概要
チャクリ・ナルエベトとは、タイ王国軍の海軍で運用されている軽空母である。タイ初にして東南アジア地域で初の空母であり、また現役艦としては東南アジア唯一の空母でもある。
スペインの軽空母「プリンシペ・デ・アストゥリアス」をベースとした縮小版として、スペインにて建造され、1997年に竣工した。
現役空母としては世界最小であり、基準排水量はいずも型護衛艦の半分の10,000トン、全長も僅か約183メートルと空母にしてはかなり短い。
艦載機はスペインから譲り受けたAV-8Sハリアー攻撃機で(最大10機載せられるが、譲られたのは9機だった)、艦首のスキージャンプ勾配を用いて発艦する。しかし、ハリアーは老朽化や財政難に伴って2006年に運用を終了したため、現在はUH-60汎用ヘリコプターの派生型を最大9機搭載するだけの事実上のヘリ空母となっている。
輸送艦としての機能もある程度持っており、装甲車両30両以上、陸戦部隊455名(標準)~675名(最大)が搭載可能である。また、王室専用の居住区も設けられている。
問題点
東南アジア唯一の空母として就役した同艦だったが、国の経済不況や海軍への予算配分の割合の低さから、当初予定していたシースパロー艦対空ミサイルやCIWSなどの一部装備の搭載が見送られたり、活動も月に1日程度しかできないなど、悲惨なことになっている。
また、上記のように艦載機もないため、現在では空母というよりヘリ空母として活動している。ただしこれに関しても、タイ王国軍に配備されているヘリコプターが元々少ないという問題から、ヘリを最大まで搭載することすら出来ない状態になっている。
ただしそれでも、2004年のスマトラ島沖地震ではその大型な船体を活かして救援活動に従事するなど、就役以来まったくの役立たずで過ごしてきた訳ではない。
また、近年は無人航空機を運用する無人機母艦として転用できないか検討されている、とも言われる。
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制海艦:原型の原型