概要
2004年に命名されたディロング・パラドクスス(「常識を超えた皇帝龍」の意味)は、それまでのティラノサウルス類の常識を覆す種類であった。
ある程度完全に近い骨格化石が見つかっているので、全長1.6メートル程である事が分かっている。まだ前肢は3本指だったが、歯の特徴などから紛れもないティラノサウルス類である事が分かっている。
だが最大の発見は、ティラノサウルス類としては初めて化石に羽毛の痕跡が確認されたことだ。種小名は、ティラノサウルス類が羽毛を持ち小さな体をしていることが逆説的であったということに由来する。羽毛は顎と尾の皮膚の印象化石で見つかったが、生きていた時はおそらく体全体が羽毛に覆われていたと思われる。それらは中心の軸がなく、現在の鳥の羽程発達しておらず、飛ぶのではなく保温のためのものだった可能性が高い。
当時共存していたプシッタコサウルスやシノサウロプテリクスなどの小型恐竜を捕食していたと思われる。
なお「Dilong」の「g」の発音は存在しないため本来は「ディロン」と発音した方が正しい(中国語で烏龍茶を「ウーロングチャ」と読まないのと同じ)。しかし本種が日本国内のメディアで紹介された時、誤訳で「g」を発音して紹介されたために、一部の恐竜ファンや文献ではディロングの呼び名を使うことが多々ある。
…まあ、学名はスペルさえ合ってればどう読もうと自由なのだが。
関連タグ
ユティランヌス・・・ディロングと同じく遼寧省の熱河層群から見つかったティラノサウルス類。