概要
エミリア編の最終ボス。
エミリアにとって、自身の人生を狂わせた宿敵・ジョーカーを捕らえるため、ジョーカーが狙っている「キューブ」のありかとされるリージョン「ヨークランド」の忘られし聖堂の情報が手に入ったのは悲願であった。
そして、ジョーカーに奪われた恋人レンと挙げられなかった結婚式を、いつも持ち歩いているウェディングドレスをこの聖堂で着ることで、踏ん切りをつけることにしたのだった。
アニー・ライザの両名に「ここで式を挙げて、もうレンのことは忘れようよ」という提案をされる。たしかに失ったものは戻らないかもしれない——そう思ったエミリアは、ドレスに着替えて式の準備をする。
しかし一行がここに来た目的は、ジョーカーを迎え撃つため。緊張の糸が切れている今、襲われてはまずいと懸念するルーファス。だが、修羅場を一番くぐってきたエミリア本人が実は最も油断していなかった。メンバーに戦闘準備をさせ、ドレスのまま戦いに挑む。この時ジョーカーの代わりにと現れたのが、ディーヴァである。
仏像なのにディーヴァ…?と思うかもしれないが、仏教の言語であるサンスクリット語ではディーヴァは「(多神教上の)神」という意味なので別におかしなネーミングではない。
まぁ、キリスト教的な聖堂に突如として仏像が現れるというのはかなりカオスなことなのだが、それも世界観が混沌としているサガフロンティアのサガか。
戦闘能力
大型の得物を下ろす魔法攻撃形態「ゼロ」と、得物を振り上げる物理攻撃形態「ワン」を使い分けてくるため、両方の対策が必要になる。凝視などの状態異常対策を怠るとエライ目にあうので、メカを用意できない以上は細心の注意が必要だろう。
裏技的な攻略法もあり、この仏像は下級妖魔にこっそりと分類されている。そのため、上級妖魔を連れてくれば彼らは受けるダメージを¼にまで抑え込める。そしてエミリア編に上級妖魔はこれでもかと加わるので…もはや後は言うまでもない。
ただし、リマスター版のヒューズ編では担当している事件のラスボスを強化することも可能で、エミリアの事件を追っている場合は当然強化対象がディーヴァになる。
強化版は下級妖魔に分類されなくなったので上級妖魔のアドバンテージが通じなくなったほか、
ゼロ形態では凝視を使用しなくなった代わりに雷属性攻撃の威力と行動回数が格段に熾烈になっている。
ワン形態では妖魔であるにも拘らず心術の資質が無ければ修得出来ない筈の覚醒を使用し、
グリフィススクラッチやタイガーランページ等を惜しげもなく扱い、猛ラッシュを仕掛けてくる。
おまけに元々強力なグランドヒット・魔神三段・烈風撃は据え置きという徹底ぶり。
ぶちかましだけは他と比べれば比較的有情な行動だが、
防具は勿論のこと補助もしっかり固めないと簡単に死体が量産される強敵へと変貌を遂げている。
正体?
ゲーム内ではジョーカーとの対決に臨んだエミリア達の前に突如上から現れて戦闘になり、作中での本人のセリフは一切なく、倒した後も説明無しでそのままジョーカーとの対決イベントに進んでしまうため、プレイヤー視点で見ると「脈絡もなく何かよく分からない仏像が降ってきた」としか言えない存在となっていた。
上で記した「下級妖魔」という特徴も単にバトルシステム上で見た話であり、倒されるとまるで石像のように崩れてしまうため、本当に妖魔なのかすらよく分からない。
攻略本『裏解体真書』ではQ&Aにて「ジョーカーの手下」ということだけは明らかにされたものの、それ以上の情報は一切無し。
一応、同書に収録のヒューズを主人公にした書き下ろし小説『ヒューズのクレイジー捜査日誌』では、「ジョーカーの正体である人物が古代遺跡巡りをしていた際、遺跡で偶然出会って友人になった」と語られていたものの、全体的にギャグ要素の強い作品であった上、ゲーム内ではジョーカーの正体が分岐するため、この設定をそのままゲーム本編にも適用していいものかは不明である。
リマスター版のヒューズ編のシナリオは上記の小説を執筆したベニー松山氏が協力しているため、今回はディーヴァについてきちんと掘り下げられるのでは……?と期待の声もあったが、ヒューズがジョーカーを追い詰めた場面でやっぱり脈絡なく上から降って来る。そして倒した後もそのままジョーカーと対峙することになるため、残念ながらディーヴァ本人については一切明かされることはなかった……。
なお、最強状態では前述したように下級妖魔扱いから脱却して「種族・ヒューマン」扱いになっている。実はサガフロで敵として登場する「上級妖魔」は下級妖魔扱いを避けるため、内部的には「種族・ヒューマン」+「妖魔の鎧」に設定されている(オルロワージュの項目を参照)ため、もしかしたらディーヴァは時の君のように努力を重ねて「上級妖魔並みの力を持った下級妖魔」に進化したのかもしれない。もっとも妖魔社会における格付けは生まれ持ったものなので、もし前述のように力を得ていたとしてもディーヴァが上級妖魔そのものになった訳では無い。……というより、上記に挙げた通り情報が少なすぎてそもそもディーヴァが妖魔かどうかすら分からないのだが。
一方、インペリアルサガエクリプスではディーヴァの背景について多少言及された。
シナリオ「テルム炎上!カンタール軍北上中!」にて、オート侯カンタールの魔物の軍勢を率いる総大将としてフィニー王国の首都テルムを襲撃する。
アセルスの口からディーヴァが明確に妖魔として言及されており、「知る限り、意思の疎通なんてできない、唯一、どういう方法かジョーカーだけが使役できた強力な妖魔」とのこと。
しかし、実はこの襲撃はカンタールが意図しないものであり、彼がただの石像と思って購入したディーヴァに対し、新年の勢いで酔っ払って愚痴を絡んでいたところ、ディーヴァが突如動き出し、召喚した魔物を率いて北上を始めたため、騎兵軍で追ってきたらしい。
アセルス曰く、「ディーヴァは強大な力を持つものの下級妖魔であり、妖魔王オルロワージュの影響を受けていてもおかしくない」とのこと。
どうやらディーヴァ本人に悪気はなく、石像と化している間に保護してくれたカンタールに恩を返すため、独断で動いてしまったようだ。
余談
ちなみに脈絡無く登場したラスボスではあるが、これは人間大サイズのジョーカーがそのまま現れたのではラスボスとして小さすぎてかっこよくないが、いきなり巨大化させるのもちょっと……という理由らしい。
サガフロ1は地味な点だが「人間サイズの敵キャラ」にこだわって作られており、実際人間系モンスターはほとんどが味方キャラと同じサイズである。
アセルス編のラスボスであるオルロワージュはどうなの?と思うかもしれないが、ヤツは周りの装飾が大きいだけで本体は意外と小さいので、この法則は守られている。
一方で時の君は戦闘時に巨大化するが、彼は元々下級妖魔という設定…つまりディーヴァや雑魚モンスターとしての妖魔系(サイズは様々)と同等の存在なのでこの法則外ということなのだろう。
続編で人間大の小さなラスボスを作ったり、ボス戦でいきなり人間が巨大化するゲームが出ることになるとは当時の開発陣もさすがに思わなかっただろうけど…。