有名なUMA(未確認生物)であるネッシーは、古今東西様々な創作物に登場し、映画化されたものも多い。
本項目では、1977年に企画された幻の映画に関し解説する。
解説
1977年に企画され、1978年に公開予定だった幻の映画作品。
日英合作で、日本側プロデューサーは田中友幸、イギリス側はハマープロダクションのマイケル・カレラス、デビッド・フロスト、ユアン・ロイド。
監督は、当初ブライアン・フォーブスがクレジットされていたが、後にマイケル・アンダーソンに変更されている。
脚本は、ブライアン・フォーブスにより第四稿までが上がっていたらしい。
予算714万ドル(当時の日本円で約21億円)で製作される予定だった。そのうち特撮部分は日本側が、10億円で行う予定だったとの事。
特撮監督は、中野昭慶が予定されており、クライマックスシーンの絵コンテも上がっていた。
内容
度重なる自然破壊と、工業化の波は、スコットランドのネス湖にも押し寄せる。
工場が建造され、工業廃水がネス湖に垂れ流される。その排水の影響を受け、ネス湖の生態系は変化してしまった。
ネス湖のネッシーもその変化を受けてしまう。廃液に含まれていた細胞強化剤の影響を受けたネッシーは、全長20mの体を十倍に巨大化させてしまう。
全長200mになったネッシーは、ネス湖から上陸しスコットランド山岳地帯を越え、北海に。
更に北海から地中海に、更にはスエズ運河、インド洋を経て、南シナ海、香港に向かう。
しかし行く先々で人間に追われ、ネッシーは最後に香港湾内に追い詰められる。
原油を満載したタンカーが、ネッシーを襲う戦闘機部隊の攻撃に巻き込まれ、海上に原油が流出。さらにそれに引火し、ネッシーは火炎に巻き込まれつつ海底に没していった。
その他
70年代当時、イギリスはオイルショックの経済混乱にて、イギリスポンドが減額。それに対する有効策も打てずにいた。
これが影響し、外貨が枯渇状態に。最終的にはIMFに支援要請し事なきを得るものの、この経済混乱は映画製作にも大きな影響を与えていた。
本作も例外ではなく、エリザベス女王の「貴重な外貨を怪獣映画製作に注ぎ込む事は不適当」という発言から、本作の企画は中止された、との事。
関連タグ
:1977年、ニュージーランドで日本のトロール漁船「瑞洋丸」によって引き上げられた未確認生物の死骸。その形状が首長竜プレシオサウルスに似ていたという証言から、ネッシーの名を付けられた。
:同じく1977年に、日本で公開された東映の怪獣映画。ネス湖ではなく日本の富士五湖・西湖が舞台で、登場する恐竜=首長竜プレシオサウルスの描き方はネッシーのそれを彷彿とさせている。
:1967年から1968年にかけてピープロダクションが製作・放送した特撮番組。味方として「ネッシー」が登場するが、舞台は架空の火山島で、ネッシー自体も首長竜でなく恐竜ブロントサウルスである(着ぐるみで造形された)。
:1970年公開のアメリカ映画。監督はビリー・ワイルダー。ネス湖を舞台にシャーロック・ホームズが悪漢を追う内容。劇中に登場するネッシーは、小型潜水艦に、恐竜の首の張りぼてを付けて偽装したもの。当時撮影中にこのプロップを紛失したが、2016年に湖底に沈んだそれが発見され、本物のネッシーかと騒動が起こった。