概要
漢字で書くと爪羽鶏。南米大陸のアマゾン川とオリノコ川流域のマングローブ林などに、10~20羽ほどの群れを作り棲息する。
雛は翼に2本の鉤爪がある。このことから始祖鳥の生き残りと言われた事もあったが、樹上での活動に適応した二次的な形質であり、爪は孵化後2~3週間で抜け落ちる。荒俣宏は、「肉食で攀木(木登り)性の種類が草食の鳥類へ」という鳥類の進化説を引いて、「鳥の進化を成長によって消化」していると表現する。(『世界大博物図鑑 鳥類篇』巨大不明生物があんな形を経て成長するみたいな)
全長60~70cm、体重700~800g。体の上面は褐色の地に白い縞模様があり、下面は赤黄色。大きな翼とぼさぼさした羽毛、目立つ冠羽、太く頑丈な嘴と脚を持つ。顔面に青い皮膚が裸出し、虹彩は赤色。体臭は牛の糞のような悪臭で、滅多に食肉として利用される事はない。
本種のみでツメバケイ目ツメバケイ科ツメバケイ属を形成する。形質上は似た種がなく、長らく分類が目レベルから確定していなかったが、近年のDNA分析ではフラミンゴ目やカイツブリ目に近縁という結果が出た。
生態
鳥類には珍しい純然たる草食動物で、サトイモ科の樹木やヒルギダマシ類などの肉厚の葉を常食する。このため嗉嚢が全内臓の3分の1を占めるほど大きく、食べた葉を一時的に蓄えるのみならず、砂嚢のように内臓壁が厚くなっていて食物を擂り潰す。消化管内のバクテリアによりセルロースを分解してエネルギーを取り出している。
繁殖期は雨季で、水面に張り出した枝の上に小枝を組んで皿状の巣を作り、雌雄で抱卵・育雛する。雛は親の口に頭を突っ込み、半消化の木の葉をもらって成長する。雛は外敵が来ると巣から飛び出し、爪と嘴、脚を使い、枝を伝って巣の外に移動する。あるいは巣の下の水中に飛び込んで翼を使って泳ぎ、敵から逃れる。潜水も巧みで水草の間などに隠れ、敵が去ると木を登って巣に戻る。
成鳥も飛翔能力は弱く、巧みにバランスを取りながら樹上を歩いて移動する。地上に降りる事は滅多にない。