概要
略称はAfDでドイツ語における正式名称は「Alternative für Deutschland」。
元々は、ギリシャ危機をきっかけとして、2013年(平成25年)に設立された新興政党で、多くの新右翼、新左翼と共に反EUを掲げ、ドイツのEU離脱を最大の目標として掲げている。
EU加盟国で議論されている移民問題についても反対を明確にしている。このように当初はEU懐疑主義の経済畑の知識人が主となって作られた党であったが、その反EU、反ユーロが反移民、反イスラムとの親和性の高さから右翼論者などに主導権は移り変わっていった。
移民に関しては高度技術者系の移民のみを受け入れにさせ、メルケルや社会民主党等、それにEUが行った幅広い難民受け入れには反対している。ただし、世界共通して低賃金労働の方が厚待遇の求人よりも遥かに多く、事実上の移民排斥を目指していることは確実である。
歴史的見解ではホロコーストの存在は否定していない(ドイツでは、ホロコーストのひていは深刻な人権侵害と見なされ違法扱い)が、ドイツにおける贖罪文化に疑問を呈する党員は多く、ある幹部が「こんな鳥の糞のような問題で」と失言するなど、他国の右翼政党の影響を強く受けている面は否めない。
2017年(平成29年)9月24日のドイツ連邦議会選挙で第3党までに躍進した。
社会党やCDUの難民政策に対する不信感により、次に選挙を行えば更に躍進するという見解もある一方、すでに全国民の25%が外国出身(EU圏内含)あるいは外国にルーツを持つ多民族国家であるドイツにおいて、これ以上勢力を伸ばせるかは不透明ともされている。
AfDは主に東ドイツ地域で高い支持を得ている。これはネオナチも同様であるが、東ドイツが単純に右翼的かつ人種差別主義的というわけではなく、社会主義統一党の後継政党である左翼党も根強い支持を持っている地域であり、これらの政党は「西ドイツ主導のドイツ社会への反感」を巧みに吸い上げているという側面が強い。
又、支持者の中にはメルケルのCDUと独社民党などの大連立に対する不満からAfDを支持する人も多く見られる。
2021年の連邦議会選挙では移民問題の落ち着きと気候変動問題、コロナウイルスが争点となりコロナを軽視していたAfDは議席を減らし第5党となった。
近年ではアンゲラ・メルケルの難民宥和政策による治安悪化の懸念や、ウクライナへの継続した軍事支援に対する嫌気などが影響して世論調査で支持率2位にまで躍進してきている。
2024年9月1日の東部テューリンゲン州で行われた州議会選挙ではAfDが第1党にまでなった。州議会で極右政党が勝利したのは第二次世界大戦後初めてである。
主な政策
多くの欧州諸国と同じようにEUに加盟している事から欧州政策と国内政策の両方を出している。
欧州政策
共通通貨であるユーロの廃止を掲げ、更に各国の自国通貨の再導入か小規模な通貨同盟の再結成を掲げている。
更に欧州連合基本条約を改正させ、ユーロ加盟国から自発的な脱退を促す政策を掲げている。
又、主権を取り戻す為に立法権限を各国議会に戻す事を求める。
国内政策
代替エネルギー導入のための補助金が一般税収から回されているので、ドイツの再生可能エネルギー法(EEG)は廃止されるべきであるとしている。
あらゆる方策の中でエネルギー創出のための永続的な補助金助成制度は許すべきではないとしている。
エネルギー政策は国民国家の主権事項だと明言している。
送電線や古いエネルギーを廃する為に技術革新に関する研究の観点から、他の先進工業諸国の状況を顧みないまま、代替エネルギーの導入拡大を優先したドイツの2020年エネルギー活用目標を党は批判している。
社会政策として党は低所得層向け社会保障制度を支持し拡充させる他、法的に決定された広範囲に及ぶ最低賃金をその社会保障制度を目指している一方、最低賃金制度がドイツ国内市場に負担をかけ危険にさらしてはならない事を明記している。
ユーロ救済策や銀行救済策査というような金融政策の立案について国民の保証リスクを明示しなければならない。
キルヒホーフモデルによって党は租税法を簡素化させると公約にしている。
このほか、家族政策や教育政策を述べているが何れもドイツの主権や伝統を基準に行うべきだと述べている。
党組織構造
連邦党指導部
党首 | イェルク・モイテン |
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副党首 | |
連邦党財務担当 | クラウス・フォールマン(副担当:ボード・ズーレン) |
党指導部メンバー |