ女子は「お腹いっぱいになったら帰って下さいよ…。」と自称神様を助ける事にした。やっと自分の願いを聞き入れてくれた事に「うん!うん!」と、元気にまだ足にしゃぶりついた状態で返事をした。
星好っきぃ女子は持参していた食べ物の中で…
星女「はい。ハッピーターン。」
自神「わーい!粉を先に舐(な)めて、お煎餅が…って嘗(な)めとんのか!」
ようやくしゃぶりつくのを止め、彼女から食べ物を恵んでもらってからの乗りツッコミする自称神様。因みにその立ち姿は奇妙なポーズのようである。
確かに粉が美味しいけど、もう少し目に見える物でお腹に溜まる物が欲しいと強請(ねだ)る自称神様。その"ほしーほしー"と目に障る要求に星好っきぃ女子は我儘な(自称)神様だと呆れ、神様って乗りツッコミするんですねと関心?しつつ、今は夜空を見に来ただけでガッツリした食べ物は持ってきてないと言うが……
自神「あ~、あれうまいな。」
自神「もすばー↑がー↑~(嬉)」
星女「もすばー↓がー↓(訂正)」
自神「モスバーガー!?」
目新しい物は無さげに言いつつもけっこう他にも食べ物を持っていた彼女に、目の前にある品々の中で空腹で死にそうな美少女?の自称神様はモスバーガーが目に留まり……
自神「というか、ちょっと夜空見に来ただけなのに、ガッツリ食う気満々じゃん!」
星女「大きなお世話です。」
と、再び乗りツッコミを入れた自称神様。そこである事に目がいった星好っきぃ女子は神様なら超能力で何とか出来ないのか?と問い掛けるが、これを自称神様は笑いながら答え…
自神「超能力ってwww。超能力でお腹いっぱいにしてみせます人見たことある…あぁ~ごめんなさい。調子に乗りました、ごめんなさい。」
と自分を馬鹿にした態度に食べ物ではなく拳骨を食わせようとする星好っきぃ女子に涙目で再び懇願する自称神様。そのコロコロと変わる様をもう見てられないというように「神様は大切にしないといけませんからね。」と…
星女「どうぞ、どうぞ食べて下さい。」
自神「ムッ。神様の事、神様って本気で信じてないだろ。」
「・・・」
星女「そんな事はありません。」
自神「その間!その間が全てを物語ってるよ!」
まだ目の前の現代っ子が自分を神様と信じてくれない事に苛立ち、どうしたら本物だと分かってくれるのか問いかける自称神様だったが…
星女「え~、そうですね。めんどくさい(ボソッ)」
自神「今何か言った!?」
ここで真っ暗な空に浮かぶ天体が目に入ったのか星好っきぃ女子は『 夜空に浮かぶ、お月様🌕を消してくれたら信じる 』と提案をチラつかせる。
この小市民発言に、自称神様はそんな事をしたら"えらい"事(大変である方の意)になると諭す。
もし月を消したら地球の自転は安定しなくなるは、地軸もズレるは、一日がしっちゃかめっちゃかで、世界もごっちゃかおっちゃかになっちゃうと説明するが…
星女「・・・別に構いません。」
自神「牙を剥く現代っ子!!」
この現代っ子発言に自称神様は悲しみ、その反応を見ていた星好っきぃ女子はお月様の願い事を撤回した。"えらい"事(大変である方の意)であったことに理解を示してくれて安堵する自称神様だが…
星女「じゃあ 代わりにこの✰夜空の星✰全部消してみて下さい。」
自神「 現代っ子再び!? 」
藪から蛇ならぬ、闇からヘビィな爆弾発言に衝撃を受けガビンッと再び驚く自称神様。この目を逸らしたくなる酷すぎる願い事に再び"えらい"事(大変である方の意)になると諭す。
この光り輝く星々の周りには沢山の衛星や惑星があって、そこに住まう数々の命があって、そこに生れる光の一つ一つに家庭と物語があって、離婚やらローン返済やらとスケールがデカいのか小さいのかよく分からない説明をする自称神様。
この説得に星好っきぃ女子は自分が大人げなかったと"えらい"事(大変である方の意)が目に見えてない様子で答え…
自神「ムムッ。神様今侮辱されたよ。」
星女「えーうそー可哀想ー(棒読み)。」
自神「更なる侮辱!?」
目の敵と出会ったかのように怒った自称神様は「 この🌠星々🌠ぜーんぶ消してやるからな。 」と彼女の願い事を本当に叶えようとする。星好っきぃ女子はこの凄みに大人げなかった事に幕を降ろそうと「いやぁ。別に…」と、彼女が言い終わる前に自称神様は不思議な踊りを踊り始め……
ちちんぷいぷいのぷぷいのぷーい!
と虹色のピカピカした円のようなもので闇夜を一時照らしたが……
・・・
まだ月夜と点々が瞬く景色で何も起こらず星好っきぃ女子は「 で? 」と聞き返した。自称神様が照れ顔で言うには、星の光が地球に届くのは何万光年もかかるからと嘘っぽい説明をした。この" ポンッ "と現れては消えた願い事に彼女は怒って「黙って食ってろ!」とモスバーガーを自称神様に投げつけた。
こうして彼女は、虎の子のモスチキンバーガー照り焼きを(自称)神様に献上……というか、騙し取られたのだった。
その後、自称神様は「本当に叶えて欲しいお願いはないのか?」と改めて彼女に聞くが…
星女「はぁ。じゃあもう少し幸ある顔にして欲しいっすね~。」
自神「アハハ。それはやだ。」
星女「やだ!?無理じゃなくてやだ!?」
もう見るのもイヤだというふうに「お腹いっぱいになったんなら、とっとと帰って下さいよ。」と星好っきぃ女子は自称神様にお引き取りを願った。
自神「む~。せっかく幸薄人生に訪れた最大のチャンスを…。」
星女「幸薄くて悪かったですね。」
自神「いや、悪くないよ。悪いのは、 前・世・の・行・い・☆ 」
てへぺろ(・ω<)で答える自称神様にもう見たくないと星好っきぃ女子は「帰れ!」と一喝した。そう言うと自称神様はびっくりした顔をして、" ポンッ "と音を立ててこの暗闇から姿を消した。
まっ、まさか本物だったとは…。
神様が消えた場所を見て、星好っきぃ女子は人生最大のチャンスを棒に振った事に目を閉じて空を仰ぎながら後悔した。
そして、更にそれよりももっと大きな後悔に苛まれる事となった。
と、頭を垂れて両手で顔を覆い夜空を見ていられなくなった星好っきぃ女子。
それは先ほどまで星々で真っ白のような空だったが、彼女が後悔すると同時に真っ暗な空に変わっって……
・・・