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概要編集

デモイン級重巡洋艦はアメリカ海軍重巡洋艦。本級はアメリカ海軍が最後に建造した重巡洋艦である。


本級は日本海軍の巡洋艦との戦闘において、これらを効率的に撃破可能な新型速射砲を備えた巡洋艦というコンセプトのもと計画された。


これはレーダーが発達し戦果をあげるようになる以前の時期、米海軍では自国の巡洋艦では特に夜戦において日本の巡洋艦を撃破することが困難と考えたからと推測される。


船体規模編集

本級は全長218m、基準排水量16000tの巨体を誇る(ちなみに新造時の戦艦長門の全長は216mである)。


本級は従来型より大型の新型主砲塔を搭載し、また条約の制限を受けることなく自艦の主砲弾に耐えられるだけの十分な装甲を有している(主砲塔203mm、舷側152mm、水平89mm)。よって、艦の重量増加に伴う速力低下を防ぐために艦のスケールアップを行ったのである。


艦の全長を拡大したことで造波抵抗は低減し、排水量が4000t増加したにもかかわらず、従来同様の12万軸馬力4軸推進で最大33knを発揮可能だった。


装備編集

主砲編集

本級は主砲としてMk.16 55口径8インチ砲を三連装砲塔におさめ、これを計3基9門を備える。


本級の主砲として開発されたこの砲は自動装填装置を備えた速射砲であり、従来型のMk.15や日本の三年式50口径20.3cm砲と比べて約2倍の10発/分の発射速度を有する。


最大射程27kmで対応弾は徹甲弾(SHS)152kg、榴弾118kgである。射撃管制にはMk.13射撃管制レーダー(Fire Control Radar 以下FCS)搭載のMk.54射撃管制装置(Gun Fire Control System 以下GFCS)を使用する。


対空兵装・レーダー編集

本級はMk.12 38口径5インチ砲を連装で計6基12門を亀甲型に配置する。

これは艦の前後に各1基、両舷に各2基を置き、最小限の門数で各方に最大限の門数を指向できる効率的な配置方法である。


また40㎜機銃の代替としてMk.33 50口径3インチ砲を連装で計12基24門を搭載する。

機銃は近接防御用の20mm連装機銃12基搭載するのみである。


射撃管制には5インチ砲にMk.37GFCS、3インチ砲にMk.56GFCSを使用し、

捜索レーダーとして対空用AN/SPS-6と対水上目標用SG-6、高度測定用にAN/SPS-8を装備する。


航空兵装編集

本級は航空機運用スペースを艦尾に設置し、クレーン1基を備えるがカタパルトは有していない。本級では航空機運用はなされず、艦尾は主に艦載艇用スペースとして利用された。


経歴編集

本級は1948年から1949年に就役した。

ミサイルが実用化された戦後において、艦砲を主兵装とする本級は就役時点ですでに旧式の軍艦であったが、本級の規模と搭載する大口径速射砲は艦隊旗艦任務や対地艦砲射撃を行うに最適であった。


本級は就役後、地中海第6艦隊や大西洋第2艦隊の旗艦を務め、また就役中に起こった紛争や戦争では支援任務に従事したが、

1975年に3番艦ニューポート・ニューズが退役し、1991年には予備艦艇として保管されていた2番艦セーラムが除籍となった。


デモイン級重巡洋艦はミサイル巡洋艦に改装されることもなく、純粋な重巡洋艦として役目を終え、また世界で最後の重巡洋艦としてその歴史に幕を下ろした。


同型艦編集

No艦名工廠起工進水竣工退役
一番艦デモインベスレヘム・スティール1945/05/281946/09/271948/11/161961/07/14
二番艦セーラムベスレヘム・スティール1945/07/041947/03/251949/05/141959/01/30
三番艦ニューポート・ニューズニューポート・ニューズ1945/10/011948/03/061949/01/291975/06/27

※現在、セーラムはマサチューセッツ州クインシーにて博物館船として公開されている。また1957年公開の映画「戦艦シュペー号の最後」ではドイツ装甲艦アドミラル・グラーフ・シュペーの役を演じている。

関連タグ編集

重巡洋艦 デモイン級 アメリカ海軍

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